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第四章 そしてこれから
帰宅?しました
しおりを挟む城へ戻って来ました。
到着した日は、長旅で疲れただろうからと、ゆっくり過ごしてくれと言う言葉に甘える。
ご飯も部屋で取らさせてもらい、のんびりゴロゴロして、ゆっくり眠った。
そして翌日は、自分が思うより疲れが溜まってたのか、朝食の時間に起きれず、目が覚めると昼前だった。
早めに昼を準備してもらって部屋で食べていると、スイが部屋に入って来た。
「おはようございます、疲れは取れましたか?
王への報告は私達で済ませました。
ただウチ様からも直接話しを伺いたいとの事でして、午後に都合をつけ、執務室へ出向くようにとの事でした」
あー、もしかしなくても失礼だったかな、戻ってから一度も王様と顔を合わせていないってのは。
衣食住の世話になってるのに、いくらゆっくりしてくださいと言われたからって、帰宅?の挨拶もしないとか、社会人として問題だよな。
「勿論伺います。
すぐ挨拶に伺うべきだったのに、申し訳ありませんでしたと伝えてもらえますか?」
スイに伝言を頼んだんだけど、ニッコリとスイスマイルを浮かべて答える。
「大丈夫ですよ、慣れぬ馬車での長旅と、見知らぬ人々と短期間での出会いでお疲れだと言うことは、王にもご理解いただいております。
必要な報告は済んでおりますので、ウチ様と直接お会いして話がしたいのだと思いますよ」
あそこに行ってあれをしたとか、誰それと会ってこうしたとか、その辺りの話は済んでるのか。
なら本当に挨拶と感想とかだけで良いのかな。
気負う事なく王様と話が出来る下準備済みとは、流石スイだ。
それなら面談の時間まで、もう少しのんびりしていよう。
*****
「どうだった、英雄家系の各家を回られて。
良き出会いは有ったか?」
執務室で王様と対面してお茶を飲む。
「そうですね、ご存命の方々とは全てお会いしました。
個性豊かな方々ですね」
田舎の農家のお爺ちゃん風な八木さんに、真面目で発明好きの岸さん、それにマッキーとアッキーは……個性豊かで済ませられないものが有ったけど。
「色んな方の話も聞けましたし、各家の書も見せてもらいました。
皆さん偉業を成していて、同じ世界から来た事に誇りを持てます。
そして、僕にも出来ることが有れば何か力になりたいなと思いました」
与えてもらうだけじゃ良い関係は築けないからね。
「いや、君の場合はこちらの不手際のせいで招いてしまったのだから、全面的に援助するのが当然だ。
気負うことなく、生活を楽しんでくれるのが、こちらとしても一番ありがたい。
それで、後見となる家は決まったかね?」
「そうですね、お世話になりたいお宅はいくつかありますが、まだ決めかねています。
もう暫くこちらにお世話になってしまう事になりますけれど、宜しいでしょうか」
八軒、七ヶ所を回って、暮らしたい場所は三つ程有るけれど、先を考えてしっかりと決めたい。
ここが良いと言った後、やっぱり辞めたあっちにする、とはいかないだろう。
長い人生なんだから、ダメになってやり直す事も有るだろうけれど、よくよく考えて、長く居られる場所を選ばなけれはダメだと思う。
ノリで決めるものではない。
「勿論じっくり考えて、そなたの一番良いようにするが良い。
無論城を出た後の援助もさせていただこう」
大丈夫です、と言いたいけれど、実質一文無しだから、ありがたく受けておく。
「それで話は変わるが、オダ家で【石】を見たそうだな」
「はい、他の家の書と違って初代様の記憶の記録で、当時の事を詳しく知る事が出来ました」
僕が答えると、王様はニッコリ笑って、
「あれは元々城に有った【王家の石】を基にしておるとは聞いたと思う。
その【王家の石】を見てみたいと思わないか?」
イタズラっぽく笑う王様に、ビックリして尋ねる。
「え?良いんですか?一般人がそんな貴重な物を見るなんて」
「はははは、君は一般人ではないだろう。
それに【王家の石】と言うと大層なものに感じるけれど、要はこの国の歴史書の様なものだからの。
見たい者には見せる事にしておる。
無論国民に限るがな」
えー、そんな簡単な物なの?
誰でも見れるなんて、良いの?
こう……国家機密とか、門外不出とか、厳重に管理されているものじゃ無いんだ。
まあ、そうそう普通の人が王宮まで来て、国の歴史を教えてくれ、なんて事は無いだろうから、キリキリしないで大丈夫………なのか?
とりあえず、明日の午前中に部屋へ持って来てくれると言う話になり、その後は見聞きした面白かった事などの雑談で会談の時間が終わった。
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