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第二章 激動
【第45話:加護の力】
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オレ達は軽く自己紹介を済ませ、騎士たちと共に街道を進んでいた。
パズやオレは既にオーガの気配を察知しており、奇襲される心配もないので結構余裕だったりしたのだが、騎士たちにはかなりの緊張の色が伺える。
「しかし、本当にお前らシルバーランク並みの実力があるんだろうな?」
と、若い騎士セグが疑い深げな眼を向けてくる。
まぁ当然の事だろう。何せ15、6歳の少年少女に10歳の女の子。見た事もない小さな従魔にスターベア。
この中で唯一スターベアのキントキがその騎士を安心させる存在だったろう。
(まさかキントキがこの中で一番弱いとは思いもよらないよな…)
とオレもそう思う。
「大丈夫でござる!我らは全員加護持ちでござるよ!」
と、いきなりばらすメイ…。
「メイちゃん!?」
と叫ぶリリルの声に、「あ…」とやってしまったという顔のメイ。
悪気はないのだろうけれど、メイのこの隠し事できない性格は今のうちに何とかしないといけないと心に誓うのだった。
そしてキントキが若干「あちゃー…」って仕草をしていたのが少しおかしかった。
しかし、メイがうっかりもらしたその情報の効果は絶大で、騎士たちに一気に安堵の色が広がる。
「おぉ!?本当か!それは失礼した!」
「しかし、加護持ちだけで構成された冒険者パーティーとは凄いな。いや。それはギルドのお墨付きをもらうわけだ」
この世界レムリアスでは、加護を授かった存在は神に準ずるものとして、崇められるような国もあるほどだ。
この国パタ王国では崇められるほどではないが、それでも尊敬され頼られるような存在だった。
今回はそこまで騒ぎにならないだろうが、国によっては要注意である。
「あの…出来れば大事にしたくないので、他言無用でお願いします」
と、一応頭をさげておいた。
すると、その話が聞こえたのか馬車の中から突然話しかけられるのだった。
~
「すみません!加護持ちと言うのは本当なのですか!?」
聞こえてきたのは若い女の子の声。
馬車の横についている窓があけられ顔をのぞかしている。
もうバレたんだし、嘘をついても仕方ないかと
「えっと…はい。オレ達はこの従魔も含めて全員ある女神様の加護を受けております」
と、貴族の令嬢と思われる女の子に丁寧に返答する。
すると隣にいた騎士隊長のメンフィスが、
「こちらはコルムスの街の領主の令嬢でユリ・コルムス様であらせられます」
と教えてくれる。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。私はユリと申します」
よろしくお願いしますと、改めて挨拶をしてくる。
こちらも挨拶を返し軽く自己紹介をすませると、改めて何か話があるようで窓から更に身を乗り出そうとしてくる。
その姿はまさに貴族の令嬢といった雰囲気で、胸にかかる綺麗な銀髪に青い瞳。
リリルに勝るとも劣らない美少女だった。
そして何か話し始めようとしたその時だった。
「ばぅわぅ!」
と、パズが警告を発してきたのだった。
~
「オーガの集団が何かを追いかけてこちらに向かってきます!その数8!」
オレがその詳細を伝えると、騎士たちも動き出す。
「お嬢様!話は後です!馬車の中にお入りください!」
と告げて、騎士たちで馬車を守り、迎え撃つ陣形をくむ。
先ほどオーガは基本的に任せて欲しいと伝えておいたので、守りに徹するつもりなのだろう。
そしてオレも次々と指示を出していき、
「リリルは騎士と一緒に馬車の護衛を!メイ、キントキはオレとパズが先制攻撃をしかけるから討ち漏らしのフォローを頼む!行くぞパズ!」
と、パズと一緒に先行するのだった。
~
何かを追うオーガの集団はもう100mほどの距離に迫っていた。
追われているのは一人の女性のようだ。
ただ、その速度がおかしい。
オーガは2mを超えるまさに鬼のような人型の魔物である。
素早い動きこそ出来ないが、その巨体から走る速度はかなり早い。
それなのにその女性は、追われながらも弓で反撃しながら逃げていたのだ。
しかし、このままではオレやパズの魔法に巻き込む恐れがあるので大声で注意を促す。
「そこの人!魔法を放つから離れれるだけ離れてください!」
そこでようやくオレとパズに気付いたようで、
「わかったわ!!お願い!」
と言ったかと思うと、風魔法か何かで更にスピードをあげてオーガーとの距離を離しにかかる。
そしてオレは十分な距離が稼げたのを確認すると、
≪我は『残照の優斗』の名において力を行使する≫
と小声で略式の祝詞をあげて地面に手を付け発動する。
≪義憤の爪痕≫
すると、そこから5本の爪痕が地面を駆け、オーガの集団に襲い掛かる。
ズガガガガガガガガガッ!
3匹のオーガを巻き込んだその一撃は、オーガを切り刻み肉片に変えるのだった。
~
「え!?何よそれ!?オーガを3匹纏めてとか嘘でしょ!?」
とその女性が驚き叫ぶが、これで終わりではなかった。
「ばぁぉ~ん!」
パズのその変な一吠えで、パズの周りに無数の氷の塊が現れ、次々と生き残ったオーガに襲い掛かる。
ズバババ!!
その一撃を受けた4匹のオーガはみるみるうちに氷に包まれていき氷像となって息絶える。
そして残った最後の一匹は、オレの横を駆け抜けていったキントキとメイが一気に詰め寄ると、
「成敗でござる!」
そう言って、オレ直伝の連撃での特製魔力撃を叩き込み、オーガの体をズタボロにすると、
「がおぉー!」
と、叫んで放たれたキントキの一撃で止めを刺したのだった。
パズやオレは既にオーガの気配を察知しており、奇襲される心配もないので結構余裕だったりしたのだが、騎士たちにはかなりの緊張の色が伺える。
「しかし、本当にお前らシルバーランク並みの実力があるんだろうな?」
と、若い騎士セグが疑い深げな眼を向けてくる。
まぁ当然の事だろう。何せ15、6歳の少年少女に10歳の女の子。見た事もない小さな従魔にスターベア。
この中で唯一スターベアのキントキがその騎士を安心させる存在だったろう。
(まさかキントキがこの中で一番弱いとは思いもよらないよな…)
とオレもそう思う。
「大丈夫でござる!我らは全員加護持ちでござるよ!」
と、いきなりばらすメイ…。
「メイちゃん!?」
と叫ぶリリルの声に、「あ…」とやってしまったという顔のメイ。
悪気はないのだろうけれど、メイのこの隠し事できない性格は今のうちに何とかしないといけないと心に誓うのだった。
そしてキントキが若干「あちゃー…」って仕草をしていたのが少しおかしかった。
しかし、メイがうっかりもらしたその情報の効果は絶大で、騎士たちに一気に安堵の色が広がる。
「おぉ!?本当か!それは失礼した!」
「しかし、加護持ちだけで構成された冒険者パーティーとは凄いな。いや。それはギルドのお墨付きをもらうわけだ」
この世界レムリアスでは、加護を授かった存在は神に準ずるものとして、崇められるような国もあるほどだ。
この国パタ王国では崇められるほどではないが、それでも尊敬され頼られるような存在だった。
今回はそこまで騒ぎにならないだろうが、国によっては要注意である。
「あの…出来れば大事にしたくないので、他言無用でお願いします」
と、一応頭をさげておいた。
すると、その話が聞こえたのか馬車の中から突然話しかけられるのだった。
~
「すみません!加護持ちと言うのは本当なのですか!?」
聞こえてきたのは若い女の子の声。
馬車の横についている窓があけられ顔をのぞかしている。
もうバレたんだし、嘘をついても仕方ないかと
「えっと…はい。オレ達はこの従魔も含めて全員ある女神様の加護を受けております」
と、貴族の令嬢と思われる女の子に丁寧に返答する。
すると隣にいた騎士隊長のメンフィスが、
「こちらはコルムスの街の領主の令嬢でユリ・コルムス様であらせられます」
と教えてくれる。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。私はユリと申します」
よろしくお願いしますと、改めて挨拶をしてくる。
こちらも挨拶を返し軽く自己紹介をすませると、改めて何か話があるようで窓から更に身を乗り出そうとしてくる。
その姿はまさに貴族の令嬢といった雰囲気で、胸にかかる綺麗な銀髪に青い瞳。
リリルに勝るとも劣らない美少女だった。
そして何か話し始めようとしたその時だった。
「ばぅわぅ!」
と、パズが警告を発してきたのだった。
~
「オーガの集団が何かを追いかけてこちらに向かってきます!その数8!」
オレがその詳細を伝えると、騎士たちも動き出す。
「お嬢様!話は後です!馬車の中にお入りください!」
と告げて、騎士たちで馬車を守り、迎え撃つ陣形をくむ。
先ほどオーガは基本的に任せて欲しいと伝えておいたので、守りに徹するつもりなのだろう。
そしてオレも次々と指示を出していき、
「リリルは騎士と一緒に馬車の護衛を!メイ、キントキはオレとパズが先制攻撃をしかけるから討ち漏らしのフォローを頼む!行くぞパズ!」
と、パズと一緒に先行するのだった。
~
何かを追うオーガの集団はもう100mほどの距離に迫っていた。
追われているのは一人の女性のようだ。
ただ、その速度がおかしい。
オーガは2mを超えるまさに鬼のような人型の魔物である。
素早い動きこそ出来ないが、その巨体から走る速度はかなり早い。
それなのにその女性は、追われながらも弓で反撃しながら逃げていたのだ。
しかし、このままではオレやパズの魔法に巻き込む恐れがあるので大声で注意を促す。
「そこの人!魔法を放つから離れれるだけ離れてください!」
そこでようやくオレとパズに気付いたようで、
「わかったわ!!お願い!」
と言ったかと思うと、風魔法か何かで更にスピードをあげてオーガーとの距離を離しにかかる。
そしてオレは十分な距離が稼げたのを確認すると、
≪我は『残照の優斗』の名において力を行使する≫
と小声で略式の祝詞をあげて地面に手を付け発動する。
≪義憤の爪痕≫
すると、そこから5本の爪痕が地面を駆け、オーガの集団に襲い掛かる。
ズガガガガガガガガガッ!
3匹のオーガを巻き込んだその一撃は、オーガを切り刻み肉片に変えるのだった。
~
「え!?何よそれ!?オーガを3匹纏めてとか嘘でしょ!?」
とその女性が驚き叫ぶが、これで終わりではなかった。
「ばぁぉ~ん!」
パズのその変な一吠えで、パズの周りに無数の氷の塊が現れ、次々と生き残ったオーガに襲い掛かる。
ズバババ!!
その一撃を受けた4匹のオーガはみるみるうちに氷に包まれていき氷像となって息絶える。
そして残った最後の一匹は、オレの横を駆け抜けていったキントキとメイが一気に詰め寄ると、
「成敗でござる!」
そう言って、オレ直伝の連撃での特製魔力撃を叩き込み、オーガの体をズタボロにすると、
「がおぉー!」
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