【完結】英雄召喚されたのに色々問題発生です【改訂版】

七地潮

文字の大きさ
上 下
85 / 161
第三章 異世界の馬車窓から

城下町散策は基本行動だよね

しおりを挟む

久しぶりに畳に布団で眠ったら、朝起きたらちょっと体が痛かった……。

さて、今日は城下町の散策だ。
テーマパークみたいでちょっとワクワクする。
僕も甚平を借りて、いざ出発~。


*****


「いつも不思議な気分になりますよね、この木と紙で造られた家々は」

地震大国の日本ならではの木造家屋だもんな。

この大陸では地震というものが発生した事が無いと言う。
地面が揺れるのは、妖術か魔法で、局地的に揺れる事はあっても、広範囲で縦揺れや横揺れなどは無いらしい。

大震災は無いけど、震度5弱の地震などは経験ある。
あの揺れは出来るなら体験したく無い。
ここは地震のない国で良かった。

なんて事を考えながら、店を冷やかして回る。
聞いてたように、甘味処や櫛やかんざしなどの細工物の店や、後は竹細工の店が沢山ある。

鍛冶屋も有るけど、お土産物的なミニチュアサイズの物しか店頭に並んでいない。

「普通の刀とかは売ってないんですか?」
ネイに聞いてみたら、
「はい、武器は国外に出さないと言う方針ですので、実際に使用できる武器は店頭へは出しません。
殆どの物はオーダーメイドとなります」

話を聞いていた店の店主が言葉を引き継ぐ。
「店頭にある物はサイズも小さいけど、一応刃も潰しているんだよ。
よそで真似して造ろうとしても、やっぱり切れ味なんかは真似できないからね。
この伝統技術は他の国へ漏らす事は絶対にならぬと、初代様の決め事だから、この国の人間なら絶対に守るよ」
「あれ?ここではミニチュアしか無いけど、王城の城下町で刀とか脇差とか見かけたけど、あれはアリなの?」

スイの実家の商店街で見かけたから、この国でも刀が有るって知ったんだもん。
「ウチ様、あの店にある武器は全て見本なのですよ。
実際に手にして重さや感触や切れ味を知って、それから細かな部分を決めて注文をするのです」
持ち出し厳禁なのですよ、とスイが教えてくれた。

日本の武器以外は王城の城下町の鍛冶屋で造っていて、それぞれの店にある程度在庫は持っているそうだけど、日本の武器系は完全受注販売なんだそうだ。

洋刀とは扱い方も違うので、それなりに使える人にしか売らないと言う徹底管理だと。
しかもどこの誰に何をどれだけ販売したかも、全部記録していると言う事だ。

なんか凄いとしか言いようがない。
気軽に「僕も欲しい」と言えない雰囲気だ。

筋力付けて、ネイに刀の振り方習って、それから注文して……。
先は長いけど、時間だけはたっぷりあるんだから、そのうち僕も手に入れよう。

竹細工の店も、色んな物が有って見応えがあった。
凄いよね、籠やザルや食器、弁当箱に水筒、箸や匙に桶や和傘や提灯に、ちょっとした玩具……色んな物が竹で作られている。

いやもうここでも「凄い」としか出てこない。
伝統の匠の技だよね。

竹細工の店は、どこも繁盛していて、日本の伝統芸術は異世界でも受け入れられるんだと、ちょっと誇らしくなった。

でもでも、そんな鍛冶屋や竹細工屋より店数が多いのが、甘味処とスイーツショップ。
甘味処は和菓子を、スイーツショップは洋菓子を、そしてそれ以外でも水菓子屋と言うフルーツパーラー。
女性がキャッキャウフフしているだけでなく、男性の客も多い。

どの店も店頭販売と、店先に椅子が置いていて、そこで食べている人も多い。
あくまでもちょっとしたイートスペースであって、店内で腰を据えて食べると言うスペースは無いみたいだ。

洋菓子店であろうとも、時代劇とかで見る【峠の茶屋】のイメージだ。
峠の茶屋で食べるショートケーキやフルーツポンチ……何となくシュールなような気がしなくもない。

そんな甘いものの店のうちの一軒に案内された。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妖精族を統べる者

暇野無学
ファンタジー
目覚めた時は死の寸前であり、二人の意識が混ざり合う。母親の死後村を捨てて森に入るが、そこで出会ったのが小さな友人達。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。 召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。 しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる―― ※今月は毎日10時に投稿します。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

嫌われ者の皇族姫

shishamo346
ファンタジー
両親に似ていないから、と母親からも、兄たち姉たちから嫌われたシーアは、歳の近い皇族の子どもたちにいじめられ、使用人からも蔑まれ、と酷い扱いをうけていました。それも、叔父である皇帝シオンによって、環境は整えられ、最低限の皇族並の扱いをされるようになったが、まだ、皇族の儀式を通過していないシーアは、使用人の子どもと取り換えられたのでは、と影で悪く言われていた。 家族からも、同じ皇族からも蔑まされたシーアは、皇族の儀式を受けた時、その運命は動き出すこととなります。 なろう、では、皇族姫という話の一つとして更新しています。設定が、なろうで出たものが多いので、初読みではわかりにくいところがあります。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...