46 / 58
第一章
第46話 ユニット枠
しおりを挟む
「主さま!? とつぜん祭壇が輝きだしました!!」
しまった……どうやら恐れていた自体が起きたようだ……。
「くっ!? まずい! ゲージがたまったのか!?」
「げーじ?」
リナシーが言葉の意味がわからず聞き返すが説明するのが難しい。
それに、今度こそ時間がなくなった!
「魔神信仰ビアゾの奴らが儀式を行っていたんだが、その儀式が成功してしまったようだ……」
くっ……リアルでも同じ流れなのかよ!
ゲームだった時の魔神信仰ビアゾがらみのキャンペーンでは、ほとんどの儀式の阻止は時間的に不可能な設定にされていることが多かった。
そして祭壇が輝きだしてしまうと、もう阻止することはできない。
だが、それでキャンペーンが失敗になるわけではない。
その儀式の結果におこる出来事に対して、あらためてキャンペーンを進め、戦いに勝利せよという流れだった。
それがリアルとなったこの世界でも同じような展開だったことに、ちょっと憤りを感じる。
「そ、それは、儀式が成功するとどうなるのですか?」
「いろんなケースがあるみたいだが、多いのは眷属や魔物の召喚だと思う」
その中でも特に厄介なのが魔神の眷属の召喚だ。
眷属が出現するとハードモード確定で、眷属が出た時点でキャンペーンを諦めるやつまでいるぐらいだ。
そういう相手に近づかれると、だいたい瞬殺される。
だから近づかせないように距離をとって指示を出しつつ倒さないといけないのだが、通常のユニットで一対一で戦うと蹴散らされ、あっという間に詰め寄られる。
キューレのような戦闘力が飛び抜けた特殊なユニットであれば勝てるかもしれないが、普通のユニットで倒すには各個撃破されないように波状攻撃をしかけなければならず、そのあたりの的確な指示と操作ができないと詰む。
オレからするとそれぐらい少しプレイしていれば出来そうに思えるのだが、対魔物戦では高レベルのユニットをたくさん召喚し、レベルや数で上回っている状態で正面からぶつけて勝つというなんの捻りもない戦い方をする奴がおおいのだ。
でも、そんなやり方でレベルをあげても上位プレイヤーにはもちろん通じない。
そしてそれは魔神の眷属にも同じだ。
「そ、そんなことが……それではまるで異邦人様のようではないですか……」
あぁ、言われてみれば確かにそうか。
魔物を召喚するのは異邦人の専売特許だと思っていたが、こいつらもある意味ユニットを召喚するようなものだ。
「やり方は全く異なるが、言われてみれば似てるかもしれないな。しかし、今はそんなことよりも早く手を打とう」
「あ、はい。邪魔をしてしまってすみません……」
「問題ない。あとはアダマンタイトナイトを送り込むだけだ」
幸いにもこうしている間に、他の井戸を調べさせていたピクシーバードたちの調査も終え、一ヶ所をのぞいて普通の井戸であることを確認できた。
その一ヶ所とは、さきほど侵入した枯れ井戸から一番近くにあった井戸で、儀式をしている広間を挟んで反対側の通路と繋がっていた。
出口が複数あると厄介だが二つならまったく問題ない。
両方にユニットを送り込めば挟み撃ちに出来る。
すでに均等になるように残りのピクシーバードを井戸に向かわせている。
本来ならすべてのピクシーバードが配置についてから一気にユニット交換で送り込むつもりだったのだが、今は時間が惜しい。
「到着したピクシーバードから順に井戸に潜入させ、地下通路に入り次第送り込む。キューレ、召喚はどうなった?」
キューレの練習にユニットを任せている場合ではなくなったので、さっき儀式の監視だけするように指示を切り替えている。
「それが……まだ祭壇が輝いたままで何も現れていません」
「まだ出現していないのか……わかった。引き続き監視を続けてくれ」
数が多いか、高位の魔物が出てくるかもしれない……。
今のうちに少しでもこちらも戦力を送り込んでおこう。
と言っても、もうこれ以上急げないのだがな。
今もジェスチャー操作とコマンド操作を併用しながら、ユニットに次々と個別に指示を出している。
「す、すごい……」
リナシーからしたら何をしているかわからないと思うのだが、なぜかオレの複数ユニット操作を見てそんな言葉をもらしていた。
オレのこの行動がリナシーの目にどのように映っているのか興味があるが、今は余計なことは意識の外においやって集中を高めていく。
そして黙々とアダマンタイトナイトを呼び出してはピクシーバードと位置を交換してアジトへと送り込み、こちらに戻ってきたピクシーバードの召喚を解除していった。
出現させたままだとユニット枠が足りなくなってしまうからだ。
もともとピクシーバードは全部で三〇羽展開させていた。
そのうち二〇羽を今回の作戦に投入し、残りは王都周辺の警戒にあたらせ、そのままにしてある。
ピクシーバードは一枠で五羽召喚できるので六枠。
部屋の隅であくびをしているヘルキャットで一枠……まぁこれでも周囲の警戒をしてくれている。
そして最後がキューレで、一人で五枠使っていた。
だから、さきほどまでは全部で一二枠の使用で済んでいた。
だが、ピクシーバードとユニット交換で入れ替えるアダマンタイトナイトは一体で一枠使う。
つまりピクシーバードなら全部で四枠の使用で済んでいたものが、アダマンタイトナイトに入れ替える事によって、最終的には二〇枠に膨れ上がることになるのだ。
ピクシーバードを出しっぱなしにしていると三〇枠すべて使い切ってしまうことになるため、いざという時のために空き枠を確保しているわけだ。
ちなみに召喚したユニットが倒されると、そのユニットの再召喚がしばらくできなくなる上に、そのユニットが使用していた枠もしばらく使えなくなる。
つまり倒されれば倒されるほどユニット枠が減って不利になるし、倒されたユニットはしばらく呼び出せなくなってしまうので、同じユニットを複数使いたい場合はあらかじめ呼び出しておくなど工夫をする必要があった。
ベルジール戦記のこういう仕様もユニットの扱い方に差が出て面白いところだった。
「よし! これで全部送り込めたぞ!」
運がいいことに配置したアダマンタイトナイトは、まだ誰にも見つかっていない。
ん? 見つかっていないだと……。
なんだ、この違和感は……?
さっきは透明化したピクシーバードだったから見つからなくて当然だったが、アダマンタイトナイトの集団が入口近くに突然出現したのにおかしくないか?
しまった……どうやら恐れていた自体が起きたようだ……。
「くっ!? まずい! ゲージがたまったのか!?」
「げーじ?」
リナシーが言葉の意味がわからず聞き返すが説明するのが難しい。
それに、今度こそ時間がなくなった!
「魔神信仰ビアゾの奴らが儀式を行っていたんだが、その儀式が成功してしまったようだ……」
くっ……リアルでも同じ流れなのかよ!
ゲームだった時の魔神信仰ビアゾがらみのキャンペーンでは、ほとんどの儀式の阻止は時間的に不可能な設定にされていることが多かった。
そして祭壇が輝きだしてしまうと、もう阻止することはできない。
だが、それでキャンペーンが失敗になるわけではない。
その儀式の結果におこる出来事に対して、あらためてキャンペーンを進め、戦いに勝利せよという流れだった。
それがリアルとなったこの世界でも同じような展開だったことに、ちょっと憤りを感じる。
「そ、それは、儀式が成功するとどうなるのですか?」
「いろんなケースがあるみたいだが、多いのは眷属や魔物の召喚だと思う」
その中でも特に厄介なのが魔神の眷属の召喚だ。
眷属が出現するとハードモード確定で、眷属が出た時点でキャンペーンを諦めるやつまでいるぐらいだ。
そういう相手に近づかれると、だいたい瞬殺される。
だから近づかせないように距離をとって指示を出しつつ倒さないといけないのだが、通常のユニットで一対一で戦うと蹴散らされ、あっという間に詰め寄られる。
キューレのような戦闘力が飛び抜けた特殊なユニットであれば勝てるかもしれないが、普通のユニットで倒すには各個撃破されないように波状攻撃をしかけなければならず、そのあたりの的確な指示と操作ができないと詰む。
オレからするとそれぐらい少しプレイしていれば出来そうに思えるのだが、対魔物戦では高レベルのユニットをたくさん召喚し、レベルや数で上回っている状態で正面からぶつけて勝つというなんの捻りもない戦い方をする奴がおおいのだ。
でも、そんなやり方でレベルをあげても上位プレイヤーにはもちろん通じない。
そしてそれは魔神の眷属にも同じだ。
「そ、そんなことが……それではまるで異邦人様のようではないですか……」
あぁ、言われてみれば確かにそうか。
魔物を召喚するのは異邦人の専売特許だと思っていたが、こいつらもある意味ユニットを召喚するようなものだ。
「やり方は全く異なるが、言われてみれば似てるかもしれないな。しかし、今はそんなことよりも早く手を打とう」
「あ、はい。邪魔をしてしまってすみません……」
「問題ない。あとはアダマンタイトナイトを送り込むだけだ」
幸いにもこうしている間に、他の井戸を調べさせていたピクシーバードたちの調査も終え、一ヶ所をのぞいて普通の井戸であることを確認できた。
その一ヶ所とは、さきほど侵入した枯れ井戸から一番近くにあった井戸で、儀式をしている広間を挟んで反対側の通路と繋がっていた。
出口が複数あると厄介だが二つならまったく問題ない。
両方にユニットを送り込めば挟み撃ちに出来る。
すでに均等になるように残りのピクシーバードを井戸に向かわせている。
本来ならすべてのピクシーバードが配置についてから一気にユニット交換で送り込むつもりだったのだが、今は時間が惜しい。
「到着したピクシーバードから順に井戸に潜入させ、地下通路に入り次第送り込む。キューレ、召喚はどうなった?」
キューレの練習にユニットを任せている場合ではなくなったので、さっき儀式の監視だけするように指示を切り替えている。
「それが……まだ祭壇が輝いたままで何も現れていません」
「まだ出現していないのか……わかった。引き続き監視を続けてくれ」
数が多いか、高位の魔物が出てくるかもしれない……。
今のうちに少しでもこちらも戦力を送り込んでおこう。
と言っても、もうこれ以上急げないのだがな。
今もジェスチャー操作とコマンド操作を併用しながら、ユニットに次々と個別に指示を出している。
「す、すごい……」
リナシーからしたら何をしているかわからないと思うのだが、なぜかオレの複数ユニット操作を見てそんな言葉をもらしていた。
オレのこの行動がリナシーの目にどのように映っているのか興味があるが、今は余計なことは意識の外においやって集中を高めていく。
そして黙々とアダマンタイトナイトを呼び出してはピクシーバードと位置を交換してアジトへと送り込み、こちらに戻ってきたピクシーバードの召喚を解除していった。
出現させたままだとユニット枠が足りなくなってしまうからだ。
もともとピクシーバードは全部で三〇羽展開させていた。
そのうち二〇羽を今回の作戦に投入し、残りは王都周辺の警戒にあたらせ、そのままにしてある。
ピクシーバードは一枠で五羽召喚できるので六枠。
部屋の隅であくびをしているヘルキャットで一枠……まぁこれでも周囲の警戒をしてくれている。
そして最後がキューレで、一人で五枠使っていた。
だから、さきほどまでは全部で一二枠の使用で済んでいた。
だが、ピクシーバードとユニット交換で入れ替えるアダマンタイトナイトは一体で一枠使う。
つまりピクシーバードなら全部で四枠の使用で済んでいたものが、アダマンタイトナイトに入れ替える事によって、最終的には二〇枠に膨れ上がることになるのだ。
ピクシーバードを出しっぱなしにしていると三〇枠すべて使い切ってしまうことになるため、いざという時のために空き枠を確保しているわけだ。
ちなみに召喚したユニットが倒されると、そのユニットの再召喚がしばらくできなくなる上に、そのユニットが使用していた枠もしばらく使えなくなる。
つまり倒されれば倒されるほどユニット枠が減って不利になるし、倒されたユニットはしばらく呼び出せなくなってしまうので、同じユニットを複数使いたい場合はあらかじめ呼び出しておくなど工夫をする必要があった。
ベルジール戦記のこういう仕様もユニットの扱い方に差が出て面白いところだった。
「よし! これで全部送り込めたぞ!」
運がいいことに配置したアダマンタイトナイトは、まだ誰にも見つかっていない。
ん? 見つかっていないだと……。
なんだ、この違和感は……?
さっきは透明化したピクシーバードだったから見つからなくて当然だったが、アダマンタイトナイトの集団が入口近くに突然出現したのにおかしくないか?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
64
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる