微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸

文字の大きさ
上 下
13 / 54

【第13話:パーティー】

しおりを挟む
「ねぇ、フォーレスト。私たちとパーティーを組んでみない?」

 その槍使いの女性は長い髪をかき上げながら、ちょっと高圧的な風を装って・・・オレをパーティーに勧誘してきた。

 なぜ、装って・・・と言うのかというと、顔が真っ赤だからだ……。

 あがり症? それとも人見知りなんだろうか?
 それならそんな強がった感じで誘わずに、普通に誘えばいいのに……。

「えっと……いきなり過ぎて答えにくいんだが、まず君らは何者なんだ?」

 話しかけてきている槍使いの方はかなりの美人だし、後ろに隠れてこちらをちらちらと覗いている少女もかなりの美少女だ。
 この半年間、王都にいる間はほぼ毎日のように冒険者ギルドに通っていたので、これだけ目立つ容姿なら見覚えぐらいあっても良さそうなのだが、二人とも初めて見る顔だった。

「私たちはクラン『薔薇の棘』の汚い罠によって全滅させられたパーティー『鋼の拳』のリーダー、セフの妹のフィアとロロアよ!」

 話している女性がフィアで、その後ろに隠れて頷いている子がロロアか。
 赤髪は少し珍しいが、姉妹なら当然か。

 しかし、あいつら同じ冒険者にまでそんな非道な事をしていたのか……。

「それは……辛かったな……」

「へ? あ、いや。うん。ありがとう……」

 自分の妹がもし亡くなったと思ったら、オレまでちょっと沈んだ気持ちになってしまった。

「えっと、それでどうしてオレとパーティーを?」

「私たちも兄のパーティーも、ずっとこの王都の隣街『サグウェイ』で活動してたの。だから、まさか兄たちを罠に嵌めた奴らが王都にいるなんて思ってなくて……」

 本当なら自分たちの手で犯人を見つけて捌きたかったと語るフィア。

「だけど、あなたが兄たちの仇を討ってくれた。という事で、私たちと一緒にパーティーを組んでみない?」

 えっと……結局何が「という事で」なのかわからないのだが……。
 オレに対して感謝しているというのは何となくわかったのだが、それで何故オレとパーティーをという事になったんだ?

「ちょ、ちょっと待ってくれないか。オレが仇を討ったから、オレに興味を持ったってのならわかる。でも、どうしてそれでパーティーを組もうという話になったんだ?」

「……私たち、国から犯人がわかったと連絡を受けて王都にやって来たのだけど、他に知り合いもいないし、かといって二人だと選べる依頼も少なくなっちゃうでしょ? だから他のパーティーメンバーを探してみたんだけど、変なのしか寄ってこないのよ」

 視線を少し逸らし、ちょっとバツが悪そうに答えるフィア。

「まぁ、二人ともその見た目なら、そうなるのも当然じゃないのか?」

「なっ!? ど、どういう意味よ!」

「え? そのままの意味だけど。フォアは美人だし、ロロアも美少女だし、男の冒険者がそりゃぁほっとかないだろうと思っただけだが?」

「だだだ、だけだがって!?」

 その見た目で何をそんなに慌てているのだろう?
 そう思ったので、そのまま口にしてみたのだが……。

「その見た目なら今までも言い寄る奴らは後を絶たなかったんじゃないのか? どうしてそんなに褒められ慣れてないんだ……?」

「い、今までは……兄たちとずっと一緒に活動してたし、兄たちはサグウェイでは皆に一目置かれる存在だったから……」

 なるほど。兄が妹たちに変な虫がつかないよう過保護にしていたという訳か。
 どうりで男勝りが多い女性冒険者にしては、えらく異性と話慣れていない感じがするわけだ。

 しかし、悪い事を聞いてしまったな。

「すまない。ちょっと無神経だったな」

「い、いいわよ。それくらい。兄が亡くなって、もう一年は経つし」

 しかし、どうしたものか。
 確かにオレもパーティーメンバーを探そうと思っていた所だが、こんな簡単に決めてしまって良いものか悩むな。
 一度、とんでもない裏切りを受けたから、ちょっと二の足を踏んでしまう。

「わ、私もまだ経験は少ないけど、それでももう冒険者になって一年半になるわ。サグウェイでは兄たちほどでは無いけど、少しは名が知れているぐらいにね。妹の方は兄が亡くなってから冒険者になったから、まだ半年の新人だけど、怪我をして帰ってくる兄たちの傷をいつも癒していたから、回復魔法の腕は保証するわよ」

 二人とも、冒険者になって半年のオレより、ずっと実力があるのかもしれない。
 だけど、オレが気にしているのは実力よりも、この二人が信用できるかどうかなのだ。

 どうするべきかと悩んでいると、今まで黙って待っていてくれたシリアが声を掛けてきた。

「フォーレストさん。妹さんの方は残念ながら存じ上げないのですが、姉のフィアさんの実力は本物ですよ。私、最近までサグウェイの街の冒険者ギルドにいたのですが、他のギルド職員や冒険者からの評判も凄く良かったですし、フォーレストさんがパーティーを組む気があるのでしたら、良い話だと思いますよ」

 そう言えば、シリアもこの半年間一度も見た事のない受付嬢だとは思っていたが、彼女も隣街からこの王都にやってきたのか。
 サグウェイの街は、王都から馬車で半日ほどの距離なので、人の行き来も多いのだろう。

 そして、ギルド職員に名前を覚えて貰えるほどの実力を持つ、評判の良い冒険者か。
 この先メンバーが見つかったとしても、そいつが信頼できる人間なのかどうかなんて、本当の所はどの道わからない。

 それなら……。

「その……オレもパーティーメンバーを探そうと思っていた所だからありがたい話なのだが、オレのクラスや実力を知ってて誘ってくれているのか?」

 王都にやって来たとき、オレが補助魔法使いだと言うと、どのパーティーにも渋い顔をされて断られた。

 だから、先にしっかりと伝えておかなければいけないと、そう話したのだが……。

「わかってるわ! ロロアと一緒で、まだ冒険者になって半年なんでしょ? 補助魔法使いだって言うのもわかってるから大丈夫よ。それに、妹の回復魔法と組み合わせれば、最大1.5倍に出来るなんてわくわくするじゃない!」

 もしかして、補助魔法のこと調べてきたのか?
 オレの事をそこまでわかった上で誘ってくれているのなら……。

「そうか。そう言う事なら……オレと、パーティーを組んでくれないか?」

「決まりね! じゃぁ、これからよろしく! フォーレスト!」
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる

日之影ソラ
ファンタジー
「ラスト、今日でお前はクビだ」 冒険者パーティで魔力タンク兼雑用係をしていたラストは、ある日突然リーダーから追放を宣告されてしまった。追放の理由は戦闘で役に立たないから。戦闘中に『コネクト』スキルで仲間と繋がり、仲間たちに自信の魔力を分け与えていたのだが……。それしかやっていないことを責められ、戦える人間のほうがマシだと仲間たちから言い放たれてしまう。 一人になり途方にくれるラストだったが、そこへ行方不明だった冒険者の祖父から送り物が届いた。贈り物と一緒に入れられた手紙には一言。 「ラストよ。彼女たちはお前の力になってくれる。ドール使いとなり、使い熟してみせよ」 そう記され、大きな木箱の中に入っていたのは綺麗な少女だった。 これは無能と言われた一人の冒険者が、自動人形(ドール)と共に成り上がる物語。 7/25男性向けHOTランキング1位

ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双

さこゼロ
ファンタジー
突然、異世界に転生召喚された4人の少年少女たち。儀式を行った者たちに言われるがまま、手に持っていたスマホのアプリを起動させる。 ある者は聖騎士の剣と盾、 ある者は聖女のローブ、 それぞれのスマホからアイテムが出現する。 そんな中、ひとりの少年のスマホには、画面にカメラアプリが起動しただけ。 ハズレ者として追放されたこの少年は、これからどうなるのでしょうか… if分岐の続編として、 「帰還した勇者を護るため、今度は私が転移します!」を公開しています(^^)

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

ゴミスキル【スコップ】が本当はチート級でした~無能だからと生き埋めにされたけど、どんな物でも発掘できる力でカフェを経営しながら敵を撃退する~

名無し
ファンタジー
鉱山で大きな宝石を掘り当てた主人公のセインは、仲間たちから用済みにされた挙句、生き埋めにされてしまう。なんとか脱出したところでモンスターに襲われて死にかけるが、隠居していた司祭様に助けられ、外れだと思われていたスキル【スコップ】にどんな物でも発掘できる効果があると知る。それから様々なものを発掘するうちにカフェを経営することになり、スキルで掘り出した個性的な仲間たちとともに、店を潰そうとしてくる元仲間たちを撃退していく。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

処理中です...