【完結】英雄召喚されたのに色々問題発生です【改訂版】

七地潮

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第三章 異世界の馬車窓から

オダ家の方々とご対面

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城は5階建てで、こちらの世界で見たどの建物よりも高い建物だ。
こちらの世界の建築物は、高さより広さがあるので、王城でも3階建てで、横に広い。
土地の狭い日本だと、横より縦に伸びるのだろうな。

城は堀で囲まれていて、櫓もいくつか見える。
些細な違いはあるけど、日本の城だ。

でも、僕が心配していたことは無く、中は畳敷きの和室半分、板の間半分で、板の間はテーブルや椅子、ベッドもある。
正座がちょっと…なこの世界の人の事も考えられてるみたいだ。

思わず「良かったね、スイ」と声をかけてしまったら、苦笑いされてしまった。
すまぬ。

和室と洋室どちらが良いか聞かれたから、僕は和室にしたよ。
やっぱり家の中では靴を脱ぎたいからね。
正直スリッパも要らない。

自宅では家に帰ると、まず靴下を脱いで素足で生活してたから、この開放感が懐かしい。

逆に靴下を履いていると言えども、普段風呂と寝る時以外は靴を履いて生活しているスイなんかは、何だか居心地悪そうだ。
部屋にもスリッパのまま畳に上がってこようとしたから、僕がスイの部屋に出向くことにした。

この後のスケジュール確認だけして、今日は部屋でゴロゴロさせてもらうことにした。

久々の畳、良いねぇ~。

ベッドやソファーでゴロゴロするのとは違う、床でゴロゴロするこのなんとも言えない心地よさ。
座布団を枕に気づいたら眠ってしまっていた。


*****


うっかり寝てしまったので、オダ家の人達への挨拶は夕食時になった。
「町長(まちおさ)相談役のオダ・アト・モトです」
「私の祖父です」
隣に座るモトさんの補足をするネイ。

白いものはチラホラと混じるけど、艶々の黒髪の、背筋が伸びた着物を着ている50代くらいの見た目の男性だ。

見た目だと、ラトさんとそう変わらなく見える。
向かいに座っている男性とも同年代に見えるよなぁ。

「現町長のオダ・モト・ヤクです。
隣が妻のメニです」
「初めまして」

ヤクさんの隣に座っている女性はお子さんかと思った…小さいから。
もしかしてマキさんと同類?と思ったけど、よくよく見ると、ただ小さいだけで、顔は大人だ。

「父の義理の弟で、メニさんはドワーフ族です」
成る程。マキさんとは違うね。
僕が勘違いしてると気づいたかな。
僕はいつもの挨拶をした。

モトさんは最初の奥さんとの間にラトさんを設けて、数年後に死別。
その後再婚した女性との間にヤクさんと、嫁に行ったアリさんの、合わせて三人のお子さんがいる。

因みにアリさんは、夫婦で城下町にて甘味処を営業しているそうだ。

ヤクさんとメニさんの間にはイルさんと、ユグさんと言う男の兄弟と、チコさんと言う女性の、こちらも三人のお子さんがいて、男性は鍛治師見習いとして、チコさんは細工師見習いとして、それぞれ家を出て独り立ちしているとの事で、今日は来ていない。

この場に居ない4人には、町に行った時に挨拶をしよう。


「オワリは他の町や他国へ、この国独特の着物や小物を輸出して生計を立てております。
また金物も有名で、鍛治や、細工物も人気があります。
そしてもう一つの名物が、甘味です。
初代様が甘味好きでいらしたそうで、トモ家の方々や、部下の方々に材料を探させるところから始めて、元の世界の甘味を持ち込んだそうです」

ああ、そう言えば甘いもの好きだったとか、何かで読んだ覚えがあるな。
僕も嫌いでは無いし、甘味と言うことは、こちらの世界で今まで食べた生クリーム系ではなくて、小豆系だろうから、ちょっと楽しみだ。

マモランドとは違って人間やハーフの人が多いみたいだし、あそこまで囲まれることは無いだろうから、ゆっくり回れるかな。

明日は城下町を回って、明後日はトモ家とオダ家の書を見せてもらう予定だ。
その後は……まぁその時になってと言う事で、ふんわりとした予定しかたてていない。
視察とかではなく、その家の雰囲気を感じ取るらのが一番の訪問だからね。
マモランドは予定外だったけど、今回はのんびりといけるだろう。

しかし……トラウマになっているのか、ついつい比べちゃうよな、マモランドと。




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