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第二章 激動
【第74話:ゲルド皇国の戦い その1】
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ユウト達が犬ぞりで絶叫している頃、ゲルド皇国の皇都ゲルディアでは熾烈な戦いが始まっていた。
「今だ!第一魔法兵団撃てー!!」
皇都ゲルディアは高さ10mの城壁に囲まれた難攻不落の城塞都市であった。
その城壁の上にいる指揮官と思わしき男の号令と共に、杖を構えた魔法使い達が一斉に詠唱魔法を唱え始める。
そして訓練の賜物なのか、ほぼ同時に100人からなる魔法使い達が詠唱を完成した。
『『『純潔の炎槍!』』』
すると、城壁の前面に無数の炎の渦が現れ、次々と炎の槍を放っていく。
ズガガガガガガガガガガ!!
その光景はまさに圧巻であった。
城壁に今まさに群がろうとしていたオークの変異種による闇の眷属の軍勢が、瞬く間に殲滅されていく。
「どうだ!闇の眷属どもめ!この皇都ゲルディアが簡単に落とせると思うなよ!!」
先ほど号令をかけた指揮官が息まき、それを見ていた他の兵士たちからも歓声があがる。
「見たか!人間を舐めるな!」
「オークごときでこの街を滅ぼせると思うな!」
「さすがゲルド皇国自慢の第一魔法兵団だ!」
城壁を守る兵士たちの士気もあがり、指揮官も安堵の息を漏らす。
「サルジ様。皇都まで攻め込まれて一時はどうなるかと思いましたが、兵士の士気も持ち直しましたし、これならしばらくは何とかなりそうですね!」
先ほどの指揮官とはまた別の指揮官と思われる男が、隣にいる身なりの良い若者に話しかける。
「そうだな…。だが向こうもまだあいさつ代わりに雑兵をよこしただけだ。それに本当にパタ王国が兵をよこしてくれるかわからんのだ」
と、暗い影を落とす。
この男の名は『サルジ・ゲルド』と言い、このゲルド皇国の第一皇子だ。
「せめて2年前の休戦協定の申し入れを受け入れさえしていれば…」
と、思わず後悔の言葉が口から零れ落ちる。
今から2年前。
当時完全に硬直状態になっていた西の国境線が両国に大きな負担になっており、パタ王国の王女が中心となって和平の動きがあった。
しかし、その当時まだ存命だった先の皇帝が断固として拒否した為に和平を結ぶことは出来なかった。
この時、サルジ皇子は何とか先の皇帝を説得しようと奔走したのだが、それがうまくいかなかったことが今になって大きくのしかかっていた。
「まぁ今更悔やんでも仕方ない。パタ王国が闇の眷属が現れた時の盟約を守って動いてくれるのを祈るしかない」
この世界『レムリアス』では、ほとんどの国が闇の眷属の侵攻があった場合は協力してこれを打破すると定められている。
ただ、明確な「協力」の定義がないため強制力もなく、それぞれの国の判断にゆだねられていた。
そうして盟約についていろいろと考えていた時にその音は聞こえてきた。
カンカン!カカン!カンカン!!
城壁の数か所に一段高くなっている見張り塔が設置されているのだが、そこの鐘が打ち鳴らされていた。
「こ、これは!?飛べる魔物が現れた合図か!」
目を凝らして遠くを見てみると、無数の点がこちらに向かって飛んできているのがわかった。
「サルジ様!ここも危険になります!一旦中にお戻りください!」
そう言って隣の指揮官らしき男はそばにいた皇子の近衛兵に指示をだし、城壁内に退避するように促すのだった。
~
そこからはまさに死闘だった。
飛んできた魔物はファンタジーではお馴染みのハーピーと呼ばれる魔物で、この世界では飛行できる霧の魔物として忌み嫌われている魔物の一つだった。
鳥の体に女性の上半身を持ち、その口から発する奇声は弱い物をひるませる効果まで持っていた。
ハーピーは500を超える数で攻め寄せてきて、城壁の上で守っていた兵士たちはもちろん、街の中にまで降り立ち少なくない犠牲者をだしていく。
街のいたるところで乱戦になり、ようやくハーピーを一掃した時には日が暮れようとしていた。
そしてそこから今度はオーガの変異種の部隊が攻め寄せ、城門を破らんとする。
自慢の魔法兵団はハーピーの迎撃で魔力を使い果たしていた為、大した抵抗もできず接近を許すことになる。
このままでは不味いと誰もが思った時、一人のプラチナ冒険者によって瞬く間にオーガが殲滅され、この日の襲撃を何とか乗り切るのだった。
「やっぱ俺っち最強じゃん♪」
「今だ!第一魔法兵団撃てー!!」
皇都ゲルディアは高さ10mの城壁に囲まれた難攻不落の城塞都市であった。
その城壁の上にいる指揮官と思わしき男の号令と共に、杖を構えた魔法使い達が一斉に詠唱魔法を唱え始める。
そして訓練の賜物なのか、ほぼ同時に100人からなる魔法使い達が詠唱を完成した。
『『『純潔の炎槍!』』』
すると、城壁の前面に無数の炎の渦が現れ、次々と炎の槍を放っていく。
ズガガガガガガガガガガ!!
その光景はまさに圧巻であった。
城壁に今まさに群がろうとしていたオークの変異種による闇の眷属の軍勢が、瞬く間に殲滅されていく。
「どうだ!闇の眷属どもめ!この皇都ゲルディアが簡単に落とせると思うなよ!!」
先ほど号令をかけた指揮官が息まき、それを見ていた他の兵士たちからも歓声があがる。
「見たか!人間を舐めるな!」
「オークごときでこの街を滅ぼせると思うな!」
「さすがゲルド皇国自慢の第一魔法兵団だ!」
城壁を守る兵士たちの士気もあがり、指揮官も安堵の息を漏らす。
「サルジ様。皇都まで攻め込まれて一時はどうなるかと思いましたが、兵士の士気も持ち直しましたし、これならしばらくは何とかなりそうですね!」
先ほどの指揮官とはまた別の指揮官と思われる男が、隣にいる身なりの良い若者に話しかける。
「そうだな…。だが向こうもまだあいさつ代わりに雑兵をよこしただけだ。それに本当にパタ王国が兵をよこしてくれるかわからんのだ」
と、暗い影を落とす。
この男の名は『サルジ・ゲルド』と言い、このゲルド皇国の第一皇子だ。
「せめて2年前の休戦協定の申し入れを受け入れさえしていれば…」
と、思わず後悔の言葉が口から零れ落ちる。
今から2年前。
当時完全に硬直状態になっていた西の国境線が両国に大きな負担になっており、パタ王国の王女が中心となって和平の動きがあった。
しかし、その当時まだ存命だった先の皇帝が断固として拒否した為に和平を結ぶことは出来なかった。
この時、サルジ皇子は何とか先の皇帝を説得しようと奔走したのだが、それがうまくいかなかったことが今になって大きくのしかかっていた。
「まぁ今更悔やんでも仕方ない。パタ王国が闇の眷属が現れた時の盟約を守って動いてくれるのを祈るしかない」
この世界『レムリアス』では、ほとんどの国が闇の眷属の侵攻があった場合は協力してこれを打破すると定められている。
ただ、明確な「協力」の定義がないため強制力もなく、それぞれの国の判断にゆだねられていた。
そうして盟約についていろいろと考えていた時にその音は聞こえてきた。
カンカン!カカン!カンカン!!
城壁の数か所に一段高くなっている見張り塔が設置されているのだが、そこの鐘が打ち鳴らされていた。
「こ、これは!?飛べる魔物が現れた合図か!」
目を凝らして遠くを見てみると、無数の点がこちらに向かって飛んできているのがわかった。
「サルジ様!ここも危険になります!一旦中にお戻りください!」
そう言って隣の指揮官らしき男はそばにいた皇子の近衛兵に指示をだし、城壁内に退避するように促すのだった。
~
そこからはまさに死闘だった。
飛んできた魔物はファンタジーではお馴染みのハーピーと呼ばれる魔物で、この世界では飛行できる霧の魔物として忌み嫌われている魔物の一つだった。
鳥の体に女性の上半身を持ち、その口から発する奇声は弱い物をひるませる効果まで持っていた。
ハーピーは500を超える数で攻め寄せてきて、城壁の上で守っていた兵士たちはもちろん、街の中にまで降り立ち少なくない犠牲者をだしていく。
街のいたるところで乱戦になり、ようやくハーピーを一掃した時には日が暮れようとしていた。
そしてそこから今度はオーガの変異種の部隊が攻め寄せ、城門を破らんとする。
自慢の魔法兵団はハーピーの迎撃で魔力を使い果たしていた為、大した抵抗もできず接近を許すことになる。
このままでは不味いと誰もが思った時、一人のプラチナ冒険者によって瞬く間にオーガが殲滅され、この日の襲撃を何とか乗り切るのだった。
「やっぱ俺っち最強じゃん♪」
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