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第五章 問題は尽きないようです
行方不明の行方
しおりを挟む「遅くなってしまい申し訳ございませんでした、報告させていただきます。
攫われたと思われる事故死体を発見後、大陸北を重点的に探りました所、深夜、人目をはばかる様に荷馬車がベルンリグールの城へ集まっているのを発見。
城内へ潜り込み調べた所、彼の国の皇帝が魔物の方を集めている事を突き止めました」
騒つく室内。
「間違いは無いのか?」
ナチの問いかけに、ハルさんが深く頷く。
「潜入後、下働きと入れ替わり、そのまま一月見張っていた所、魔物の方を連れ込んだ馬車は5台、魔物の方は地下牢へと集められ……」
そこで報告書を読んでいたハルさんの言葉が止まる。
「どうした、続けよ」
カイに言われて発言を続ける。
「地下牢へと 連れ込まれた魔物の方々は、集められ…その場で生きたまま胸を切り裂かれ、取り出した心臓を一まとめとし、それを潰すという事をされているとの事です」
一瞬…会議室内の音が消えた後、室内は混沌とした。
「何という非道な事を!」
「生きたまま……惨虐と言う言葉だけでは足りぬ」
「心臓を取り出し、あまつさえ潰す?
何だそれは!」
「なぜそんな事を?
一体何を考えての暴挙だ!」
皆が非難を口にする中、黙っていた牧さんが、ドンっ!とテーブルに拳を打ち付ける。
「……それでハル…その魔獣にも劣る行為に何の意味があるのかは調べがついているのか?」
感情を押し殺した、抑揚の無い声の牧さんに聞かれ、ゴクリと唾を飲み込んだハルさんが続ける。
「…どうやら皇帝は、英雄召喚をしようとしている模様です」
英雄召喚?
「それと魔物の方々の惨殺と何の関係があるのですか?」
医者として命を救う仕事をしているレフさんは、眉間に深い皺を寄せて尋ねる。
「皆様もご存知の様に、魔物の方々が魔法を使うのには、周りの魔力の素、魔素を体内に取り込み魔力とし、魔法を発します。
その為に必要な機関が【純粋な魔物の心臓】と言われています。
その話をどこからか聞いての暴挙だと思われます」
「英雄召喚…それは魔法では無く、妖術で行われるものなのでは無いのか?」
ナチの問いかけにカイが頷く。
「ええ、私がウチ様を呼び出してしまった時に調べた書物によりますと、そのように書かれておりました。
実際、私も祝福を与えてくれている妖精の力を借りました」
んん?そう言えば召喚って、何の妖精の力で発動?するの?
頭の中でニヤ達に聞いてみる。
『あのね、どの子でもできるの。
でも誰でもできないの』
は?謎かけですか?
『僕たち妖精なら誰でも【繋げる】事は出来るけど、僕たちだけの力じゃ【繋げる】ができないようになってるんだよ』
『そうそう、王の人の血と私達で【繋げる】の』
つまり、【人間の中で一番妖精と縁の強い王家と、妖精との合わせ技】なのかな?
『そうそう』
なら魔法で繋ぐ事は出来ないんだよね?
『出来なくはないと思うの』
それは何か条件があって、どうにか出来る場合があるって事?
二人はうーん、と頭をひねった後、声を揃えた。
『魔法なら力技?』
………………………。
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