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第五章 問題は尽きないようです
髭閣下
しおりを挟む「つまり『他の世界とかやらから自分達の得になるかもしれない人を呼び出せるかもしれない』なんてあやふやな事のために、あんたらの国の強い子孫を残せる魔物を攫って殺してると。
本当にロクなことしない奴らだな」
僕達の話を聞いて憤慨している髭。
しかし怒るポイントが「強い子供を生み出せる魔物の血の無駄遣い」って所がフェンディス思考なんだろうな。
「それで?俺達に力を貸せって言うのかい?」
「いえ、僕達の国の事ですから、自分達でなんとかします。
ただ、ベルンリグールから出撃要請があった場合、兵を出さないで欲しいのですが、可能ですか?」
無駄な戦いは避けたいからね。
「ああ、勿論気に入らなけりゃあ出兵は断るさ。
この国はあいつらの従属国でも無い、対等な国だからな。
嫌なもんは断るさ。
第一あんたらと戦って勝てる訳無いしな、無駄な怪我して鍛錬できなくなるなんてお断りだ。
それにあんなお高くとまった国より、あんたらの国と仲良くしたいしな。
その辺りゴタゴタが片付いたら考えてくれよ」
ニタリと嫌らしい笑いを浮かべる……あ、これこの人の楽しい時の笑顔なのか?
ただ単に笑顔がいやらしいだけで、含みは無いのか?
もしそうなら失礼だったかもしれない。
まあ、細々した事は事件が終わった後という事で、フェンディスでの要件は一旦終わった。
僕達3人はベース基地に戻る事にした。
…………何故か髭が付いてきたんだけど、説得するのに時間がかかりそうなので、そのまま放っておくことにしたよ。
*****
「ん?俺の名前か?
マロって呼んでくれ」
髭の名前を聞いて吹き出さなかった僕エライ!
「マロ閣下ですか?」
「ただのマロでいいさ、あんたらは俺の部下でも無いし、自分より強い奴らに敬称つけられたく無いしな」
敬称つけられたく無いけど、言葉遣いはラフなんだ。
拘りどころがわかんないなあ。
「それで……何故付いて来られたのですか?」
クマ将軍達はフェンディスで待機してもらっているので、ここはスイに頑張ってもらおう。
「ん?面白そうだからな」
あ、スイのコメカミがピクってなった。
「……こちらは国民の命がかかっているのですが」
「おお、言い方が不味かったな。
真面目な事を言うなら、ベルンリグールってうちの隣の国だろ?
そこが酷い事してるのが許せないってのと、多分だけど人攫いの実行犯はうちの国の奴らだと思うから、罪滅ぼしだな」
え?新事実?
「なぜフェンディスの国の方が手を貸していると?」
聞いてみると、髭マロは真面目な顔で話し出した。
「あんたらは国が遠いから知らないだろうけど、あの国の奴らはプライドばかりで、神に連なる自分達が動くのは有り得ないとか思ってんだよ。
だから何かあれば、金はククビスから集めて、細々した事はマルドリーテクの奴らを使って、荒事はうちに回ってくる」
「……だから遠い南方まで出向いているなら、フェンディスの方が手を貸していると?」
そうだと頷く髭マロ。
「もう一つの国…ルスプスは関与していないと思われますか?」
スイが尋ねると、
「あそこは金と神にしか興味ないからな、他の世界から来るかもしれない奴なんて興味ないだろ」
「……わかりました、今の情報を他の方々に伝えます。
付いて来てください」
僕達四人はジン様達に先ほどの話を伝えて、髭マロに力を貸してもらい、フェンディスに居るだろう、今回の事に手を貸した実行犯を割り出してもらう事になった。
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