【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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四章 再会

199 魔法を複写しました

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2年半ぶり…と言って良いのでしょうか、目の前に妻が居ます。
生きて、動いています。
皆が気を利かせて二人きりにしてくれたのですけど、久しぶりなのと嬉しいのとで、内心ドキドキしています。

先ずは今までの事をざっくりと話して、この世界の事や家族の皆との出会いを、【複写】のスキルを使い、直接伝えました。
言葉で説明するより、こちらの方が詳しく、正確に伝わりますから。

妻は驚きながらも理解してくれた様です。
柔軟性があると言いますか、おおらかに受け止めることの出来る女(ひと)ですからね。


「あなた……ジョニー、喚んでくれてありがとう。
それと……先に逝ってしまってごめんなさい」


話を続けようとした私に、妻の告げてきた一言に、少し泣いてしまいました。
置いていかれるのは辛いですけど、置いていく方も辛いですよね。

「この世界でなら、私の寿命を分ける事が出来るんですよ」
「寿命を分ける?」
「先程見せた中で、ゲージが貯まったポイントで、便利な魔法などを覚えると伝えましたよね?」
私が言うと、妻は頷きます。

「ええ……でもそんな事をしたら、あなたの寿命が短くなってしまうじゃない」
「大丈夫ですよ、今の時点で400年以上長生きしますから」
私の言葉に、ポカンとしています。

「まだその魔法は覚えていないのですけど、次に必ず覚えます。
寿命を分ければ、次に旅立つ時は二人一緒ですよ。
今度は置いていかれる事も、残す事も無いんですよ」
言葉の意味を理解した妻は、ホッとした顔で微笑みます。

「この世界に転移や召喚されて来た最初の寿命は、10年らしいのですけど、確認のために見て良いですか?」
「『見る』?」
「【鑑定】しようと思います」

【鑑定】と聞いて、妻が思い浮かべているのは、一緒に見ていた番組でしょう。
ふふふ、妻の考える事はお見通しですよ。

首を傾げながらも了承してくれたので、妻を鑑定みてみました。



名前 リリー
年齢 20歳
種族 人族・女性
職業 
健康状態 良好

 スキル 言語変換 調理・大 裁縫・大 調合・中

 魔法 水魔法・中 風魔法・小 土魔法・中 植物魔法・中

 特記 転生召喚者
 寿命 残り10年


やはり最初の寿命は10年なのですね。
おや?スキルや魔法がいくつか使える様ですね、しかも熟練度が高いです。
ティちゃん、これは?

〈召喚ボーナスだね。
世界を越える時、色々と作り替えられるんだけど、その時新たな世界で順応する為に、その人の基本能力がスキルや魔法に反映されるんだよ 〉

成る程、家事をしていたから、調理や裁縫のスキルが高いのですね。
調合は分かりませんけど。
炊事、洗濯、掃除と水仕事をするから、水の魔法なのでしょうね。
土魔法や植物魔法は、家庭菜園やガーデニングの賜物?
風魔法はわかりませんね。

〈私のスキルや魔法を全て妻に複写したいのですけど、大丈夫ですかね? 〉

〈ほとんどコピーは出来るけど、全部はムリだよ。
何が出来ないかは試してみれば?
別に相手にも自分にも負担があるわけでもないし 〉

念話は是非覚えて欲しいですし、転送や転移も便利ですからね。
鑑定も有れば、元の世界と違う事が有っても、混乱する事が少なくなるでしょう。
他の魔法も、知らないよりは知っている方が、何かあった時に有利になるでしょうから、出来る限りの複写をしようと思います。

妻に説明をして、複写のスキルを使います。
……うん、いくつか出来なかっけど、半数以上は複写できましたかね。

「鑑定と言うスキルが使える様になったから、何か分からないものがあれば、自分で調べる事が出来ますからね。
自分を鑑定もすると、自身の状態を見る事が出来ますよ」

私が告げると、妻は早速自分のスキルを確認しました。



名前 リリー
年齢 20歳
種族 人族・女性
職業
健康状態 良好

 スキル 言語変換 調理・大 裁縫・大 調合・中 鑑定 念話


 魔法 水魔法・中 風魔法・小 土魔法・中 植物魔法・中 火魔法・小 回復魔法・小 氷魔法・小 雷魔法・小 転送・小 結界・小 複合魔法

 特記 転生召喚者
 寿命 残り10年

「あらあらまあまあ、私色々魔法が使えるのね、魔女になった気分だわ。
其々の説明も、鑑定すれば良いわけね。
ちょっとワクワクしてくるわ」

うふふと笑う妻の、順応力の高さに、取り乱すかと少し心配していた私は、ホッとしました。






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