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第五章 問題は尽きないようです
会議・1
しおりを挟む「この半年の間、行方不明者の数が異常に増えた件について、トモ家の報告が上がってまいりました」
カイ宰相が告げる。
「報告を」
ナチ国王の言葉で会議が始まった。
この会議に参加してるのは、ナチ国王とカイ宰相、前国王と前宰相、騎士団のネイとリイさん、クマ将軍とユン副将軍、英雄の三人と、現当主と大臣達。
まあ現当主と大臣が被ってる人が複数いるけどね。
後は記録係にニトがいる。
こんな席になぜ僕がいるかと言うと、勿論お仕事です、通訳の。
「二ヶ月程前から、行方不明者の捜索願が立て続けに出されたことにより、トモ家の方に調査を依頼したところ、半年ほど前から近隣の五国でも、同じ様に行方不明者が出ている事がわかりました」
ラグノルは大陸南部の真ん中付近に位置している。
ラグノルより南に人が住んでいるのは、魔物の国マモランドだけだ。
後は種族ごとに部落を作った魔物が住んでいるだけなので、人の国としては最南端だ。
ラグノルの真北に有るのが、友好国家のマウナス。
魔物の人も住人として住んでいるし、ハーフの人もいる。
マウナスの東に位置するのがデジール、西にはラクセサム。
この二つの国も、魔物の人を受け入れている。
マウナスほどではないけど、魔物の人が定住している。
その北にあるのがタクレリア。
南方で二番目に古い国で、歴代の国王の働きかけで、ハーフの人の受け入れはされているけれど、魔物の移住は拒否されている。
魔物の人が行商などで立ち入ることは禁じられてはいない。
住むのを拒否されているだけだ。
そして一番北の山脈の麓に有るのが、一番初めにできた国、マーセラクだ。
この国は……未だに魔物差別が激しい。
ハーフの人ですら、国に入る事は難しい。
見た目が人間と何一つ変わらなければ大丈夫なんだけど、ミミやツノや尻尾が有ると、入国の許可がなかなか下りない。
北に近い二つの国以外は、小さな国が集まって出来た国なのだけれど、タクレリアとマーセラクは、初期に南方へ移住した事を誇りに思っていて、どちらかと言うと廃退的なんだそうだ。
ラグノルなんて、一体幾つの国を合併したのか、広大な領地を誇っているし、住民も多い。
デジールとラクセサムが次いで領土が大きいけど、マウナスと合わせてもラグノルの方が広い。
広い領地でのびのびと、種族の拘りなく穏やかな生活を送れる国。
そんな国をこれからも維持していくから、協力して欲しいとは、ナチ新国王の挨拶だったよな。
そんな事を徒然と考えている間に、報告は進んでいく。
ラグノルではここ二ヶ月の間の行方不明事件だが、マウナスなどでは半年ほど前から行方不明者が増えているそうなのだ。
タクレリアでも、決まった時期に来ていた行商人が来なかったり、注文品を届ける筈の職人との連絡が取れなくなった、などの出来事が増えているどの事。
しかも、行方不明になっているのは、全て魔物の人だと言う事だ。
「うちの国では直接の被害はないけど、知り合いや親族などと連絡が取れなくなったと言う届出は出ている」
流石の牧さんもシリアスモードだ。
しかし何で魔物の人だけが行方不明になるんだろう?
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