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番外編ーこぼれ話集ー

その11 創世

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神話の話をしよう……

遥か昔、宙(そら)より五柱の神がこの世界に降り立った。

生まれたてのこの星を、大層気に入った神々は、この世界に溶け込む事にした。

一柱の神は空に溶け込み、空を飛ぶ全ての生き物の祖となった。

一柱の神は水に溶け込み、水中に生きるもの全ての祖となった。

一柱の神は大地と交わり、地上に生きるものの祖となった。

一柱の神は自分達と似た生き物を生み出して、人と名付けた。

そして残った一柱の神は、全てを見守る者となった……。



時は過ぎ、沢山の生命が誕生し、世界は生気に満ち溢れる。



人は数を増やし、やがて国を作る。



始まりの国【ベルンリグール】

神が降り立った地に国を作った者達は自分達を、
【神が最初に作った血筋である】と言い、皇帝を名乗り国を大きくしていく。



始まりの国の中で、神を祀る者達が集まり、別の国を作る。

宗教国家【ルスプス】

一番神に仕えるに相応しい者を教皇とし、神の教えを広げていく事となる。



動物や魔獣などの脅威から国を守っていた、武力を持つ者が集まり国を作る。

武力国家【フェンディス】

最強の者が閣下と名乗り、自国のみではなく、金品により他国の脅威も払う。



四つ目の国は他国の中央に位置する。

商人の国【ククビス】

国の面積は狭いが、頭の回転の早い者が多く、物流を一手に担う。
五人の代表と総代とで、物品の価格を調整している。



そして五つ目の国、

搾取される国【マルドリーテク】

広大な敷地面積を持つ国だが、ベルンリグールから派遣された王が治める、国を出された者が集まる国。



ベルンリグールの民は総じて他国の者を見下している。
自分達だけが正当な血筋の者だと。


ルスプスの教皇は、相応しい者を指名して代替わりする。
相応しい者……今では寄付の多い者が高い位に就くようになっている。


フェンディスは、元は先の二つの国の民であったが、力を誇示する事が最大の誉れだと考えた者が、国から野蛮人として弾き出された。
力こそ全て、力があるものが正しく、力有る者に従う。
そんな荒くれどもの集まる国だ。


ククビスの民は、三つの国から、金を集めるのが好きな者が集まった国。
集めた金で地位を買い、自尊心を満たす彼らを、浅ましい者達だと、他の国の民は口にする。


マルドリーテクは、そそんな四つの国から追放された者達が寄り集まった国。
畑を耕し、狩をし、物を作るが、作る端から取り上げられていく。

物だけではなく、見た目の麗しい男女、頭脳優れる人、力ある者など、人も取り上げられていく。

重労働と重税に逃げ出そうにも、フェンディスの兵がそれを阻む。

国の王はベルンリグールからの追放者で、他の国へ行く為に、国民からより一層搾取をする。


そんな五つの国からなる大陸の北部。


口煩い者や、自分に不都合な者をマルドリーテクに追放していたのだが、反旗を翻される事になるのではと恐れた国々は、二つの山脈と大河の先の南の地へと追放先を変える。


南の地は魔物の住処。

先住する魔物を追いやり、魔物の住処を拠点に、追放者は国を作る。

しかし、追放者は後を絶たず、次々と人は南へ入って来る。

魔物はどんどん追われ、数を減らし、そしてある時魔物の祈りで魔王が生まれ、魔物の反撃が始まった。




それが今から600年以上前の事………………






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