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第四章 そしてこれから
記録を全て見終わって
しおりを挟むタシ王が亡くなった何代か後の王が、タシ・トエ・フキ。
残り二回の召喚をして、初代様に怒られた人だね。
この人はかなりの優柔不断なヘタレだったみたいだ。
勿論他の王も、悩みや苦悩を記録している人はいたけど、フキ王の悩みが一番多い。
いや、悩みというよりグチ?
確かにそれ迄に無いほどの自然災害による飢饉や、何とか復興したと思ったら、近隣の国からの侵略、グチもこぼしたくなるのはわかる。
でも何とか踏ん張ってくれたから、その後の世代は、それまで以上に平穏に暮らしてこれたようだ。
それから今のジン王の前のリア王と、その前のテム王は今まで以上に近隣の国との交流を推し進め、大陸南部の平和の為に力を入れた…と言うところで記録は終わった。
*****
僕がふーっとため息をつくと、声をかけられた。
「見終わりましたか?
どうでした?別に隠すような物ではなく、逆に見せる方が良いと思いませんか?」
「そうですね、これは国の事を良く知るのに良いですよね」
見ものとしても面白かったし。
「人が後を継ぐから、祝福持ちのカイ王子では無く、ナチ君が次の王なんですか?」
「そうなんです。
祝福持ちかだと純粋に人とは呼べないのでは無いのか、と言う事で、祝福の無い、ハーフとして生まれていていない、人のみが後継する事となっています」
「いざこざはおきないんですか?」
「その時のための記録です」
うーん、王家とかに生まれなくて良かった、とか思うのは僕だけじゃ無いよな。
色々複雑過ぎて……ん?
「んん?あれ?
じゃあジン王に祝福が無いのは当たり前で、カイ王子が僕を召喚したのって……」
「ええ、全くの無駄……勇み足ですね」
言い直したけど、今無駄って言ったよね?
「子供達には成人する時に見せるようにしてますので、カイ王子が知らなかったのは仕方ないですけど……本当にウチ様には申し訳なく…」
「まあ、あのまま死ぬよりは良かったと思っておきますよ」
あのまま死ぬのも嫌だし、万が一生き延びても、妻に捨てられて、捨てられた事にヤケになって、アル中で死にかけたなんて……ああ、そんな噂の(真実だけど)中で生きていくのって、僕にはムリですわー。
うん、結果オーライです。……多分ね。
*****
色々この世界の事を知ったけど、この世界でどうやって生きていくのかが大事だよね。
近いうちに決断しないといけないよな。
周りの人もせっつかずに見守ってくれてるようだけど、自分の人生なんだから、決断は自分でしないとダメなんだから……。
などとうだうだしてるのも昨日まで。
決めた事を王様に伝えるため、昼からアポを取った。
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