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第二章 色々やってみよう
組み合わせたらこうなった
しおりを挟む再びニヤとピヤを引き連れて中庭へ出て行く。
中庭ではニトと一緒にスイも居た。
「私の事はどうぞ気にしないで下さい」
あー、完全にお目付役ですね。
ニトが表情で「スゲー迷惑」と告げている。
僕?僕は気にしないよ。
ニヤ達の暴走さえなければ問題ないからね。
「さて、術に慣れてもらう為に、色々術を使っていただきましょうか」
スイが居るから丁寧な口調のニトに言われて、光の子ともう一度水の子を呼んでみた。
ついでに闇の子も呼んでみようかな。
「スイさんは、どんな術を使われるのです?」
問いかけに、スイが答える前にニトが口を挟んだ。
「コイツのトキ家はレアな術を使えるのですよ。
代々同じ種類の妖精が祝福を与える事は珍しい事なのですが、英雄家系には割と有りますね。
例えばオダ家の雷、トモ家の闇、うちの家は光、など血筋に惹かれるのではないかと言われています」
そうそうとニヤ達が頷く。
「そうですね、私の家では珍しい重力の妖精の祝福を頂いております。
私は祝福は二つでして、重力と空間の術を使えます」
へー、ピヤ以外にも空間の妖精って居るんだ。
『そうだよ、最初はボクだけだったけど、今は何人も居るんだよ。
ボク達は誰も最初は一人っきりだけど、死んじゃったら力が拡散して、だんだん増えていくんだ』
『そうそう、だけどオリジナルが一番力強いの。
広がれば広がる程弱くなるの』
成る程、コピー重ねて行くと劣化して質が落ちて来る、そんな感じか?
『コピーって分かんないけどそんな感じ』
言葉は通じなくてもイメージは伝わったようで、ピヤは頷く。
『だから同じ空間でも、とうちゃんはどこまでもどこまでも制御出来るけど、この子の場合なら部屋一つ分かな?』
「スイさんの制御出来る空間の術の範囲って、部屋一つ分くらいなのですか?」
確認の為本人に聞いてみたら、
「ええそうですね。よくご存知ですね」
と、少し驚いた顔で返事が返ってきた。
「今ピヤ…妖精王が説明してくれたので」
僕の答えにスイは「そうですか」と、答えた後少し考えて、
「一つ聞いていただけますか?」
とニヤ達への質問をしてきた。
「重力なのですが、重い物を運ぶ時に軽くしたり、お仕置きの時に負荷をかける以外に、どんな使い方が在るのでしょう。
折角のレアな術なのですが、使いこなせていませんので」
うーん、普通に生活してて重力で何かすると言われても、そうそう思いつかないよな。
と言うかお仕置きってのは聞かなかった事にしておこう。
ニヤ、ピヤ、どうなの?
『自分を軽くしてジャンプすると、高い所へ行けるよ』
『要らない物をぎゅーって潰したりも出来るの』
ああ、確かに重力の負荷が少なくなると、ジャンプ凄い事になるだろうな。
後はプレス機代わりにも使えるんだね。
『後ね、空間で閉じ込めて重力かけると』
ハイストーップ、怖い事はいいから。
『水の上歩いたり、木のてっぺんで立って遠くを見たり』
『めちゃめちゃ軽くして、星の外までぶっ飛ば』
だから!物騒な事はやめなさい!
怖い事は抜きにしてスイに伝えると、
「成る程、色々参考になります。
ありがとうございました」
ニッコリ笑って頭を下げた。
今回のニッコリは怖くなかったな。
*****
さて、気を取り直して、術を発動させてみよう。
水と光で現象を起こすとしたら、コレしかないよね。
「ほぉ、美しいですね」
「これは何か祝い事の演出としても使えますね」
水の子に霧雨状の水を発生させてもらって、光の子に強さや角度を変えて、色んな虹を作ってみた。
「しかし、私達では考え付かない術の使い方ですね」
うんまあ、科学とか発達してなさそうだもんね。
次に闇の子とピヤの合わせ技で、50センチ程の空間に闇を詰めて、ニトの顔に当てる。
するとニトはジタバタと暴れ出した。
「こうして闇で囲って目眩しだけじゃなくて、空間と組み合わせたら、害獣駆除とかにも使えるんじゃないかな」
「成る程、見えないし音もしないのが良いですね」
ピヤに言って空間を解除する。
「ちょ……おま………何考え……」
ニトが文句を言おうとするけど、息が切れててまともに喋れてない。
ちょっとやり過ぎたか?
「害獣だけじゃなくて狩でも役に立たないかな。
例えば毛皮目的なんかだと、獲物に傷を付けなくて文字通り息の根を止められるから、有効かと思うんだけど」
「凄いですね、ウチ様。
今まで無かったアイデアがどんどん出てきますね」
『あの中で火を燃やしたら』
だからー、ちょっと黙ってなさい!
「他にも何か思いついたら、誰に言えば良いですか?」
他にも色々思い浮かぶかもしれないしね。
「戦いの事なら軍務、作物の事なら農林省の者でも良いですし、勿論私やニトでも構いませんよ」
まあ、名前しか知らない人とかより、スイやニトに伝える方が気が楽だな。
しかしまあ、怪しさ満載だったけど、術って面白いかも。
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