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第三章 追憶と悔恨
【第134話:新たなる旅立ち】
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次の目的地が決まってから更に1週間。
オレ達は色々と旅の準備をして過ごしていたが、今は久しぶりにパズと2人で皇都の外を散歩していた。
本当は皇都の中で散歩していたのだが、人に囲まれたり、色んな人に声をかけられたりするので、ちょっと静かに散歩したくなって皇都の外までやってきたのだ。
ようやくオレの頭の上から飛び降りると、尻尾を振りながらオレより先を歩き出すパズ。
そう言えばパズが家に来た時、躾けようとオレの後ろを歩かせようとしたが上手くいかなくて、意地になって二人で全力疾走したな……。
何か首輪引っ張って止めるのが可哀そうで、それならオレがパズより早く先を歩けば良いんだと……オレも若かったからね……。
「ばぅ!」
オレが昔の事を思い出している間にパズが随分先に行ってしまっていて、早く来いと怒っている。
「わかったよ。そんな急かさなくても」
オレはようやくパズに追い付きそうになると、パズは一段ギアをあげて走り出す。
そしてオレも追い付くためにまた少し早く駆けると、またパズが上回る速度にスピードをあげる。
「……ようし!その勝負受けた!」
オレはそう叫ぶとパズと一緒に昔のように駆け出したのだった。
~
昔のようで昔のようにはいかなかった……。
「そ・れ・で!何でユウトっちとパスっちは皇都の外で砂煙立ち上げて何周も走ってたっちか!?」
オレとパズは門まで戻ってくると、待ち受けていた衛兵の皆さんと助けを求められたグレスに大目玉をくらっていた。
つい昔みたいにムキになって競争したのだが、前世の身体能力とは比べようもないオレとパスは、砂煙が上がるほどの激走となり、魔物か何かの襲撃と間違われたそうだ。
だけど、説教を受けつつもオレとパズは視線を合わし、こみ上げる笑いを堪えるのに必死だった。グレスには内緒の話だ。
グレスと衛兵の皆さんに酒を奢って何とか許して貰った。
解放されたオレとパズは、明日の出発の準備を終わらせるため、当初の目的の買い物と言う名の任務を遂行しに行くのだった。
~出発当日の朝~
「バッカムさん、オズバンさん、本当に再会出来て嬉しかったです。オレ達は帝国でしばらくのんびり冒険者生活するつもりなんで、もし商売で帝国に来ることがあったらギルドに連絡してください!」
バッカムさんはこの皇都で商売になりそうな商品をみつけたので、仕入れの為にまだもうしばらく皇都にいるという話だった。もちろん目に涙いっぱい貯めてるオズバンさんも。意地張らないで泣けば良いのにリリルの前で泣きたくないのだろう。オズバンさんらしいけど。
「僕もキントキも連絡待ってるでござるよ!」
案外メイは元気だ。まぁ空元気なのは付き合いも長くなったので一目でわかるけど、男の子みたいな可愛らしさのメイだったけど、最近は少し女の子っぽくなってきている。もう最初みたいに間違う事はないだろう。
オレ達はしばらくオズバンさん達と別れを惜しみつつも、宿の外にでる。
てっきり門の所まで見送りに来てくれるものだと思っていたのだが、商品の打ち合わせがあるようでここでお別れとなった。
~
その後、オレ達が大通りまで歩いていくと、何か通りに凄い人がいる。
「何?何かあったのか?」
いつも大通りはそれなりの人がいるが今日は倍どころじゃない人でごった返している。
「何でしょう?人込みで先が見えないですね。何か市でも開かれるんでしょうか?」
リリルや他の皆も不思議そうだ。
「ずっと皇都で活動してるけど、こんな所で市とか聞いた事ないっちよ?」
そんな会話をしている時だった。
オレ達に気付いた人たちがさっと横にどいて道をあけると、街に設置されている緊急連絡用の魔道具から音声が発せられる。
オレ達は魔物の襲撃かと一瞬身構えるが、聞こえてきたのはサルジ皇子の楽しそうな声だった。
≪暁の刻のユウト、グレス、リリル、メイ。並びにその獣魔のパズ、キントキ、ケリーに、我が皇都の民は永遠の信頼と感謝を捧げる!君らの旅路と未来に幸多からん事を!≫
そう発せられると、周りが皇都のシンボルの一つである「捧げの花」と呼ばれる花の花びらを一斉に空に放り投げる。
「「「幸多からん事を!!」」」
皇都が割れんばかりの歓声に包まれるのをオレ達は呆気に取られてみていた。
「やられたっち……サルジ皇子がギフト使って待ち伏せていたっちよ」
そう言って出発する予定だった門の方を指さすと、門の前に豪奢な馬車が停まっており、その前に軽く手をあげているサルジ皇子がこちらに手を振っていた。
「まぁせっかくの見送りだ。歓声に手でも振りながら、新たな旅路の一歩としようか」
「ばぅわぅ!!」
「あ。先にパズ君に返事されちゃいましたね」
オレ達はこうして皇都を後にし、次の目的地である『デルファイ帝国』の首都『デルフィ』に向けて歩きだす。
次は迷宮『サルバロス』でひと暴れだ!
オレ達は色々と旅の準備をして過ごしていたが、今は久しぶりにパズと2人で皇都の外を散歩していた。
本当は皇都の中で散歩していたのだが、人に囲まれたり、色んな人に声をかけられたりするので、ちょっと静かに散歩したくなって皇都の外までやってきたのだ。
ようやくオレの頭の上から飛び降りると、尻尾を振りながらオレより先を歩き出すパズ。
そう言えばパズが家に来た時、躾けようとオレの後ろを歩かせようとしたが上手くいかなくて、意地になって二人で全力疾走したな……。
何か首輪引っ張って止めるのが可哀そうで、それならオレがパズより早く先を歩けば良いんだと……オレも若かったからね……。
「ばぅ!」
オレが昔の事を思い出している間にパズが随分先に行ってしまっていて、早く来いと怒っている。
「わかったよ。そんな急かさなくても」
オレはようやくパズに追い付きそうになると、パズは一段ギアをあげて走り出す。
そしてオレも追い付くためにまた少し早く駆けると、またパズが上回る速度にスピードをあげる。
「……ようし!その勝負受けた!」
オレはそう叫ぶとパズと一緒に昔のように駆け出したのだった。
~
昔のようで昔のようにはいかなかった……。
「そ・れ・で!何でユウトっちとパスっちは皇都の外で砂煙立ち上げて何周も走ってたっちか!?」
オレとパズは門まで戻ってくると、待ち受けていた衛兵の皆さんと助けを求められたグレスに大目玉をくらっていた。
つい昔みたいにムキになって競争したのだが、前世の身体能力とは比べようもないオレとパスは、砂煙が上がるほどの激走となり、魔物か何かの襲撃と間違われたそうだ。
だけど、説教を受けつつもオレとパズは視線を合わし、こみ上げる笑いを堪えるのに必死だった。グレスには内緒の話だ。
グレスと衛兵の皆さんに酒を奢って何とか許して貰った。
解放されたオレとパズは、明日の出発の準備を終わらせるため、当初の目的の買い物と言う名の任務を遂行しに行くのだった。
~出発当日の朝~
「バッカムさん、オズバンさん、本当に再会出来て嬉しかったです。オレ達は帝国でしばらくのんびり冒険者生活するつもりなんで、もし商売で帝国に来ることがあったらギルドに連絡してください!」
バッカムさんはこの皇都で商売になりそうな商品をみつけたので、仕入れの為にまだもうしばらく皇都にいるという話だった。もちろん目に涙いっぱい貯めてるオズバンさんも。意地張らないで泣けば良いのにリリルの前で泣きたくないのだろう。オズバンさんらしいけど。
「僕もキントキも連絡待ってるでござるよ!」
案外メイは元気だ。まぁ空元気なのは付き合いも長くなったので一目でわかるけど、男の子みたいな可愛らしさのメイだったけど、最近は少し女の子っぽくなってきている。もう最初みたいに間違う事はないだろう。
オレ達はしばらくオズバンさん達と別れを惜しみつつも、宿の外にでる。
てっきり門の所まで見送りに来てくれるものだと思っていたのだが、商品の打ち合わせがあるようでここでお別れとなった。
~
その後、オレ達が大通りまで歩いていくと、何か通りに凄い人がいる。
「何?何かあったのか?」
いつも大通りはそれなりの人がいるが今日は倍どころじゃない人でごった返している。
「何でしょう?人込みで先が見えないですね。何か市でも開かれるんでしょうか?」
リリルや他の皆も不思議そうだ。
「ずっと皇都で活動してるけど、こんな所で市とか聞いた事ないっちよ?」
そんな会話をしている時だった。
オレ達に気付いた人たちがさっと横にどいて道をあけると、街に設置されている緊急連絡用の魔道具から音声が発せられる。
オレ達は魔物の襲撃かと一瞬身構えるが、聞こえてきたのはサルジ皇子の楽しそうな声だった。
≪暁の刻のユウト、グレス、リリル、メイ。並びにその獣魔のパズ、キントキ、ケリーに、我が皇都の民は永遠の信頼と感謝を捧げる!君らの旅路と未来に幸多からん事を!≫
そう発せられると、周りが皇都のシンボルの一つである「捧げの花」と呼ばれる花の花びらを一斉に空に放り投げる。
「「「幸多からん事を!!」」」
皇都が割れんばかりの歓声に包まれるのをオレ達は呆気に取られてみていた。
「やられたっち……サルジ皇子がギフト使って待ち伏せていたっちよ」
そう言って出発する予定だった門の方を指さすと、門の前に豪奢な馬車が停まっており、その前に軽く手をあげているサルジ皇子がこちらに手を振っていた。
「まぁせっかくの見送りだ。歓声に手でも振りながら、新たな旅路の一歩としようか」
「ばぅわぅ!!」
「あ。先にパズ君に返事されちゃいましたね」
オレ達はこうして皇都を後にし、次の目的地である『デルファイ帝国』の首都『デルフィ』に向けて歩きだす。
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