【完結】英雄召喚されたのに色々問題発生です【改訂版】

七地潮

文字の大きさ
上 下
89 / 161
第三章 異世界の馬車窓から

運命の人って…

しおりを挟む

運命の人とか、運命の赤い糸とか、イメージ的な物でなく、この世界ではもっと具体的な何かがあるのか?

「そうですね、この国独特のものではありますね」

ハルさんの説明によると、他の国では、王族や地位の高い人が、第二夫人や、第三夫人、それ以外にも愛妾などを持つのは普通にあるそうだ。

特に王様だと、後継は必須なので、優秀な子を作る為にも、沢山の子を持つ事が義務と言っていい。
そして起こる後継者争いは、もうあって当たり前、寧ろ無いわけないじゃん?って感じなんだって。

そしてここ、ラグノルでも、建国後暫くして後継者争いで、国が揺れた時代もあったとか。
でも、全てが変わったのが500年前、そう、初めて異世界召喚をした【賢王】とも【神に愛されし王】とも言われる国王、タシ・テス・ヤカの統治の時代だそうだ。

「その頃の詳しい事は、城で記録を見る方が宜しいかと思います。
その時に色々あって、この国は祝福を受けたそうですよ。
その一つとして誰もが皆【運命の人】と出会えるようになったそうです。
但し、運命の人は一度に一人ですが、生涯を通して一人だとは限らないようです。
また、出会ってすぐにそれとわかる場合と、元々の顔見知りが時を経て、然るのちに自分の相手だと気づく場合もあるそうです。
または、出会った時は相手に別の運命の人が居ても、後々その相手が独り身になった後で自分と結ばれるという事もあるとか」

レンさんがそんな事言ってたけど、もっとふんわりとした、概念って言うか、そんなもんだと思っていたけど……うーむ、混乱する!結局運命の人って何?

「魔物の方は【番(つがい)】と言う言葉を使うそうです」
あー成る程、なんだかイメージがはっきりしてきた。
感覚的ではあるけど。

「その運命の人とか言うのは気持ち的なものなんですよね?
この人だけ!とか、この人は自分の生涯の相手だ!とか」
何とは無しに聞いてみたら、ハルさんは気まずそうな苦笑いを浮かべて答える。

「ウチ様は確か実際の年齢はそれなりでしたよね……。
少し言いにくいですけれど、肉体的にも関係してくるのですよ。
その……何というか…気持ち良くないと言うか、違和感を感じるといいますか…………。
人によっては運命の人以外だと使い物にならない場合もあるそうですよ」

え?何?●たなかったりするの?
【運命の人】何てロマンチックな響きの癖に、そんな下ネタチックな事も含んでんの?!

「トモ家の始祖も、他国への密偵の為に、この世界の人との間に沢山子供を作って、色んな国へ忍び込ませようとしたそうですけれど、その……役に立たなくて…。
運命の相手が先にお亡くなりになった後で、人との間に幾人かのお子をもうけたそうです」
あー、それであんな家訓になったんだ。

「他国へ忍び込むのにハーフだと直ぐにラグノルの関係者だとバレますからね。
黒髪もこの世界には私達召喚者しか居ませんので、黒髪の後継はこの地で情報を纏める役を、ハーフの者は城で下働きや、町の発展の為に尽くしております」

運命人と言い、忍と言い、目からウロコな話を立て続けに聞いて、思考回路ショート寸前の僕は
「へーーー」
としか返す事が出来なかった。

そうか、EDになるのか、そうなんだ……いやはや、この世界に来て一番の衝撃的な話だ。
まぁ、自分に関係してくるのはずーっと、ずーっと先だけど……そうなんだ……………。

その日の夜は悪夢にうなされました。


*****


「ウチ様、どうかされましたか?」
「何だウチ、元気ないなぁ」
こーんなイケメンや色男なのに、もしかしてニトもスイも【魔法使い】だったりするのか?
いや、まさかだよな。
役に立たないわけではないっていってたから。

でも、もしかして60歳超えてて…………。

「おいウチ、本当に大丈夫か?」
「体調が優れないのなら、本日は部屋でゆっくりなされますか?」
下世話なことを考えてるとは気づかない二人に、思いっきり心配されてしまった。

いかんいかん、人様の下半身事情なんて思いっきりプライベートな事じゃないか。
ゲスの勘ぐりはやめよう。

「いや、大丈夫、ちょっと考え事をしてただけ…」
君達の床事情を、とは言えない。

思考を切り替えて、
「じゃあヤクさんの所へ行こうか」

オダの書を見せてもらいに行こう。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妖精族を統べる者

暇野無学
ファンタジー
目覚めた時は死の寸前であり、二人の意識が混ざり合う。母親の死後村を捨てて森に入るが、そこで出会ったのが小さな友人達。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。 召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。 しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる―― ※今月は毎日10時に投稿します。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

嫌われ者の皇族姫

shishamo346
ファンタジー
両親に似ていないから、と母親からも、兄たち姉たちから嫌われたシーアは、歳の近い皇族の子どもたちにいじめられ、使用人からも蔑まれ、と酷い扱いをうけていました。それも、叔父である皇帝シオンによって、環境は整えられ、最低限の皇族並の扱いをされるようになったが、まだ、皇族の儀式を通過していないシーアは、使用人の子どもと取り換えられたのでは、と影で悪く言われていた。 家族からも、同じ皇族からも蔑まされたシーアは、皇族の儀式を受けた時、その運命は動き出すこととなります。 なろう、では、皇族姫という話の一つとして更新しています。設定が、なろうで出たものが多いので、初読みではわかりにくいところがあります。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...