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第四章 そしてこれから
王家の石
しおりを挟むその後も五大国は、自分達に逆らう者、都合の悪い者などを、山脈の南の地へ追放する。
追放された者は、現存する国へ行く者、新たに国を作る者、野盗となる者…。
国を作る者は開拓する手間を省く為、魔物の住処を奪い取り、魔物を追いやっていく。
ラグノルにも、新たに人が入植し、民が増えて行ったのだが、元の立場を主張し、貴族という階級を作る者が出てきて、国の様子は少しずつ様変わりしていく。
ラグノルでは、魔物をいたぶる事を固く禁止していたのだが、人が増えると目の届かない陰が出来る。
陰はラグノルだけではなく、すべての国を覆うように、無差別に魔物の命を奪っていくまでになる。
そして六百年前、数を減らした魔物の祈りから、魔物を統べる王、魔王が誕生したと言う話が伝わってきた。
人が招いたこの戦い、当時の王は魔物との戦いを避ける事は出来ないのかと、神に祈った。
元々魔物の住処に侵略したのは人なのだ。
しかも姿が違うからと、迫害する事は間違っているのではないか。
この国の成り立ちを、古い書物で読むと、魔物との関係が無いとは言えない。
会話が通じて、意思の疎通皮できるのだから、分かり合えるのでは無いか。
彼は神に祈り続けた……。
ある時、祈りを捧げていると、気づけば見知らぬ場所に居た。
見渡す限り、白一色のその場には自分しかいない。
ここは何処だろうと立ち上がろうとすると、目の前に光の塊が現れた。
暖かな光。
その光から意思が伝わって来た。
『魔物と共存はできると思うか』
できると思います…いえ、できます。
『考え方の違う種族が共に生きていけると思うか』
考え方を寄り添わす事は可能だと思います。
『他の民も同じ考えに至ると思うか』
我が国の民なら。
『できない者に関してどうする』
受け入れられない者には国から去ってもらいます。
『人以上の力を得たならどうする』
…魔法のようなものですか?
どうもしません。
力は力でしかありませんから、うまく付き合っていくだけです。
『他の民も同じように考えられると思うか』
私は私の国の民を信じます。
頭からできないと否定する者は、我が国の民ではありません。
『国の民とはそこまで信じられるものなのか』
私には信じられます。
王とは民があっての存在です。
まして我が国の民は遠い祖国から、苦楽を共にしこの地へたどり着き、我が先祖を助けてくれた者達です。
新たに加わった者達も、大半は今ではこの国の一員です。
『そうではない者もおろう』
……全ての人が善人だとは限りません。
しかし、良き者であろうとする事はできると思います。
『できない者にもおる』
……はい。
『その者供をどうする』
出来れば国から去って欲しいのが本音です。
『魔物と共に生き、人と決別するのか』
人や魔物など関係ありません。
共に手を取り合える者と生きていく、そんな国にしたいのです。
『甘い夢だと思わぬか』
そうですね…でもできない事では無いと思います。
夢は叶える為にあるのですから。
今すぐは無理でも、百年後、二百年後には、種族関係なく、共に生きている国であると私は願います。
『できると思うか』
思います。
失敗する事もあるでしょうが、私の子供や、意思を継ぐ者は必ず成し遂げます。
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