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第三章 異世界の馬車窓から
マキさんに突っ込みを入れてみる
しおりを挟む魔物の国…国の名前は【マモランド】…………いや、自分の国なら好きな名前付けて良いとは思うよ。
思うけどさ……。
秋彦さんと仲が良いってのが、会う前からわかるよ………。
*****
「やぁやぁこんにちは、マモランドの主様(ぬしさま)のマキ・ケモ・ユウだ、宜しくな。
あ、心配ないからね、ランドっても入場料も要らないし、パスポートも要らないからね☆」
…………どうしろと?
「曾祖父さん久しぶり、まだまだ元気そうでだね」
唖然としている僕に変わって、ニトが前に出てくれる。
「お~、久しぶりだね、ニトリん」
…………りん……。
「しかしまぁ、バブみどころか男ばかりかよ。
しかもモフもケモも無いとは……ニトリん、爺ちゃん寂しいぞ」
…………バブみ?
いかん、これは一回立て直そう。
スイと視線を合わせて馬車を指差す。
言いたい事が伝わったスイが頷く。
団長さんもわかってくれた様だ。
「ヨシ」
指を差した馬車に向かい歩き出そうとした僕の背中に、笑い声。
「ぷはははは、ヨシ!って現場●こかよ!
草生えるわ~」
………………このまま次の町に行ってもいいかな……。
「何だろう、秋彦さんもへ……個性的だったけど、違うベクトルでヤバ……独創的な人だね」
「確かウチ様と同じ時代から来たそうですが……。
ウチ様がまともな方で良かったです」
いや、比べられても……。
秋彦さんは死語の連発だったけど、マキさんは何だろう?
現場ね●は山田さんから画像見せてもらった事有るけど、バブみって何?
でもそれより突っ込みどころ満載なんだけど…。
「色々と聞きたい事がある様ですね。
どうぞ御本人にお尋ね下さい」
あ、スイ逃げたな。
秋彦さんが苦手だったらマキさんも同じく苦手だろうな。
*****
「えっと…初めまして、東堂内 柊一郎です。
トウ・ドウ・ウチとこちらでは名乗っています」
「マキ・ケモ・ユウこと牧 悠だ、初めまして…って2回目だよ!」
…えー…突っ込んで良いよね。
どれから行こう……。
「ケモって?」
「この世界って二文字の三区切りだろ?
でも自分カナ表記で四文字の名前だから、この世界の流儀に合わせたんだよ。
モフとケモで迷ったんだけどね」
…………えっと、次。
「国の王様なんですよね?」
「王様って柄じゃ無いし、魔物と毛物とモフモフの為の国だから主様の方がピッタリだろ?」
まぁ王様って感じじゃ無いよな。
それに獣って、なんだか違うように聞こえたんだけど、気のせいにしておこう。
「国は作れるもんなんですか?」
って言うか、異世界人が国を作って良いの?
「う~ん、ダメってことは無いんじゃない?
勝手に作った訳でも無いし」
ユウさんが言うには、魔物には国という概念が無かったらしい。
同種族で群れで生活していたけど、魔獣にやられてしまう種族も出てくるので、ユウさんがラグノルの王様に直訴して、魔物の保護の為に国を作ったと言う事だ。
ただし、近隣の国には【一国家】として認められているけれど、北の方へ行くと国としては認められていないらしい。
元々北の方では人至上主義なので、魔物の国の存在自体認め無いそうだ。
「国にしないといけなかったんですか?
ラグノルの一領ではダメなんですか?」
「そうだよ。
だって人と魔物では常識も考え方も、行動パターンも違ってくるからさ、決まり事など人に合わせるのは無理な所も有るからね。
だから魔物の為の国を作ったんだ。
全てはケモの為!」
……最後の一言が無ければ………。
「国の名前もマキさんが付けられたんですよね」
「マッキーと呼んでくれ。
国の名前は悩んだよ。
ウケを狙って厨二チックにするか、わかりやすくするか。
ケモとモフとマモで悩んだけど、モフじゃない人も居るし、ケモかマモかが最大の悩みどころだったよ」
…最大って……どっちもどっちだよ…。
何だか本当に特し…独特な世界観の人だな。
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