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第五章 問題は尽きないようです
フェンディスの反応
しおりを挟む「いやー、スイが強いのは知ってたよ?
でもあそこまでってのは知らなかった」
戻ってきたスイに声をかけると、
「ハーフでも無い純粋な人間に遅れをとる魔物は少ないでしょう。
魔法や術を使わなくても、基礎体力や体の作りが違いますから」
体の作りって、筋力とかそう言うものの事かな。
「でも戦ってるの初めて見たけど、凄いね」
「国の方々なら相手がどんな血筋を引いているかは雰囲気でわかりますから、自分より上位種に喧嘩を売る事はそうそう無いですからね」
ドラゴンより強い生き物なんて、居ないよね。
しかも血統的に重力の子が祝福を与えてるから、戦う前にぺちゃんこにされる事もあり得るんだから……うん、怒らせてはいけないナンバーワンだよね。
ニトってばよくスイを揶揄えるよね、マゾなの?
「ネイも相変わらず凄いね!
剣筋が見えない人多かったと思うよ」
僕が言うと、嬉しそうに笑うネイ。
「やはりウチ様には見えましたか」
「そりゃあニヤ達が居るからね。
妖精達が居なかったら何が何だかわからないうちに勝負が終わってたよ。
でも…ちょっとやり過ぎな気もしないでも無いけどね」
だって背骨って……。
「いえ、あんな戯言を言う輩は殺されなかっただけ上等ですよ」
全くその通りと、スイも頷く。
この二人あかんわ。
あんなからかいの言葉なんて、流しとけばいいのに。
「やはりお二人ともお強いですね。
私などまだまだです」
クマ将軍が落ち込む。
「いや、この二人が異常に強すぎるだけだから、クマ将軍だって瞬殺だったじゃない。
大体この二人だけで一国滅ぼせそうだしね。
規格外と比べなくても、将軍は積み重ねた鍛錬で強くなった武人だよ」
普通の人間や、魔物やハーフでは、魔王の血統やドラゴンの血族には敵わないってのがこの世界の常識の様なものだ。
ただし、北方では知られてはいない事なので、今回こういう事態になったんだけど。
「そうですね、ドラゴンの血と魔王の血族と言うのは伊達では無いですから」
「おいおい、ドラゴンとか魔王とか一体何のことだよ」
僕達の会話が聞こえていた髭が、口を挟んでくる。
「南の奴らだし、角とかあるから、魔物との混血だって思ってたけど、ドラゴンって何だよ?」
言いふらす事でも無いので、どう答えようかとスイを見ると、
「別に隠す様なことではありませんからね。
私の母はドラゴンで、私はドラゴンハーフです」
「はぁ?ありえねーだろ?
どう考えてもドラゴンとサイズが違い過ぎるだろ?
それで何で混血が出来るんだよ?」
あー…まあねぇ。
ドラゴンが大きいのは周知の事実だけど、ドラゴンが人型になるのは北方の人達は知らないんだから、その疑問は最もだよね。
そこで簡単に魔物は姿を変えて人型になれると説明をする。
フェンディスの面々は、面白い程興味津々の顔で話を聞いている。
「じゃあそっちが魔王の子孫で、他の面子もいろんな血が混じってて、俺達人間より身体能力が上って言うのか?」
「そうですね、種族によりますので、力が強い者、素早い者、知能が高い者などそれぞれですが、人間の能力に魔物の能力がプラスされる様です。
後は生まれた時に妖精の祝福を受けることによって、能力値が上がる事も有ります」
髭は楽しそうにニヤリと笑う。
「へー、面白いな。
つーか、そんなに能力が高くなるってんなら、他の種族の血を入れないなんて、勿体無いことだな。
南と交流持ってどんどん血を混じらせて強い子供を作るってのはどうよ、お前ら?」
髭の問いかけに部下が答える。
「そもそも何で魔物をハブってんだ?」
「あのお高くとまった国がやんや言うからだろ?」
「うぉー、あの3人は無理だけど、オレも戦ってみたいぜ!」
「そうだそうだ!他にも何人もいるんだから、俺たちにも手合わせさせろよ!」
「手合わせもだけど、俺は南に引っ越すぞ!
んで強い嫁さん見つけて強い子供を作るんだ!」
「儂ゃ子供作るのは無理だが、強い奴のぎょうさんおる場所で余生を過ごしたいぞ」
あちらこちらで、手合わせ希望と移住希望の声が上がる。
国や民を認められた様で嬉しいけれど、……いかん、本題忘れるところだった。
フェンディスの人達の事はクマ将軍に任せて、僕とスイとネイは、髭と執務室に戻る事にした。
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