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第五章 問題は尽きないようです
vsネイ
しおりを挟む二戦目はネイと細身の男だ。
結果から言うとこちらも圧勝だった………。
短剣…ダガーを両手に持った細身の男がこちらを見る。
「閣下があの若い男が気に入ったのなら、俺はあの子供が欲しいな」
え~…変態?
見た目は子供だけど、中身はアラフィフだし。
若い男っても、スイもネイも髭の倍近くは年上だよ~。
まず勝てると思ってるのがナイし、僕に何かしたら妖精達が黙ってないよー。
なんて心の中で突っ込みを入れてたんだけど、僕の保護者と、自称【運命の人】に火を付けちゃったわ。
「…………ネイ…手加減無用ですよ」
「勿論です」
あ~あ、二人ともスッッッゴイ笑顔だよ、こりゃああの細身の男ヲワタだね。
始めの合図と共に、細身が両手にダガーを持ち、ネイに向かって走り出す。
ネイは腰を落とし、目を閉じて刀に手をかけている。
「舐めとんのか!
それとも勝負を投げてやがるのかよ!」
細身はネイの1メートル半くらいに走り寄り、右手のダガーを躊躇もなく、ネイの顔に向かって投げた。
ネイは目を閉じたまま、ダガーを避けもしない。
「おらー!いっちょあがりー!」
言いながら一気に左手のダガーをネイに突き立てようとする細身だが、その刃がネイに届く事は無かった。
『ドゴッ!』
と低い打撃音が聞こえたと思ったら、細身がネイの横で立ち止まり、暫くの後その場に崩れ落ちた。
その場が静まり返る。
ネイの居合が速すぎて、何が起こったかわからないようだ。
ネイにダガーが突き刺さり、倒れると思っていた人がほとんどだろう。
「おいおい、殺したのか?」
最強なだけあって、髭は何があったかわかっているようだ。
「峰打ちですから、殺してなどいませんよ。
ただし背骨は折れているでしょうけど。
これは問題になりますか?」
背骨って…いやいや、しれっと言ってるけど、問題だろう。
だって脊髄とかやられちゃうと、下手すると再起不能だろ。
第一正面から打ち込んで、背骨が逝っちゃうとかありえないでしょ、どんだけのパワーを一撃に込めてんの。
「いや、問題ないな。
こっちもハラワタ引きずり出すつもりだったみたいだからな」
ちょっ!
「大体見た目に騙されて単純な手で勝てると思ったコイツのミスだ。
相手の実力を見極められないって、そこで負けてる。
国内じゃあ強いからって驕ってたからな、いい薬だ」
おいおい、そんな事でいいの?
「それにそのキレーな顔に傷を付けたのもいただけない」
ニヤッと笑いながら、ネイの頬に手を伸ばす。
その手を避けたネイは、ニッコリ微笑んで、
「これくらいの傷など大した事ありません」
言いながらくるりと振り向き、そのままこちらへ歩いて来た。
「ウチ様、お願いできますか?」
微笑んだまま、僕の前でひざまづく。
えー、これくらいの傷なら自分の中の子の治療で充分なんじゃあないの?
まあ、パフォーマンス的になるか。
「ニヤ」
ネイの頬に触れ、僕はニヤにお願いする。
5センチほど真っ直ぐに走っていた傷は、見る見る間に塞がっていき、元どおりになった。
時間を操れるニヤが、傷のない状態に時間を巻き戻したのだ。
以前は出来なかった術だけど、バージョンアップしてから使えるようになったのだ。
フェンディスの人々からどよめきが起きる。
「ほおー、お前もルスプスのお偉いさんが使う【神の加護】ってやつを使えるのか?」
多分ゲームとかでよくある神聖魔法とか、回復魔法ってやつをルスプスの人達が使えるって事なんだよな。
ん?人間なのに魔法が使えるの?
「これは妖精の祝福による妖術です」
僕が訂正すると、隣でニヤが『そうそう』と胸を張る。
「あー、南の田舎の方でそんなのがあるって噂で聞いたなぁ」
挑発ですか?乗りませんよ。
だってざっと見ただけで、ラグノルの方が文化水準高いのわかるから。
伊達にお仕事大好き、生活環境整えるの当たり前な日本人が召喚されているわけじゃないからね。
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