124 / 137
第三章 追憶と悔恨
【第122話:名演技?】
しおりを挟む
パズがケルベロスと#死闘を繰り広げて《遊んで》いたころ、オレは決めていた作戦を実行に移そうとしていた。
「クソーヤバイゾー!イッタイドウシタライインダ」
オレがそう言うと更に満足そうな表情を浮かべるゼクスだったのだが……、
「ユウト兄ちゃん、芝居下手すぎるよ……まぁそれに気づかないあっちの魔人もどうかしているけど……」
遠くから隠れて見守っていたズックが呆れたように呟いていたのには気付いていないようだった。
「ふん!所詮女神の使徒と言ってもこの程度か!」
「モウコレマデナノカー!?ニ、ニゲロー!」
オレはそう言うと、さっき張っておいた障壁に向かって走り出す。
「な!?ここまで歯向かっておきながら逃がすか!!」
ゼクスはそう叫び、オレを猛追してくる。
しかし、それを見て焦る二つの影がいた。
「えー!?ゼクス様!?どう考えても怪しいですよ!?」
「えー!?どう考えても罠ですね!?」
クスクスとトストスが叫び止めようと飛び込んでくるが、
「ユウト兄ちゃんの演技下手すぎて焦ったけど、も、もう遅いです!!」
ズックが飛び出してきてゼクス達に向けて手をかざす。
そしてズックは覚悟を決めたような表情を見せるとこう叫ぶのだ。
≪導きの光!≫
その叫ぶ声と同時に眩い光が辺りを埋め尽くす。
それはもう何もかもが真っ白で、たぶん今サングラスかけていても眩しくて目を閉じるほどだったろう。
「ぐはっ!目が!?」
(眩しいって聞いてたけどここまでとは!)
はい。すみません。オレも眩しいとは聞いていたけどちょっと目を細めておけば大丈夫だと思っていました……。
しかしオレは単に目をやられてチカチカしてるだけだが、導きの光を受けたゼクスとクスクス、トストスの三人はそれどころではなかった。
「「きゃー!!何!?何かが私の中の何かが溢れてくる!?」」
「ぐぉ!?やめろ!?なんだ!?このわき上がるものはいったい何なんだ!?」
三人は絶叫をあげながら蹲り、とうとう耐えれなくなったのか地面を転げまわりはじめる。
ズックはその姿を見てようやくホッとしたのか、
「な、何とか上手くできたかな?」
そう呟くと身体がゆっくり傾いていく。
「ズック!?」
オレは≪神光の武威≫の力で一瞬でズックに駆け寄ると支えてあげる。
そして
「よくやってくれた。ありがとうな」
そう言って頭をクシャっとしてあげると、ズックは嬉しそうにしながらゆっくりと目を閉じていくのだった。
~時は遡って数日前~
孤児院の借りているオレの部屋には『暁の刻』のメンバーが集まっていた。
オレ達はこれからダンジョンに潜る事になりそうだという事で、お互いに掴んだ情報に対して意見を交わしていた。
「じゃぁ、やっぱりダンジョンしか考えられないよな~」
オレがそう結論付けると、メイも
「そうでござるな。もう封印破って乗り込んだら良いでござる!」
と物騒な事を言い出す。
オレもまぁそれもありかなぁとか考えていると、リリルが、
「もう!メイちゃんは女の子なんだからすぐそうやって力づくで物事解決しようとするのは良くないよ!」
と注意をする。
(うん。何でも力ずくはよくないよね!)
そもそも男の子は良いのかという所は置いておいて、
「でも、どうするかなぁ?獣人の村に……」
とオレが話し始めた時だった。
コンコン!
扉をノックする音が聞こえる。
(今日は誰も他にお客さんいないって言ってたし、誰だろう?)
オレがそう思っていると、グレスが
「はーい。だれっちか?」
と言って警戒もせずにサクッとドアを開けてしまう。
まぁ第三の目で先に確認していたので良いのだが、もう少し緊張感持って警戒した方が良いと思うんだ……。
そしてドアの向こうにはオレ達をこの孤児院に招いた男の子『ズック』が立っていた。
「夜分にすみません!ズックです。どうしてもお話したいことがあって……」
そう言うと、更に頭をさげてお願いしますと頼んでくる。
「ズックくん。どうしたの?今皆集まってるから少し窮屈だけど入って」
その姿を見てすぐにリリルが微笑みながら部屋に招き入れる。
久しぶりに少しドキッとして見惚れてしまったのは内緒です。
「それでどうしたっちか?何か困った事でも?」
「いえ。困ってるわけではないです。どうしてもユウトさんとお話ししたくて来ました」
そう言ってオレをじっと見つめてくるのだった。
「クソーヤバイゾー!イッタイドウシタライインダ」
オレがそう言うと更に満足そうな表情を浮かべるゼクスだったのだが……、
「ユウト兄ちゃん、芝居下手すぎるよ……まぁそれに気づかないあっちの魔人もどうかしているけど……」
遠くから隠れて見守っていたズックが呆れたように呟いていたのには気付いていないようだった。
「ふん!所詮女神の使徒と言ってもこの程度か!」
「モウコレマデナノカー!?ニ、ニゲロー!」
オレはそう言うと、さっき張っておいた障壁に向かって走り出す。
「な!?ここまで歯向かっておきながら逃がすか!!」
ゼクスはそう叫び、オレを猛追してくる。
しかし、それを見て焦る二つの影がいた。
「えー!?ゼクス様!?どう考えても怪しいですよ!?」
「えー!?どう考えても罠ですね!?」
クスクスとトストスが叫び止めようと飛び込んでくるが、
「ユウト兄ちゃんの演技下手すぎて焦ったけど、も、もう遅いです!!」
ズックが飛び出してきてゼクス達に向けて手をかざす。
そしてズックは覚悟を決めたような表情を見せるとこう叫ぶのだ。
≪導きの光!≫
その叫ぶ声と同時に眩い光が辺りを埋め尽くす。
それはもう何もかもが真っ白で、たぶん今サングラスかけていても眩しくて目を閉じるほどだったろう。
「ぐはっ!目が!?」
(眩しいって聞いてたけどここまでとは!)
はい。すみません。オレも眩しいとは聞いていたけどちょっと目を細めておけば大丈夫だと思っていました……。
しかしオレは単に目をやられてチカチカしてるだけだが、導きの光を受けたゼクスとクスクス、トストスの三人はそれどころではなかった。
「「きゃー!!何!?何かが私の中の何かが溢れてくる!?」」
「ぐぉ!?やめろ!?なんだ!?このわき上がるものはいったい何なんだ!?」
三人は絶叫をあげながら蹲り、とうとう耐えれなくなったのか地面を転げまわりはじめる。
ズックはその姿を見てようやくホッとしたのか、
「な、何とか上手くできたかな?」
そう呟くと身体がゆっくり傾いていく。
「ズック!?」
オレは≪神光の武威≫の力で一瞬でズックに駆け寄ると支えてあげる。
そして
「よくやってくれた。ありがとうな」
そう言って頭をクシャっとしてあげると、ズックは嬉しそうにしながらゆっくりと目を閉じていくのだった。
~時は遡って数日前~
孤児院の借りているオレの部屋には『暁の刻』のメンバーが集まっていた。
オレ達はこれからダンジョンに潜る事になりそうだという事で、お互いに掴んだ情報に対して意見を交わしていた。
「じゃぁ、やっぱりダンジョンしか考えられないよな~」
オレがそう結論付けると、メイも
「そうでござるな。もう封印破って乗り込んだら良いでござる!」
と物騒な事を言い出す。
オレもまぁそれもありかなぁとか考えていると、リリルが、
「もう!メイちゃんは女の子なんだからすぐそうやって力づくで物事解決しようとするのは良くないよ!」
と注意をする。
(うん。何でも力ずくはよくないよね!)
そもそも男の子は良いのかという所は置いておいて、
「でも、どうするかなぁ?獣人の村に……」
とオレが話し始めた時だった。
コンコン!
扉をノックする音が聞こえる。
(今日は誰も他にお客さんいないって言ってたし、誰だろう?)
オレがそう思っていると、グレスが
「はーい。だれっちか?」
と言って警戒もせずにサクッとドアを開けてしまう。
まぁ第三の目で先に確認していたので良いのだが、もう少し緊張感持って警戒した方が良いと思うんだ……。
そしてドアの向こうにはオレ達をこの孤児院に招いた男の子『ズック』が立っていた。
「夜分にすみません!ズックです。どうしてもお話したいことがあって……」
そう言うと、更に頭をさげてお願いしますと頼んでくる。
「ズックくん。どうしたの?今皆集まってるから少し窮屈だけど入って」
その姿を見てすぐにリリルが微笑みながら部屋に招き入れる。
久しぶりに少しドキッとして見惚れてしまったのは内緒です。
「それでどうしたっちか?何か困った事でも?」
「いえ。困ってるわけではないです。どうしてもユウトさんとお話ししたくて来ました」
そう言ってオレをじっと見つめてくるのだった。
0
お気に入りに追加
1,120
あなたにおすすめの小説
続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜
ぽん
ファンタジー
⭐︎書籍化決定⭐︎
『拾ってたものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』
第2巻:2024年5月20日(月)に各書店に発送されます。
書籍化される[106話]まで引き下げレンタル版と差し替えさせて頂きます。
第1巻:2023年12月〜
改稿を入れて読みやすくなっております。
是非♪
==================
1人ぼっちだった相沢庵は小さな子狼に気に入られ、共に異世界に送られた。
絶対神リュオンが求めたのは2人で自由に生きる事。
前作でダークエルフの脅威に触れた世界は各地で起こっている不可解な事に憂慮し始めた。
そんな中、異世界にて様々な出会いをし家族を得たイオリはリュオンの願い通り自由に生きていく。
まだ、読んでらっしゃらない方は先に『拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』をご覧下さい。
前作に続き、のんびりと投稿してまいります。
気長なお付き合いを願います。
よろしくお願いします。
※念の為R15にしています。
※誤字脱字が存在する可能性か高いです。
苦笑いで許して下さい。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜
フウ
ファンタジー
※30話あたりで、タイトルにあるお節介があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これは、最強な幼女が気の赴くままに自堕落ライフを手に入を手に入れる物語。
「……そこまでテンプレ守らなくていいんだよ!?」
絶叫から始まる異世界暗躍! レッツ裏世界の頂点へ!!
異世界に召喚されながらも神様達の思い込みから巻き込まれた事が発覚、お詫びにユニークスキルを授けて貰ったのだが…
「このスキル、チートすぎじゃないですか?」
ちょろ神様が力を込めすぎた結果ユニークスキルは、神の域へ昇格していた!!
これは、そんな公式チートスキルを駆使し異世界で成り上が……らない!?
「圧倒的な力で復讐を成し遂げる?メンド臭いんで結構です。
そんな事なら怠惰に毎日を過ごす為に金の力で裏から世界を支配します!」
そんな唐突に発想が飛躍した主人公が裏から世界を牛耳る物語です。
※やっぱり成り上がってるじゃねぇか。 と思われたそこの方……そこは見なかった事にした下さい。
この小説は「小説家になろう」 「カクヨム」でも公開しております。
上記サイトでは完結済みです。
上記サイトでの総PV1000万越え!
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)
朝食ダンゴ
ファンタジー
不慮の事故(死神の手違い)で命を落としてしまった日本人・御厨 蓮(みくりや れん)は、間違えて死んでしまったお詫びにチートスキルを与えられ、ロートス・アルバレスとして異世界に転生する。
「目立つとろくなことがない。絶対に目立たず生きていくぞ」
生前、目立っていたことで死神に間違えられ死ぬことになってしまった経験から、異世界では決して目立たないことを決意するロートス。
十三歳の誕生日に行われた「鑑定の儀」で、クソスキルを与えられたロートスは、最弱劣等職「無職」となる。
そうなると、両親に将来を心配され、半ば強制的に魔法学園へ入学させられてしまう。
魔法学園のある王都ブランドンに向かう途中で、捨て売りされていた奴隷少女サラを購入したロートスは、とにかく目立たない平穏な学園生活を願うのだった……。
※『小説家になろう』でも掲載しています。
その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜
みおな
ファンタジー
かつて、稀代の魔術師と呼ばれた魔女がいた。
魔王をも単独で滅ぼせるほどの力を持った彼女は、周囲に畏怖され、罠にかけて殺されてしまう。
目覚めたら、三歳の幼子に生まれ変わっていた?
国のため、民のために魔法を使っていた彼女は、今度の生は自分のために生きることを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる