【完結】英雄召喚されたのに色々問題発生です【改訂版】

七地潮

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番外編ーこぼれ話集ー

その6 とある会頭の回想

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わたくしの名前はトキ・サナ・ズルと申します。
城下町のトキ商会の会頭を任されております。

わたくしの家系は英雄家系でして、祖父が異世界のニホンと言うところから、当時のラグノル国王に召喚され、国を救った英雄の血筋の者です。

はい、救国の英雄と聞けば、それはそれは素晴らしい方を思い浮かべるでしょう。
勿論素晴らしい方々ばかりですよ。
諸外国と交渉したり、祝福を持たない方々の病気や怪我を診察されたり、農業を発展させたり、情報収集や、戦いに優れた方々など。

なのになぜ、うちの祖父はああなのでしょう。
仕入れの為という名目で、あっちへふらふら、こっちへふらふら。
そして、その血は各世代ごとに確実に受け継がれてしまい、旅人や吟遊詩人、踊り子などなど……。
とても英雄家系と誇れるものではない職業に就く確率の高い事…。

マキ家の始祖様も特殊な方ですが、国を興し統治をされている分、うちよりマシだと思いますよ。

確かに商会を興した事は素晴らしいですけどね、小さな商店をここまで拡大したのは、父の力ですから、祖父の功績とは言い難いですね。

兄が王の元で財務大臣に任命されていますが、跡継ぎはどうされるのでしょうね。

息子さんは一族の中で一番祖父の血が濃いですから無理でしょうし、そのお子さんに期待をしていましたけれど、最近召喚された方の従者になられてしまい、どうも跡を継がないようですし。
私の孫から誰か推薦しておきましょうかね。

しかし兄の息子のヤシは……職業旅人と言うのもどうかと思いますけれど、運命の人のインパクトが強すぎて何とも言えません。

運命の人がドラゴンなんて、驚くに決まっているではありませんか。
ドラゴンですよ、ドラゴン!
背中に乗って戻ってきた時には、兵士を呼ぶところでしたよ。
もう……本当にうちの家系の者達は…………。

わたくしもそろそろ年ですし、いつお迎えが来てもおかしくありません。
願わくば次の世代のとんでもない血族を見なくて済んで欲しいですね。

などと考えていたのですが、流石に祖父のお迎えの方が早かったです。
存在感のある方でしたから、寂しくもあり、これで振り回されずに済むと言う思いもほんの少しあります。
……少しですよ?

そんなおり、弟の娘とマキ家のニトが結ばれて、姪が生まれました。
トキ家とマキ家の縁が結ばれることを祖父は強く願っていましたから、大変喜んで、喜び過ぎて、生まれる前に亡くなったのは心残りでしょうね。
姪はまともに育って欲しいものです。

さあ、この部屋の中に居るのですね。
可愛い笑い声が聞こえてきます。
ちょっと緊張しながらドアを開けて……………………。





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