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第三章 異世界の馬車窓から
城下町散策は基本行動だよね
しおりを挟む久しぶりに畳に布団で眠ったら、朝起きたらちょっと体が痛かった……。
さて、今日は城下町の散策だ。
テーマパークみたいでちょっとワクワクする。
僕も甚平を借りて、いざ出発~。
*****
「いつも不思議な気分になりますよね、この木と紙で造られた家々は」
地震大国の日本ならではの木造家屋だもんな。
この大陸では地震というものが発生した事が無いと言う。
地面が揺れるのは、妖術か魔法で、局地的に揺れる事はあっても、広範囲で縦揺れや横揺れなどは無いらしい。
大震災は無いけど、震度5弱の地震などは経験ある。
あの揺れは出来るなら体験したく無い。
ここは地震のない国で良かった。
なんて事を考えながら、店を冷やかして回る。
聞いてたように、甘味処や櫛やかんざしなどの細工物の店や、後は竹細工の店が沢山ある。
鍛冶屋も有るけど、お土産物的なミニチュアサイズの物しか店頭に並んでいない。
「普通の刀とかは売ってないんですか?」
ネイに聞いてみたら、
「はい、武器は国外に出さないと言う方針ですので、実際に使用できる武器は店頭へは出しません。
殆どの物はオーダーメイドとなります」
話を聞いていた店の店主が言葉を引き継ぐ。
「店頭にある物はサイズも小さいけど、一応刃も潰しているんだよ。
よそで真似して造ろうとしても、やっぱり切れ味なんかは真似できないからね。
この伝統技術は他の国へ漏らす事は絶対にならぬと、初代様の決め事だから、この国の人間なら絶対に守るよ」
「あれ?ここではミニチュアしか無いけど、王城の城下町で刀とか脇差とか見かけたけど、あれはアリなの?」
スイの実家の商店街で見かけたから、この国でも刀が有るって知ったんだもん。
「ウチ様、あの店にある武器は全て見本なのですよ。
実際に手にして重さや感触や切れ味を知って、それから細かな部分を決めて注文をするのです」
持ち出し厳禁なのですよ、とスイが教えてくれた。
日本の武器以外は王城の城下町の鍛冶屋で造っていて、それぞれの店にある程度在庫は持っているそうだけど、日本の武器系は完全受注販売なんだそうだ。
洋刀とは扱い方も違うので、それなりに使える人にしか売らないと言う徹底管理だと。
しかもどこの誰に何をどれだけ販売したかも、全部記録していると言う事だ。
なんか凄いとしか言いようがない。
気軽に「僕も欲しい」と言えない雰囲気だ。
筋力付けて、ネイに刀の振り方習って、それから注文して……。
先は長いけど、時間だけはたっぷりあるんだから、そのうち僕も手に入れよう。
竹細工の店も、色んな物が有って見応えがあった。
凄いよね、籠やザルや食器、弁当箱に水筒、箸や匙に桶や和傘や提灯に、ちょっとした玩具……色んな物が竹で作られている。
いやもうここでも「凄い」としか出てこない。
伝統の匠の技だよね。
竹細工の店は、どこも繁盛していて、日本の伝統芸術は異世界でも受け入れられるんだと、ちょっと誇らしくなった。
でもでも、そんな鍛冶屋や竹細工屋より店数が多いのが、甘味処とスイーツショップ。
甘味処は和菓子を、スイーツショップは洋菓子を、そしてそれ以外でも水菓子屋と言うフルーツパーラー。
女性がキャッキャウフフしているだけでなく、男性の客も多い。
どの店も店頭販売と、店先に椅子が置いていて、そこで食べている人も多い。
あくまでもちょっとしたイートスペースであって、店内で腰を据えて食べると言うスペースは無いみたいだ。
洋菓子店であろうとも、時代劇とかで見る【峠の茶屋】のイメージだ。
峠の茶屋で食べるショートケーキやフルーツポンチ……何となくシュールなような気がしなくもない。
そんな甘いものの店のうちの一軒に案内された。
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