31 / 161
第二章 色々やってみよう
これからの事
しおりを挟む
数日の間、術を使ってみたり、書庫で本を読んだり、遊戯室でこの世界のボードゲームを教えてもらって遊んだり、城下町を案内してもらったり、王子達とお茶したり…。
王子は相変わらず僕を敵視しているようだけど、ルル姫の付き添いとして割と頻繁に顔を合わせる。
ルル姫を始めハーフの方々は、隙あらば……みたいな感じで抱っこしたり、抱っこまでしなくても、頭を撫でたりする。
余りにもベタベタ触ってくる人が多いので、最近慣れて来てしまった。
今もルル姫が僕の腕に絡み付いてて、王子が後ろで凄い目をしている。
「はしたないから離れなさい」
と言われても、姫は無視して
「あっちの噴水は変わった仕掛けが有りますの。一緒に行きましょう」
と僕を引っ張って行く。
そしてまた王子に疎まれると…。
そんなに気にしなくても、幼女をどうにかしようなんて思わないし、僕の中では従兄弟の娘に懐かれてる感覚なんだから、そう睨まないで欲しい。
そんなある日、スイから告げられた。
「王からの伝言です。
明日の昼過ぎに会議室に来て欲しい、との事です」
「会議室?また何か通訳でもすれば良いのかな?」
術を習った日から、色んな人に有用な術を教えてくれとか、妖精がどう思ってるか聞いてくれ、など聞かれるようになった。
そしてその隙に撫でたり、ありがとうと言いながら抱きついて来たり…。
見た目中年なら実年齢は老年?な男性に抱きつかれる三十路男……シュールだ…………。
*****
翌日の昼食後、スイに先導され会議室へと出向く。
会議室には王様と白髪混じりの黒髪の宰相と、王様より年配の男女と、王様と同年代の男性の五人が居た。
スイが椅子を引き腰掛けると宰相が話し始める。
「さて、先ずはご紹介致します。
外交に出ていらした前国王のタシ・テム・リア様と奥方様のタシ・シフ・メル様、そして王弟のユゲ・リア・レンです」
紹介されて頭を下げたが、ふと疑問に思う事が……。
「ユゲ家は英雄家系で、黒髪の宰相様が直系なのではなかったのですか?
レン様は宰相様のご親族とご結婚されたのでしょうか?」
身内なら敬称無しでもまだ分かる。
「いえ、レンは私の夫です」
おっと、同性婚なのか?
英雄家系と王族が同性婚とかアリなのか?
と言うか、この世界では普通にある事なのか?
など思ったが、勿論口には出さないよ。
言葉にしなくても表情に出てたのか、宰相がニッコリと笑う。
「私達は同性婚では有りませんよ。
勿論同性婚も認められていますが、私達は違います」
そう言うと、宰相は目を閉じて口の中で何かを唱えた。
すると彼の姿が滲む様にブレて、それが治ると妙齢の女性の姿に変化した。
「ミミなどが無いですからパッと見た目では分かりませんが、私の親は淫魔で私はハーフなのです。
性別は無いので、パートナーになった相手に合わせて性別を変えております。
今までのパートナーの時は男性でした。
今は女性ですが、宰相という仕事柄、他国とわたり合うのはやはり男性の方が都合が良いですので、仕事中は男性になっているのです」
性別が無いとは、見た目だけでなく、やはり魔物と人は違うんだな。
不思議な世界だ。
宰相が元の姿(男性)に戻った後、前国王が口を開く。
「トウ・ドウ・ウチと申したか。
この度は我が孫が御迷惑をお掛けした。
これからの生活は国で面倒を見させていただくとして、流石にずっと城で暮らしてもらうのは困難だ。
ジンからも話しは聞いているだろうが、寿命的な事も考慮して、いずれかの英雄の家系で後見させていただきたい。
なので後見を決めるためにも各家を巡り、そちらに暫く滞在していただきたい」
その辺は王様に聞いていたので、僕は素直に頷く。
「了解いただき感謝する。
そこで先ずはユゲ家、宰相とレンの家に行かれるのは如何か?」
別に異論はなかったので、明日から暫くユゲ家の世話になる事となった。
まあここで反論しても、この幼児な見た目だと仕事も出来ないし、どうしょうも無いもんな。
とりあえず流れに身を任せようと思う。
王子は相変わらず僕を敵視しているようだけど、ルル姫の付き添いとして割と頻繁に顔を合わせる。
ルル姫を始めハーフの方々は、隙あらば……みたいな感じで抱っこしたり、抱っこまでしなくても、頭を撫でたりする。
余りにもベタベタ触ってくる人が多いので、最近慣れて来てしまった。
今もルル姫が僕の腕に絡み付いてて、王子が後ろで凄い目をしている。
「はしたないから離れなさい」
と言われても、姫は無視して
「あっちの噴水は変わった仕掛けが有りますの。一緒に行きましょう」
と僕を引っ張って行く。
そしてまた王子に疎まれると…。
そんなに気にしなくても、幼女をどうにかしようなんて思わないし、僕の中では従兄弟の娘に懐かれてる感覚なんだから、そう睨まないで欲しい。
そんなある日、スイから告げられた。
「王からの伝言です。
明日の昼過ぎに会議室に来て欲しい、との事です」
「会議室?また何か通訳でもすれば良いのかな?」
術を習った日から、色んな人に有用な術を教えてくれとか、妖精がどう思ってるか聞いてくれ、など聞かれるようになった。
そしてその隙に撫でたり、ありがとうと言いながら抱きついて来たり…。
見た目中年なら実年齢は老年?な男性に抱きつかれる三十路男……シュールだ…………。
*****
翌日の昼食後、スイに先導され会議室へと出向く。
会議室には王様と白髪混じりの黒髪の宰相と、王様より年配の男女と、王様と同年代の男性の五人が居た。
スイが椅子を引き腰掛けると宰相が話し始める。
「さて、先ずはご紹介致します。
外交に出ていらした前国王のタシ・テム・リア様と奥方様のタシ・シフ・メル様、そして王弟のユゲ・リア・レンです」
紹介されて頭を下げたが、ふと疑問に思う事が……。
「ユゲ家は英雄家系で、黒髪の宰相様が直系なのではなかったのですか?
レン様は宰相様のご親族とご結婚されたのでしょうか?」
身内なら敬称無しでもまだ分かる。
「いえ、レンは私の夫です」
おっと、同性婚なのか?
英雄家系と王族が同性婚とかアリなのか?
と言うか、この世界では普通にある事なのか?
など思ったが、勿論口には出さないよ。
言葉にしなくても表情に出てたのか、宰相がニッコリと笑う。
「私達は同性婚では有りませんよ。
勿論同性婚も認められていますが、私達は違います」
そう言うと、宰相は目を閉じて口の中で何かを唱えた。
すると彼の姿が滲む様にブレて、それが治ると妙齢の女性の姿に変化した。
「ミミなどが無いですからパッと見た目では分かりませんが、私の親は淫魔で私はハーフなのです。
性別は無いので、パートナーになった相手に合わせて性別を変えております。
今までのパートナーの時は男性でした。
今は女性ですが、宰相という仕事柄、他国とわたり合うのはやはり男性の方が都合が良いですので、仕事中は男性になっているのです」
性別が無いとは、見た目だけでなく、やはり魔物と人は違うんだな。
不思議な世界だ。
宰相が元の姿(男性)に戻った後、前国王が口を開く。
「トウ・ドウ・ウチと申したか。
この度は我が孫が御迷惑をお掛けした。
これからの生活は国で面倒を見させていただくとして、流石にずっと城で暮らしてもらうのは困難だ。
ジンからも話しは聞いているだろうが、寿命的な事も考慮して、いずれかの英雄の家系で後見させていただきたい。
なので後見を決めるためにも各家を巡り、そちらに暫く滞在していただきたい」
その辺は王様に聞いていたので、僕は素直に頷く。
「了解いただき感謝する。
そこで先ずはユゲ家、宰相とレンの家に行かれるのは如何か?」
別に異論はなかったので、明日から暫くユゲ家の世話になる事となった。
まあここで反論しても、この幼児な見た目だと仕事も出来ないし、どうしょうも無いもんな。
とりあえず流れに身を任せようと思う。
1
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説


【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

嫌われ者の皇族姫
shishamo346
ファンタジー
両親に似ていないから、と母親からも、兄たち姉たちから嫌われたシーアは、歳の近い皇族の子どもたちにいじめられ、使用人からも蔑まれ、と酷い扱いをうけていました。それも、叔父である皇帝シオンによって、環境は整えられ、最低限の皇族並の扱いをされるようになったが、まだ、皇族の儀式を通過していないシーアは、使用人の子どもと取り換えられたのでは、と影で悪く言われていた。
家族からも、同じ皇族からも蔑まされたシーアは、皇族の儀式を受けた時、その運命は動き出すこととなります。
なろう、では、皇族姫という話の一つとして更新しています。設定が、なろうで出たものが多いので、初読みではわかりにくいところがあります。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる