58 / 59
【第57話:取り戻すため】
しおりを挟む
魔人との戦いから数日が過ぎた。
特に大きな出来事もなく、セギオンの街までの強行軍や激しい魔物との戦いが嘘のような平穏な日々だ。
あの後、オレのS級冒険者としての証言と、皮肉にもレダタンアの力で記憶が消された事が手助けとなり、疑いの晴れたダルド様は正式にこの街の領主となった。
リシルの魔眼の酷使による疲労も翌日には回復しており、オレも聖魔剣レダタンアを全力で使った反動なども特になく、この数日は毎日のように街に出かけてちょっとした観光を楽しんでいる。
セギオンの街は質実剛健といった雰囲気の街で、飾り気は少なく、実用重視といった作りになっていた。
これはこの国で唯一未だに戦闘が頻繁に行われている領である事がそうさせるのだろう。
城壁の高さもただ高いだけでなく、一般的な街の城壁よりも厚く強固なつくりをしており、魔物や魔人の襲撃に備えてバリスタなどの巨大な兵器も備わっているのが目についた。
後で聞いた話だが、騎士団が街から離れずに陣を組んで待ち構えていたのも、それらの兵器を有効に使う為だったようだ。
また、街の住人も辺境の街で日頃から魔物の脅威と向かい合って生きているせいか、肝っ玉の据わった者が多いように感じる。
ただこれは、何件か寄った食事処の女将さんがたまたまそうだっただけかも知れないが……。
微睡みの中でこの数日の事をぼんやりと思い出していると、部屋の扉越しに声がかけられた。
「テッド~? 起きてる~?」
この街に来てからは、ダルド様の強い意向もあり、用意して頂いた部屋で寝泊まりしている。
もちろんリシルとは同じ部屋ではなく、彼女はオレの向かいの部屋に泊まっている。
朝はいつも一緒に来賓用のこの屋敷で用意して頂いているので、お腹が空いて呼びに来たのだろう。
「ねぇ起きてる~? お腹が空いたから朝食にしない?」
どうやら的中のようだ。
「あぁ、起きてる! すぐに用意するから少し待ってくれ!」
オレは聖魔剣だけ腰にさすと、手櫛で軽く髪を整えてドアを開く。
「ねぇねぇ。今日の朝ごはんは何だと思う?」
キラキラしたオッドアイの瞳で楽しそうに尋ねてくるその姿は、歳相応の少女そのものだ。
まぁ、毎日絶品と表現しても問題ないレベルの朝食を用意してくれているので、それも仕方ないのかもしれないが。
「そうだな。エンダ豆が使われていない事だけ祈っていれば、味に間違いは無いんじゃないかな?」
三日目の朝食だっただろうか?
その日も絶品と評して問題ないレベルの料理が出てきたのだが、メインの肉の煮込み料理に、リシルの嫌いなエンダ豆が大量に使われており「そんなに落ち込むか?」という程に落ち込んでいたのだ。
「もぅ! せっかく楽しみにしているのに、そういう事言わないでよ!」
そんな他愛の無い会話を楽しみながら、その日も始まったのだった。
~
幸いにも朝食にはエンダ豆は使われておらず、二人で極上の料理に舌鼓を打ったあと、日課となっている冒険者ギルドに向かっていた。
ただ、今の俺は隣国から流れてきたという設定のS級冒険者テッドとして扱われており、非常に行動しずらい。
「これはこれはテッド様! 今日はどのような依頼をお探しですか?」
ギルドの中に入ると、たまたま受付近くで何か作業の指示を出していたギルドマスターのサウザンが話しかけてきた。
サウザンはギルドマスターにしては珍しく、冒険者あがりではない。
詳しくは知らないが、どこかの領で役人の仕事をしていたらしく、オレにだけでなく皆に腰の低い男のようだ。
一般市民には大量の魔物と魔人が攻めてきた話は伏せられているのだが、さすがにギルドマスターには話が通っており、すっかり英雄視されてしまっているのもその態度を必要以上に低姿勢にしているのかもしれないが……。
しかし、このような態度を取るのはサウザンだけではない。
この国に暫くいなかったS級冒険者が現れたと噂になっているようで、冒険者の中にもオレに憧れの視線を向けてくるものが増えてきていた。
昔は実際にS級冒険者として活動していたので、同じような扱いを受けていた事もあるのだが、この15年の間ですっかり冴えない冒険者としての生活が染みついてしまっており、何だかとても居心地が悪い。
それに、C級冒険者としての依頼をこなしたいのだが、今の状況でそんな依頼を受ける事が出来るわけもなく……。
「そうそう! 魔人国との境にある森での調査依頼があるのですが、いかがですか?」
このように非常に高ランク向けの依頼ばかり勧められるのだ。
「ふふふ。S級冒険者も楽じゃないわね」
そっと腕を組んで小声でオレにだけ聞こえるように呟くリシル。
「いや。悪いな。余程の理由がない限り、まだ暫くは依頼を受けるつもりはないんだ。そもそもダルド様との契約も残っているしな」
そう言ってリシルの腕を振り払って断りをいれる。
慟魔には遠方にいる相手に情報を届ける魔法がある。
もしかすると勇者が生きていたという情報が既に伝わっているかもしれず、そんな危険な状況で魔人国にリシルとたった二人で近づくなど死にに行くようなものだ。
そもそもこの街に留まっているのは、魔人国ゼクストリアにオレの情報が伝わって、魔人どもがこの街にちょっかいをかけてくる可能性があるというのも一つの理由なのだ。
ダルド様からも出来れば暫くこの街に留まって力を貸してほしいと言われているし、逆に今はダルド様に力を貸して貰っている状況なのだから、街を離れるような依頼を受けれるわけがなかった。
「そうですか~。残念ですが仕方ないですね。それでは今日も訓練場の方で?」
だいたいギルドマスターも毎日のことだし把握しているはずなのだが、受ける者の少ない依頼を捌きたいのかもしれない。
「あぁ。今日も屋内のほうの訓練場を借りる事になっているんだ。オリビアさんはまだ来ていないのか?」
この数日は主にこの街の観光を楽しんでいたのだが、一昨日からはダルド様にお願いしてオリビアさんに鈍った身体を鍛え直すため、訓練を手伝ってもらっていた。
元々はギレイドさんに訓練を付けて欲しいとお願いしたのだが、信じられない事にオリビアさんは近接戦闘においてもギレイドさんよりも数段強いとのことで、オリビアさんがその役を受けてくれたのだ。
「オリビア様は今日はまだ来られておりませんね。しかし、S級冒険者という頂点に登り詰めても訓練を欠かさないその姿勢は他の冒険者にも見習って貰いたいものですね」
「そうですよね~。長い間C級のままでのんびり依頼をこなしている冒険者とかには特に見習って欲しいですよね~」
リシルが笑いを堪えながら揶揄ってくるが、事実だけに言い返せない……。
「あぁ……そうだな。そんな奴もいるだろうが、きっとそういう奴も心を入れ替えて頑張る時が来るんじゃないかな……」
それでも何か言い返そうと、ごにょごにょと言い訳を口にしていると、突然背後から声がかかった。
「そうね。毎日少年のようにがむしゃらに頑張っているんじゃないかしら?」
そこにはこの数日で鬼教官となったオリビアさんの微笑む姿があったのだった。
特に大きな出来事もなく、セギオンの街までの強行軍や激しい魔物との戦いが嘘のような平穏な日々だ。
あの後、オレのS級冒険者としての証言と、皮肉にもレダタンアの力で記憶が消された事が手助けとなり、疑いの晴れたダルド様は正式にこの街の領主となった。
リシルの魔眼の酷使による疲労も翌日には回復しており、オレも聖魔剣レダタンアを全力で使った反動なども特になく、この数日は毎日のように街に出かけてちょっとした観光を楽しんでいる。
セギオンの街は質実剛健といった雰囲気の街で、飾り気は少なく、実用重視といった作りになっていた。
これはこの国で唯一未だに戦闘が頻繁に行われている領である事がそうさせるのだろう。
城壁の高さもただ高いだけでなく、一般的な街の城壁よりも厚く強固なつくりをしており、魔物や魔人の襲撃に備えてバリスタなどの巨大な兵器も備わっているのが目についた。
後で聞いた話だが、騎士団が街から離れずに陣を組んで待ち構えていたのも、それらの兵器を有効に使う為だったようだ。
また、街の住人も辺境の街で日頃から魔物の脅威と向かい合って生きているせいか、肝っ玉の据わった者が多いように感じる。
ただこれは、何件か寄った食事処の女将さんがたまたまそうだっただけかも知れないが……。
微睡みの中でこの数日の事をぼんやりと思い出していると、部屋の扉越しに声がかけられた。
「テッド~? 起きてる~?」
この街に来てからは、ダルド様の強い意向もあり、用意して頂いた部屋で寝泊まりしている。
もちろんリシルとは同じ部屋ではなく、彼女はオレの向かいの部屋に泊まっている。
朝はいつも一緒に来賓用のこの屋敷で用意して頂いているので、お腹が空いて呼びに来たのだろう。
「ねぇ起きてる~? お腹が空いたから朝食にしない?」
どうやら的中のようだ。
「あぁ、起きてる! すぐに用意するから少し待ってくれ!」
オレは聖魔剣だけ腰にさすと、手櫛で軽く髪を整えてドアを開く。
「ねぇねぇ。今日の朝ごはんは何だと思う?」
キラキラしたオッドアイの瞳で楽しそうに尋ねてくるその姿は、歳相応の少女そのものだ。
まぁ、毎日絶品と表現しても問題ないレベルの朝食を用意してくれているので、それも仕方ないのかもしれないが。
「そうだな。エンダ豆が使われていない事だけ祈っていれば、味に間違いは無いんじゃないかな?」
三日目の朝食だっただろうか?
その日も絶品と評して問題ないレベルの料理が出てきたのだが、メインの肉の煮込み料理に、リシルの嫌いなエンダ豆が大量に使われており「そんなに落ち込むか?」という程に落ち込んでいたのだ。
「もぅ! せっかく楽しみにしているのに、そういう事言わないでよ!」
そんな他愛の無い会話を楽しみながら、その日も始まったのだった。
~
幸いにも朝食にはエンダ豆は使われておらず、二人で極上の料理に舌鼓を打ったあと、日課となっている冒険者ギルドに向かっていた。
ただ、今の俺は隣国から流れてきたという設定のS級冒険者テッドとして扱われており、非常に行動しずらい。
「これはこれはテッド様! 今日はどのような依頼をお探しですか?」
ギルドの中に入ると、たまたま受付近くで何か作業の指示を出していたギルドマスターのサウザンが話しかけてきた。
サウザンはギルドマスターにしては珍しく、冒険者あがりではない。
詳しくは知らないが、どこかの領で役人の仕事をしていたらしく、オレにだけでなく皆に腰の低い男のようだ。
一般市民には大量の魔物と魔人が攻めてきた話は伏せられているのだが、さすがにギルドマスターには話が通っており、すっかり英雄視されてしまっているのもその態度を必要以上に低姿勢にしているのかもしれないが……。
しかし、このような態度を取るのはサウザンだけではない。
この国に暫くいなかったS級冒険者が現れたと噂になっているようで、冒険者の中にもオレに憧れの視線を向けてくるものが増えてきていた。
昔は実際にS級冒険者として活動していたので、同じような扱いを受けていた事もあるのだが、この15年の間ですっかり冴えない冒険者としての生活が染みついてしまっており、何だかとても居心地が悪い。
それに、C級冒険者としての依頼をこなしたいのだが、今の状況でそんな依頼を受ける事が出来るわけもなく……。
「そうそう! 魔人国との境にある森での調査依頼があるのですが、いかがですか?」
このように非常に高ランク向けの依頼ばかり勧められるのだ。
「ふふふ。S級冒険者も楽じゃないわね」
そっと腕を組んで小声でオレにだけ聞こえるように呟くリシル。
「いや。悪いな。余程の理由がない限り、まだ暫くは依頼を受けるつもりはないんだ。そもそもダルド様との契約も残っているしな」
そう言ってリシルの腕を振り払って断りをいれる。
慟魔には遠方にいる相手に情報を届ける魔法がある。
もしかすると勇者が生きていたという情報が既に伝わっているかもしれず、そんな危険な状況で魔人国にリシルとたった二人で近づくなど死にに行くようなものだ。
そもそもこの街に留まっているのは、魔人国ゼクストリアにオレの情報が伝わって、魔人どもがこの街にちょっかいをかけてくる可能性があるというのも一つの理由なのだ。
ダルド様からも出来れば暫くこの街に留まって力を貸してほしいと言われているし、逆に今はダルド様に力を貸して貰っている状況なのだから、街を離れるような依頼を受けれるわけがなかった。
「そうですか~。残念ですが仕方ないですね。それでは今日も訓練場の方で?」
だいたいギルドマスターも毎日のことだし把握しているはずなのだが、受ける者の少ない依頼を捌きたいのかもしれない。
「あぁ。今日も屋内のほうの訓練場を借りる事になっているんだ。オリビアさんはまだ来ていないのか?」
この数日は主にこの街の観光を楽しんでいたのだが、一昨日からはダルド様にお願いしてオリビアさんに鈍った身体を鍛え直すため、訓練を手伝ってもらっていた。
元々はギレイドさんに訓練を付けて欲しいとお願いしたのだが、信じられない事にオリビアさんは近接戦闘においてもギレイドさんよりも数段強いとのことで、オリビアさんがその役を受けてくれたのだ。
「オリビア様は今日はまだ来られておりませんね。しかし、S級冒険者という頂点に登り詰めても訓練を欠かさないその姿勢は他の冒険者にも見習って貰いたいものですね」
「そうですよね~。長い間C級のままでのんびり依頼をこなしている冒険者とかには特に見習って欲しいですよね~」
リシルが笑いを堪えながら揶揄ってくるが、事実だけに言い返せない……。
「あぁ……そうだな。そんな奴もいるだろうが、きっとそういう奴も心を入れ替えて頑張る時が来るんじゃないかな……」
それでも何か言い返そうと、ごにょごにょと言い訳を口にしていると、突然背後から声がかかった。
「そうね。毎日少年のようにがむしゃらに頑張っているんじゃないかしら?」
そこにはこの数日で鬼教官となったオリビアさんの微笑む姿があったのだった。
0
お気に入りに追加
146
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
神様の願いを叶えて世界最強!! ~職業無職を極めて天下無双する~
波 七海
ファンタジー
※毎週土曜日更新です。よろしくお願い致します。
アウステリア王国の平民の子、レヴィンは、12才の誕生日を迎えたその日に前世の記憶を思い出した。
自分が本当は、藤堂貴正と言う名前で24歳だったという事に……。
天界で上司に結果を出す事を求められている、自称神様に出会った貴正は、異世界に革新を起こし、より進化・深化させてほしいとお願いされる事となる。
その対価はなんと、貴正の願いを叶えてくれる事!?
初めての異世界で、足掻きながらも自分の信じる道を進もうとする貴正。
最強の職業、無職(ニート)となり、混乱する世界を駆け抜ける!!
果たして、彼を待っているものは天国か、地獄か、はたまた……!?
目指すは、神様の願いを叶えて世界最強! 立身出世!
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……
【完結】勇者学園の異端児は強者ムーブをかましたい
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、pixivにも投稿中。
※小説家になろうでは最新『勇者祭編』の中盤まで連載中。
※アルファポリスでは『オスカーの帰郷編』まで公開し、完結表記にしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる