【完結】アラサーの俺がヒロインの友達に転生?ナイワー

七地潮

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図書室って眠くなるよね

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なんだかんだで、クリスティーナ達は3人で話し合うことが増えた。
(正確にはもう一人いるけどね)
つまり、俺は割とフリーになったんだよね。

今まで週に2度くらいのペースで、クリスティーナと街へ繰り出していたんだけど、話し合いがない日でも、クリスティーナは忙しくしていて、誘うに誘えない。
スカーレットも嫁入り目指して色々教育があるらしく、こちらも忙しい。

……他に友達いないもんなぁ。

いやいや、クラスメイトと仲が悪いとかではないよ。
ただ放課後一緒に遊ぶ程親しい人っていないんだよね。

そう言えば、女生徒ABCもすっかりおとなしくなったよな。
だから余計に暇を感じるのか?

兄も勿論忙しい。
3人で話し合ったことを父に報告しないといけないし。
そんでもって、こんな時は普通なら婚約者がそばにいてくれるもんじゃないかな、と思うんだけど……ね。
居ないもんはしょうがない。
優先順位が違うからね。


今日もまっすぐ家に帰るのもなんだし、唯一構ってくれそうなヤスハルは休みだし、一人で街へは行っちゃダメだって言われてるしで、行くとこなくて図書室へ来ている。


最近は図書室通いが増えたんだけど、学園の図書館って、図書室と言うより【資料室】なんだよね。
小説とか置いてないの。

歴史書や年表とかの、授業で使う系統とか、建築資料や流通や販売などの、職業系の資料とかとかばっかり。

娯楽系統が置いてないんだよね。
唯一有るとすれば、詩集か?
でも、これもどちらかと言うと、授業で使う系かな。

昼ご飯の後、図書室の陽の当たる窓際で、小難しい資料に目を通してると、ついついうたた寝しちゃうのは仕方なくない?

今日もうとうととしながら、【王族の歴史】なる物を眺めている。
そう、読んでると言うより眺めているだよね。

うとうとと、半分眠りの世界へ旅立っていて、気づくと横に温かく柔らかい物が有ったから、それに体を預けて「あ~このまま眠りそう」なんて思っていたら、どうやら本格的に寝てしまったようだ。

「そろそろ起きないと日が暮れますよ」
優しく囁く声に、意識が浮上してくる。
あ~イケボだね~。
誰だっけこれ。
それよりまだ眠いんだって。
頭の下の温かいモノにグリグリと頭を擦り付ける。

「ほら、風邪をひきますよ」
クスクス笑いながらイケボが言う。
えーと、この声は知らない声じゃない。
けど兄じゃないし、父でもない。
リズヴァーンでも、家の者でも……ない…?

誰だ!

一気に目が覚めたよ。
バチっと目を見開くと…なんてこったい、俺よ!
ソファーに座っていたはずが、いつの間にか横になっているよ!
そんなにがっつり寝ていたのかよ!

って言うツッコミより、なんとまあ横になった俺は、いつから居たのか、ベルアルムの膝枕で寝ていましたとさ。

衝撃で固まってしまい、横になったまま硬直している俺を覗き込み、クスクス笑っているベルアルム。
うん、美形って下から見ても美形だわ。
しかも頭を撫でられている。
パニクった俺が言った言葉は


「おはようございます」


……ってバカかーーい!

「あははは、この状況でおはようと言われるとは思いませんでした。
目が覚めたのなら家まで送りましょうか?
まだ寝足りなさそうなので」
愉快そうに笑いながら、軽く背中を押して起きるのを補助してくれる。

「いえ、大丈夫です。
家から馬車も来ているはずですし」
迎えの時間ギリギリだ。
遅れると兄達に心配かけてしまう。

「しかし女性がこんな所で寝てしまうのは、少し無用心だと思いますよ。
中には良からぬことを考える方もいますし。
何か心配事でも有って、夜に眠れないのですか?」

体を起こして横に座った俺を、心配そうに見るベルアルム。
エスっぽいけど、悪い奴ではないのか?
エスっぽいけど。

「いえ、大丈夫ですわ。
ここは静かで安らぎますから、つい……」
そうですかと美形スマイル。
寝起きの目には眩しいです。

「最近よくこちらに来ていますが、お暇なのですか?」
「ええ、少し時間が余っていますの。
お友達とお兄様が共同で事業を始める計画がありまして」
「少し聞いたことがあります。
留学生のコウエンジ様も携わっているのですよね」
そうだと頷くと、ベルアルムは頭を傾げてズバリと聞いてくる。

「貴女は最近婚約されましたよね?
その方とご一緒しないのですか?」

そうだよねー、普通婚約したら、スカーレット達みたいにデートとかで一緒に過ごしたりするよねー。
だがぼっちなのだよ、この俺は。

「リズヴァーン様もお忙しいですから」
兄にくっついてるのがな!
心の中で続ける。

いや、別にデートしたいわけじゃないけど、お茶に付き合ってくれたり、遊びに連れて行ってくれても良くない?
一人で出歩くなって言ったんだから、一人にするなよ。

何か考えていたベルアルムが、ニッコリ笑って言ってきた。

「お時間が有るなら、再来週の休日に、チャリティーバザーを神殿で開きますので、宜しければ協力していただけないでしょうか。
私の出店する場で、貴女の持ってこられた物も一緒に販売しませんか?
ご自分で出店するより気楽でしょう」

バザーか。
確か神殿が定期的にやってるやつだよな。
その売り上げは孤児院の運営に回されるとか。

小説とかでよくある、孤児院の経営に回すと言って集めたお金を、聖職者や貴族が懐に入れる…なんて事はなく、この国ではきちんといくら売り上げがあって、何処にどれだけ使ったかを公表している。

乙女ゲームの世界だからか、キチンとした国だよね、色々と。


とにかく、そのバザーに誘われたんだけど、断る理由もないから、OKした。
その際に俺も家から何か不用品を持っていくことになったから、暇だった放課後に予定が入ってありがたい。

ベルアルムをちょっとだけ見直したよ。

エスだけどね。





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