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第二章 色々やってみよう

僕の疑問も聞いてみた

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「そうだなあ、そもそも何故他の国では、祝福を授かる事は少ないと言うのに、我が国ではかなりの数の祝福が貰えているのだろう」

「王族や英雄の家系でなくても、祝福有るんだったよね?」
二人に聞いてみると、思った通りの答えが。

『好きだからー』

うん、そうだろうと思った。

『ワタシ達のこと、利用しょうとする人キライなの。
後、人以外キライな人もキライなの』

「どうやら妖精達の力を利用しょうとしたり、魔物とかを差別する人には、力を貸したくないと言う事みたいだね」

ニトに説明するとニヤ達はそうそう頷く。

「成る程、我が国では魔物との婚姻も普通だけど、北へ行けば行くほど【人間第一主義】で、魔物差別が激しいからね。

ほら、うちより北は魔物と関わり薄いし、南は南で国に攻め込まれて滅びた国もあるからね。
まあ元々魔物の領域に踏み込んだのは人間だから自業自得だよね」

おおぅ、辛辣。
でもその通りだよなあ。

『後ね、妖精の城から遠い所だと、妖精は生きていけないの』

これは脳内会話の方が良いかな。
妖精の城はこの国に有るのか?

『そうそう、だから遠い所行くと力が出にくくなるから、遠い国は無理だよ』

これは今伝えるのは止めておくかな。
「この国が好きだから他の国にはあまり行かないみたいだよ」
僕の言い方にニトは納得顔で、ニヤ達はそうそうと頷く。

「僕からも聞いていい?
その五百年前だかの魔物との戦いの前から祝福ってやってたの?」
この問いにはニトが答える。

「言ってなかったっけ?
元々この地に移り住んだ頃から祝福は有ったそうだけど、魔物との戦い後からはグンと数が増えたそうなんだ」

『あのね、魔物とも仲良くする様になったから、好きが増えたの』

『戦ってたのに仲直りして仲良くなったから、凄いなって思って沢山好きになったんだよ』

「へー。
どうやら魔物との戦いの後、それまで敵対していたのに、休戦後その魔物を受け入れた所から、人に対しての好感度がグンと上がったって」
「あー、それは初代様の活躍大だなぁ。
これも王に報告して良いかな?」

会話は出来なくても言葉は通じてると理解しているニトは、二人(姿は見えないから光にかな)に向かって問いかける。

『いいよー』

軽く了承してるけど、妖精王が良いと言うから良いんだよな?軽いけど。

「それとニヤとピヤ、祝福与えてる人が死んだら君達も消えるんだよね?
なら初代様が亡くなった時消えたんじゃないの?」

それに妖精王は500年前の国王に祝福与えてたんだよね?
その妖精王達はそのまま消滅して、ピヤ達が次代なのか?

『うん、あの優しい国王死んじゃった時、その時の王と女王も消えたの。
余りにも悲し過ぎて、二人とも復活するのやめたの』

『あの頃のボク達は、普通の妖精だったんだ。
ボク達も初代様が亡くなった時、復活するの拒んで、先代みたいに完全消滅するつもりだったんだけど、初代様が「お前達まで消えてしまうな」って言ったから……』

『最後のお願いだったの。
だから一度消えて復活したの。
そしたら女王になってたの』

『魔素の取り込みが多くて、レアな術使えるからボク達が次代になったんだと思うけど、よく分かんないや』

本人達にもよく分からないけど、代替わりしたのはしたんだな。
しかしこれを目をキラキラさせて説明を待ってるニトに、どうやって伝えたらキチンと伝わるんだろう。

「あ、後もう一つ。
この世界に来た時言葉が通じるのは妖精の祝福で波動?が変わったからで、だから元の世界に戻れない、とか言ってたけど、祝福貰う前なら戻れたのか?」

「ああ、それは俺も聞いてみたい。
記録では召喚して直ぐ戻した人が居ると有ったのだが」

ニヤ達の話によると、この世界に来て、この世界の波動と合わない人は、元の世界で死に掛けた(と言うか死んだ?)人なので、召喚後瀕死になるそうだ。
だから送り返したと言う記憶が……生まれ変わった時に引き継いだ記憶があるそうだ。

また、波動は合っても祝福する前(妖精と繋がってこの世界との結び付きが強固になる前)にパニック起こしたり、有無を言わさず攻撃して来て身の危険を感じたりした人は、すぐに送り返したようだ。

因みに、送り返し先は召喚する直前なので、死に掛けていた人はそのまま死んだんじゃない?とのクールな答えが返って来た。

死ななくて良かったのか、気が遠くなるほど生きていかなきゃいけないのなら、死んだ方がマシだったのか……今の時点では判断できないな。

その後もニヤ達がヘトヘトになるまで質問は続いた。

予定ではいくつか質問してその後妖術の実践をする筈だったけど、二人のくたびれ具合に明日に持ち越しだ。

そして今日の話はニトが王に伝えるとの事。
僕が報告するんじゃなくて良かった。

面倒ごとは任せるに限る。




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