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【第49話:活躍】
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普通なら梃子摺るはずのサイクロプスをなんの反撃もされずに倒す事ができたが、オレの気は晴れなかった。
まだフィアたちを解放できておらず、その身の安全を確保できていないというのもあるが、どうしてもオレはオックスの最期の言葉が気になってしかたなかったからだ。
「これでアレがハッタリだったというのなら、してやられたといったところか……」
いや、ハッタリならオレが苦々しい想いを抱くだけで済む。
それだけで他に何事も起こらないのなら、それで良いだろう。
むしろそうあってくれと思う。
「とにかく、まずはフィアたちの安全を確保することが優先だ。だがその前に……」
あまり気が進まないが、また悪人の手に渡っては目もあてられない。
オックスが使っていた魔物を従える力を持つアーティファクト。
あれを回収しておかなければ……。
「ん? これか……」
それはすぐに見つかった。
大きな魔力を帯びていたからだ。
見た目は宝石に鎖が絡まっているような感じだろうか。
まるでその力を封じ込められいるような姿に畏怖のようなものを感じる。
「あまり触れたくない感じだが仕方ない……」
若干の抵抗を感じながらもオレはそれを手に取った……その時だった。
後ろで何か物音が聞こえて落としそうになる。
「な、なんだ?」
嫌な予感を感じつつも振り返ったオレの目に飛び込んできたのは、予感とは真逆の嬉しいものだった。
「お兄ちゃ~ん!」
「フォーレスト!!」
「フォーレストさん!」
通路を駆けてくるのは、妹のメリアとパーティーメンバーのフィアとロロアだった。
「みんな無事だったか!!」
三人が元気に駆け寄ってくる姿を見て思わず目頭が熱くなるが、ちょっと恥ずかしいので必死に堪え、オレも三人の元へと駆けだした。
良かった……みんな無事で本当に良かった……。
「こっちは大丈夫よ! あっ⁉ お兄ちゃんこそ肩に怪我してるじゃない!?」
そう言えば興奮して忘れていたが、さっきオックスと戦っている時に肩を怪我していたんだった。
そこまで大した怪我では無いと思っていたが、まだ血が完全に止まっていない所を見ると意外と傷が深かったようだ。
「まかせてください!」
オレが怪我をしている事を知ると、ロロアが慌てて駆け寄ってきてすぐに回復魔法をかけてくれた。
「軽治癒! 軽治癒!」
ロロアが肩に添えた手から暖かい光が降り注ぎ、肩から痛みが引いていく。
いや、肩だけではない。
無理なバフの重ね掛けにより悲鳴をあげていた全身から徐々に痛みが消えていった。
「ロロア、ありがとう。もう大丈夫だ」
思い返せば、ローリエの裏切りにあった時にもう一度虐待するためにかけられた軽治癒とは、同じ魔法なのに感じ方が全く違うな……。
そんなもうどうでも良い事を考えていると、フィアとメリアがホッとした表情で声をかけてきた。
「もう! 心配させないでよね!」
「そうだよ。お兄ちゃんは私たちのことを心配するのが仕事でしょ?」
いや、そんな仕事をしているつもりはないのだが……。
まぁ怪我をして心配させてしまったのは確かなので、悪いなとひとこと謝っておいた。
「そんなことより、よく自力で脱出できたな。フィアたちの方こそ大丈夫なのか?」
少なくとも見張りが一人ついていたはずだ。
いったいどうやって?
「へへ~ん! そこはこのメリアが頑張ったからだよ!」
「え? いったいどうやって抜け出したんだ?」
そもそもメリアは、こっそりこっちに自分の召喚獣である小鳥のピッチュを尾行させていたはずだ。
「メリアちゃん、凄いんですよ! もう一体召喚獣を同時召喚できるんです!」
「え? そうなのか? そんなこと一言も言ってなかったじゃないか?」
そもそも召喚魔法で複数同時召喚できるのはかなりの熟練者の認識だったのだが……。
「嘘じゃないわ。そのお陰で見張りの隙をついて鍵を奪って脱出できたんだから」
「へぇ~そうなのか。凄いじゃないか!」
「まぁねぇ~♪ でも、見張りを倒したのはフィアさんなんだけどね」
その後、気になったオレは三人からもう少し詳しく話を聞いてみた。
メリアは、どうやら猫のような召喚獣をもう一体呼び出せるようで、その召喚獣を使って隙をついて鍵をこっそりと奪うと、物音を立てて見張りの男を遠くへと誘導。
扉を開けたと同時にフィアが槍を取り返すと、そのまま一瞬で相手を倒してしまったようだ。
「私の槍が置いてある場所も先にメリアちゃんが調べて置いてくれたのよ」
村では幼いころから神童だとか騒がれていたが、本当に目覚ましい活躍だったようだ。
そもそもオレもメリアの助けがあったおかげで思い切って動けたわけだしな。
「うん、メリアは自慢の妹だよ。あ、そうだ。こっちでのことも話しておく」
パーティーとして活動する上で情報の共有はとても大事だ。
まぁ前のパーティーでは、情報なんて全部適当でそんなことはしたことも無かったがな……。
それはともかく、こちらで何があって、どうやってオックスたちを倒したかを掻い摘んで話しておいた。
「フォーレスト、あなたよくそんなギリギリの戦いで生き残ったわね……」
フィアの言葉はごもっともだ。
オックスたちとの先の戦いでは、なにか一つでも掛け違っていればオレの命はなかったことだろう。
まぁフィアも呆れ半分な振りをしているが、話を聞いてそんなギリギリの戦いだったのに自分は側にいなかったのかと悔しそうな感じだ。
フィアは隠し事が本当に下手だからな。
「……本当にフォーレストさんが無事で良かった……」
メリアはメリアで、こっちは目に涙を溜めていて対処に困るな……。
「ま、まぁとにかく、みんな無事で本当に良かった。それよりこれを見てくれ……」
途中危ない場面は何度もあったが、それでもこうして皆無事ならばそれで十分だ。
それよりも皆にも見てもらいたいものがある。
「オックスが使っていたアーティファクトなんだが……」
そう言って鎖の絡んだ宝石を懐から取り出した時だった。
「な、なんだ!?」
大きな地震でも起きたかのような、凄まじい衝撃がダンジョンを襲ったのだった。
まだフィアたちを解放できておらず、その身の安全を確保できていないというのもあるが、どうしてもオレはオックスの最期の言葉が気になってしかたなかったからだ。
「これでアレがハッタリだったというのなら、してやられたといったところか……」
いや、ハッタリならオレが苦々しい想いを抱くだけで済む。
それだけで他に何事も起こらないのなら、それで良いだろう。
むしろそうあってくれと思う。
「とにかく、まずはフィアたちの安全を確保することが優先だ。だがその前に……」
あまり気が進まないが、また悪人の手に渡っては目もあてられない。
オックスが使っていた魔物を従える力を持つアーティファクト。
あれを回収しておかなければ……。
「ん? これか……」
それはすぐに見つかった。
大きな魔力を帯びていたからだ。
見た目は宝石に鎖が絡まっているような感じだろうか。
まるでその力を封じ込められいるような姿に畏怖のようなものを感じる。
「あまり触れたくない感じだが仕方ない……」
若干の抵抗を感じながらもオレはそれを手に取った……その時だった。
後ろで何か物音が聞こえて落としそうになる。
「な、なんだ?」
嫌な予感を感じつつも振り返ったオレの目に飛び込んできたのは、予感とは真逆の嬉しいものだった。
「お兄ちゃ~ん!」
「フォーレスト!!」
「フォーレストさん!」
通路を駆けてくるのは、妹のメリアとパーティーメンバーのフィアとロロアだった。
「みんな無事だったか!!」
三人が元気に駆け寄ってくる姿を見て思わず目頭が熱くなるが、ちょっと恥ずかしいので必死に堪え、オレも三人の元へと駆けだした。
良かった……みんな無事で本当に良かった……。
「こっちは大丈夫よ! あっ⁉ お兄ちゃんこそ肩に怪我してるじゃない!?」
そう言えば興奮して忘れていたが、さっきオックスと戦っている時に肩を怪我していたんだった。
そこまで大した怪我では無いと思っていたが、まだ血が完全に止まっていない所を見ると意外と傷が深かったようだ。
「まかせてください!」
オレが怪我をしている事を知ると、ロロアが慌てて駆け寄ってきてすぐに回復魔法をかけてくれた。
「軽治癒! 軽治癒!」
ロロアが肩に添えた手から暖かい光が降り注ぎ、肩から痛みが引いていく。
いや、肩だけではない。
無理なバフの重ね掛けにより悲鳴をあげていた全身から徐々に痛みが消えていった。
「ロロア、ありがとう。もう大丈夫だ」
思い返せば、ローリエの裏切りにあった時にもう一度虐待するためにかけられた軽治癒とは、同じ魔法なのに感じ方が全く違うな……。
そんなもうどうでも良い事を考えていると、フィアとメリアがホッとした表情で声をかけてきた。
「もう! 心配させないでよね!」
「そうだよ。お兄ちゃんは私たちのことを心配するのが仕事でしょ?」
いや、そんな仕事をしているつもりはないのだが……。
まぁ怪我をして心配させてしまったのは確かなので、悪いなとひとこと謝っておいた。
「そんなことより、よく自力で脱出できたな。フィアたちの方こそ大丈夫なのか?」
少なくとも見張りが一人ついていたはずだ。
いったいどうやって?
「へへ~ん! そこはこのメリアが頑張ったからだよ!」
「え? いったいどうやって抜け出したんだ?」
そもそもメリアは、こっそりこっちに自分の召喚獣である小鳥のピッチュを尾行させていたはずだ。
「メリアちゃん、凄いんですよ! もう一体召喚獣を同時召喚できるんです!」
「え? そうなのか? そんなこと一言も言ってなかったじゃないか?」
そもそも召喚魔法で複数同時召喚できるのはかなりの熟練者の認識だったのだが……。
「嘘じゃないわ。そのお陰で見張りの隙をついて鍵を奪って脱出できたんだから」
「へぇ~そうなのか。凄いじゃないか!」
「まぁねぇ~♪ でも、見張りを倒したのはフィアさんなんだけどね」
その後、気になったオレは三人からもう少し詳しく話を聞いてみた。
メリアは、どうやら猫のような召喚獣をもう一体呼び出せるようで、その召喚獣を使って隙をついて鍵をこっそりと奪うと、物音を立てて見張りの男を遠くへと誘導。
扉を開けたと同時にフィアが槍を取り返すと、そのまま一瞬で相手を倒してしまったようだ。
「私の槍が置いてある場所も先にメリアちゃんが調べて置いてくれたのよ」
村では幼いころから神童だとか騒がれていたが、本当に目覚ましい活躍だったようだ。
そもそもオレもメリアの助けがあったおかげで思い切って動けたわけだしな。
「うん、メリアは自慢の妹だよ。あ、そうだ。こっちでのことも話しておく」
パーティーとして活動する上で情報の共有はとても大事だ。
まぁ前のパーティーでは、情報なんて全部適当でそんなことはしたことも無かったがな……。
それはともかく、こちらで何があって、どうやってオックスたちを倒したかを掻い摘んで話しておいた。
「フォーレスト、あなたよくそんなギリギリの戦いで生き残ったわね……」
フィアの言葉はごもっともだ。
オックスたちとの先の戦いでは、なにか一つでも掛け違っていればオレの命はなかったことだろう。
まぁフィアも呆れ半分な振りをしているが、話を聞いてそんなギリギリの戦いだったのに自分は側にいなかったのかと悔しそうな感じだ。
フィアは隠し事が本当に下手だからな。
「……本当にフォーレストさんが無事で良かった……」
メリアはメリアで、こっちは目に涙を溜めていて対処に困るな……。
「ま、まぁとにかく、みんな無事で本当に良かった。それよりこれを見てくれ……」
途中危ない場面は何度もあったが、それでもこうして皆無事ならばそれで十分だ。
それよりも皆にも見てもらいたいものがある。
「オックスが使っていたアーティファクトなんだが……」
そう言って鎖の絡んだ宝石を懐から取り出した時だった。
「な、なんだ!?」
大きな地震でも起きたかのような、凄まじい衝撃がダンジョンを襲ったのだった。
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