【完結】アラサーの俺がヒロインの友達に転生?ナイワー

七地潮

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お茶会

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今日はサイオンジに誘われて、女性だけのお茶会だ。

俺達三人と、サイオンジのクラスメイトだと言う女性二人、そして見知らぬ女の子が一人。
皆ドレス姿の中で、サイオンジはモーニングコート姿で、パッと見たら、【一人の男性を囲んだ女性六人のお茶会】だ。

簡単な自己紹介の後、お茶会の開始だ。
サイオンジのクラスメイトと言うことは、一つ年上のはずなんだけど、二人とも小柄というか、童顔というか、年上に見えない。

あまりジロジロ見るのは失礼なので、話をしながらチラ見する。
見知らぬ子は挨拶以外一言も喋らずに、ニコニコしながらお茶を飲んでいる。


お茶会の目的と言えば、色々あるけど(見合いとか、顔つなぎとか、情報収集とか)今回のコレは、『好みの子に囲まれてお茶をしたい』と言うサイオンジの個人的趣味のお茶会だ。

ただ、俺一人だと参加許可されなかったので(兄とか父とか兄とか兄から…あれ?兄って一人だよね?)俺の誕生日で面識のある、クリスティーナとスカーレットも一緒に参加となった。

お茶会…そう、サイオンジ家でお茶会と言うことで期待して来たけど、予想通りの日本茶と和菓子ですよ!
ほうじ茶と干菓子と上菓子! 

本当は抹茶が良いんだけど、飲み慣れない人にはほうじ茶の方が良いんだろうね。
実際前世でも、抹茶のスイーツは食べるけど、抹茶は飲めないって人いたし。
しかしまぁ、まったりする~。

でもさ、でも、このティーカップで日本茶はなんとなくもゃっとする。
上菓子をフォークでってのも、もやもやっと。
あ、因みに俺は日本茶と言ってるけど、正確には【和茶】と言うんだって。
ヤスハル達の国の名前が【大和(やまと)の国】って……いや、そのままかい!

姉貴よ~、もうちょっと捻りを入れろよ、って思ったけど、きっと『わかりやすいのが一番良いでしょ!』って言われそうだね。
とにかく、大和の国だから、【和菓子】で【和料理】で【和茶】、【和織】に【和紙】にと呼ばれるそうだ。


色々頭の中で考えながら周りを見てみると、サイオンジと見知らぬ子は茶器でお茶を飲み、楊枝で上菓子を嗜んでいる。
しかも二人とも抹茶だよ、羨ましい。
思わずじっと見てしまっていたのか、サイオンジが声をかけてきた。

「おや、サリフォル嬢はこちらの飲み物が気になるのかい?」
「ええ、とても綺麗な緑色をしていますね。
そちらはいただけませんの?」
「そうだね、このお茶は甘味の中に独特の苦味が有るから、飲み慣れていない人には不評だったりするんだよ。
だから今回は飲みやすいものにしたんだけど……飲んでみる?」

こてんと首を傾げる仕草は、兄もよくやるけど、あれってイケメンがやったら劇的効果があるんだよね。
ほら、先輩二人顔が赤いよ。
あれ?クリスティーナ達も赤い。
うん、条件反射だよね、きっと。

「いただけるのなら、是非お願いしたいですわ。
できればカップもそちらを使ってみたいです」
「郷にいれば…ってやつだね。
では準備をさせよう。
他のお嬢さん達はどうする?」
結局皆で試してみることになった。

「は~~~」
両手で茶器を持って、煎れたての抹茶を飲む。
は~、久々のお茶は染み入るねぇ。
目を閉じ、しみじみと味わっていたけど、やっぱり俺以外のお茶に馴染みのない人には、ちょっと受け入れ難かったみたい。

「苦いですわね、キャシーは平気ですの?」
小声でクリスティーナが訪ねてくる。
スカーレットも一口で茶器をテーブルに戻した。

「私には美味しく感じます」
その返答にクリスティーナは何か感じたみたいだ。
感の良い彼女だから、俺の前世と結びつけてるのかもね。

「やはりお嬢さん達の口には少し合わないようだね。
なら、邪道かもしれないけど、こちらはどうかな」
サイオンジの合図でメイドが新しいカップを持ってきた。
こ、コレは!
「好みで砂糖を足すと良いかもね」

カップの中身は抹茶オーレ!
お茶好きの年配者の中には、ミルクや砂糖を入れるのは邪道だ!とか言う人もいるけど、それはそれだ。

他の四人はオーレは気に入ったようだね。
表情がにこやかだ。

あー、この味も久しぶり。
これはこれで良いんだけど、折角見た目も華やかな茶菓子が有るんだから、俺は抹茶が良いな。
お代わりは抹茶をお願いした。

皆が初めて飲むお茶や、見たことない色とりどりの可愛い菓子の話で盛り上がっている。
あ~、生菓子も良いけど、かりんとうとかも欲しいな~。


話はサイオンジ達の国の食べ物や、独自の衣装、小物や装飾品など、とても弾んでいる。

サイオンジ家としては、海路で運んだ品を販売してくれる店が有れば、どんどん品を運んで来るんだけど、運んだ品を任せる店を見つける所から始めないといけないので、今のところ、国内では大和の国の品を手に入れることはできないそうだ。

サイオンジ家が店を構えればとも思うんだけど、サイオンジ家はあくまでも海運業で、商会ではないって言うのが家訓なんだって。

【調べる】【紹介する】まではやっても、運び人は商人ではないって拘りがあるみたいだけど、融通が効かないとも言わないか?

前世のファンタジー小説の中とかだと、商業ギルドとかが有って、紹介してもらえるとかのパターンだけど、この国にはギルドと言うものがないからね。

職業斡旋とか、店を出したりとか色々な事は国が仕切っているんだけど、女性はその辺の詳しい事は習わない。
男性の学習範囲だ。 

あるいは高学年の専門分野になるけど、女性が選択する事はないと言って良いほど、男性向けの分野となっている。

でも国を通すと大事になるから、サイオンジとしては、個人取引みたいなのを望んでいるんだって。
一つの国とガッツリより、広く浅く、沢山の国や町で自国の品を広げたいそうだ。
その方が自由度が有って、より沢山の品を運ぶことが出来るとか。

簡単にそう説明してるけど、本当はもっと色々あるんだろうね。
跡取りって面倒くさそう。

俺は聞き役に回ってのんびりとお茶を楽しんだよ。
は~まったりする~。





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