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番外編ーこぼれ話集ー
その7 熊澤さん
しおりを挟むボクはタタンジュ、立派な魔獣だ。
森の中で父さんと母さんときょうだいと暮らしていたんだけど、ある日ハーフな人間がやって来て、ボク達は捕まってしまったんだ。
連れて行かれたのは人間の住処。
そこにはボク達以外にも沢山のタタンジュが捕まっていた。
『人間に捕まるんじゃあないよ。
捕まってしまったら、毛皮を剥がれたうえに食べられちゃうからね』
婆ちゃんが言ってたけど、人間ってどんだけ食いしん坊なんだろう、こんなにもいっぱいのタタンジュを食べるの?
ん?でもよく聞いていると、だうやらボク達の持つ毒が欲しいみたいなこと言ってる?
ボク達魔獣は人間の喋ってることわかるんだよ。
人間はボク達の言うことわからないみたいだけど。
ボク達の毒が薬になるんだって?
毒が薬って、人間って本当に変わってるよね。
どうやらボク達は牧場という所で飼われるみたい。
住処が変わるけど、食べ物は人間が用意してくれるし、外敵も人間が退治してくれるみたい。
父さん達は、至れり尽くせりだから、毒を取られるくらい……って言うけど、ボクは嫌だ。
飼いならされた魔獣なんてカッコ悪いよ!
ボクは隙を見て逃げ出したんだ。
自由でこその魔獣だよね!
体の小ささを利用して、隠れながら逃げたんだけど……人間の住処は広すぎるよ!
………迷子になったわけじゃないからね、ちょっとお腹が減って疲れたから、休んでるだけだからね!
物陰で休憩してたら、小さな人間の子供が困った顔をしてこっちを見ている。
何だよ、お前迷子なのか?
そんなに小さいのに親も居ないみたいだし、物騒だからボクが安全な場所までついて行ってやるよ。
だから急に飛び掛ったりしないでよね。
様子を見ながら近づいたんだけど……何?この子供!凄く良い匂い!!
ふにゃ~~んと言うか、どきどきと言うか、へろ~~~んと言うか、とにかく良い匂い!
離れなくなくなる匂い!
匂いに酔ってぽや~っとしているうちに、何だかんだあったようで、ボクは子供と一緒に暮らすことになったみたいだ。
仕方ないな、人間は急所晒しているうえに、子供だからボクが急所を守ってあげよう。
今日から子供の首周りはボクの居場所に決定!
ボクの名前はクマザワサン、ウチの家族でガーディアンだ。
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