23 / 23
第一章 Legend Idoru Notes
終わる世界
しおりを挟む
「なんで! なんでこのタイミングやねん!」
お松の怒声が車内に響く。必死に車のキーを回すが車は微動だにせず、なす術の無いアリス達を地割れが容赦なく飲み込んだ。空が急激に遠ざかり底が無い奈落へ落ちていく。
「こない死に方嫌やああああああ!」
それぞれが死を覚悟したその時、アリスのペンダントが再び光を放つ。奈落へ落ちていたはずの車は光に包まれ、時間が止まったかのようにその場に留まり全く動く気配が無かったエンジンが稼働した。ペンダントの光が真っ直ぐ前に伸びたかと思うと目の前に淡い光の輪を出現させた。
「こりゃどういうこった?」
「……龍二さん、このままあの光の輪に向かって進んで下さい!」
光の輪の先が何処なのか、どうなっているのか分からない。けれど、この窮地を脱することが出来るという確信がアリスにはあった。一か八かだ、と龍二はアクセルを限界まで踏み込み車を発進させる。落ちてくる瓦礫や建物を避け続け車は光の輪の中へと侵入した。
アリス達を乗せた車が光の輪に入った直後、世界を完全に闇が覆い例外無く奈落の底へ沈んだ。星の悲鳴のような地鳴りを最後に、音も光も無い無となった。
♢
「ここは……一体」
小鳥の囀りが聞こえる。風に煽られる木々のざわめきが聞こえる。空から差し込む、優しい木漏れ日が見えた。
どこかの山中なのだろう、青青しい竹林が空高く伸び、地面には様々な植物が自生している。周囲が静寂に包まれる中、車のエンジン音が木霊していた。
お松の怒声が車内に響く。必死に車のキーを回すが車は微動だにせず、なす術の無いアリス達を地割れが容赦なく飲み込んだ。空が急激に遠ざかり底が無い奈落へ落ちていく。
「こない死に方嫌やああああああ!」
それぞれが死を覚悟したその時、アリスのペンダントが再び光を放つ。奈落へ落ちていたはずの車は光に包まれ、時間が止まったかのようにその場に留まり全く動く気配が無かったエンジンが稼働した。ペンダントの光が真っ直ぐ前に伸びたかと思うと目の前に淡い光の輪を出現させた。
「こりゃどういうこった?」
「……龍二さん、このままあの光の輪に向かって進んで下さい!」
光の輪の先が何処なのか、どうなっているのか分からない。けれど、この窮地を脱することが出来るという確信がアリスにはあった。一か八かだ、と龍二はアクセルを限界まで踏み込み車を発進させる。落ちてくる瓦礫や建物を避け続け車は光の輪の中へと侵入した。
アリス達を乗せた車が光の輪に入った直後、世界を完全に闇が覆い例外無く奈落の底へ沈んだ。星の悲鳴のような地鳴りを最後に、音も光も無い無となった。
♢
「ここは……一体」
小鳥の囀りが聞こえる。風に煽られる木々のざわめきが聞こえる。空から差し込む、優しい木漏れ日が見えた。
どこかの山中なのだろう、青青しい竹林が空高く伸び、地面には様々な植物が自生している。周囲が静寂に包まれる中、車のエンジン音が木霊していた。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜
華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日
この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。
札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。
渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。
この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。
一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。
そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。
この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。
この作品はフィクションです。
実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる