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四章 再会
194 年明けの吉報
しおりを挟む〈おめでとう、貯まったよ、ゲージ。
それと魔法も解放されたよ 〉
宴が終わり、年が明け、シナトラ達が鐘をつき、遅い時間に眠りについた私が目を覚ましたのは、随分明るくなった時間です。
目覚めていきなりティちゃんに念話で話しかけられ、半分寝た状態で聞き返しました。
「今回は随分ゲージ貯まるまでに時間がかかったね」
この世界に来て一年くらいはサクサクとゲージが貯まっていたような気がしますけど、最近は全然でしたよね。
〈いや、普通あんなにガンガン貯まる物じゃないから 〉
ティちゃんが言うには、私のゲージは【嬉しさ】や【幸せ】【感動】などの感情の揺れによって貯まるので、貯まりやすいのだとか。
よく分からないのですが、【内政チート】だと、国の発展具合、【王様コース】だと、国民からの信望など、【マットサイエンス】だと歴史的発見やら、コースによってゲージの貯まり具合が違うそうなので、貯まりやすい、貯まりにくいが有るそうです。
〈それにしてもあんたは貯まるの早過ぎだけどね。
どれだけ感動し易いねん!って思ったよ 〉
何だか酷いことを言われている気がします…。
「それで今回はどんな魔法が解放されたのですか?」
私の問いかけに、にゃりと笑った(雰囲気の)ティちゃんが答えます。
〈【リーンカーネーション】だよ 〉
何だか聞いた事のある様な……あっ!!
〈そう、転生復活できる魔法 〉
「それはつまり……妻と会えるという事ですよね?」
〈だから『おめでとう』だよ。
あ、別に他の魔法やスキルを覚えるのでも 〉
「すぐさま覚えます!!」
ティちゃんの言葉に被せてしまいましたけど、仕方ないですよね。
だって妻と会えるんですよ?
その為にこの世界に来たんですよ?
迷う余地はありません。
〈まあ、そう言うのは分かっていたけど、一応細かい事説明するね。
この魔法は特殊な物だから、他の人には使えないし、説明もムリだから 〉
「お願いします」
ティちゃんの説明では、魔法自体は【復活】の魔法で、【時空魔法】の【復元】(まだ未獲得)は無機物を元の形に戻す魔法で、【復活】は読んで字の如く【生物を生き返らせる】魔法だそうです。
この【復活】は制限が有り、一定の時間を超えると復活できない、術者の魔法の威力によっては、復活しても生前の記憶を残せない、下手するとアンデッド系になるなど、色々難しい魔法だそうです。
アンデット系…キョンシーですかね。
人として復活せずに、モンスターになると言う事ですね。
【復活】は、【時空魔法】と【回復魔法】が使えるのが最低条件なのだそうです。
そして【リーンカーネーション】ですけど、本来なら熟練度を【極】まで上げないと使えないそうなのですが、黒服さん達の計らいと言いますか、最初の約束と言いますか。
【復活】を覚えたら、一回だけの条件で使えるようにしてくれたそうです。
ありがたい事です。
〈で、リーンカーネーションは別の世界で亡くなった人でも、どんなに前に亡くなっていても、無条件で、生前の記憶付きで蘇らせて召喚できるって、メチャクチャチートな魔法なの。
だから回数は一回こっきり、そこんとこOK? 〉
「はい、特別な魔法だとも、一回だけだとも聞いています」
〈そーんなジョニーに朗報だ! 〉
頷く私に、何故か変なテンションのティちゃんが告げてきます。
〈何とこの度、ジョニーの働きが認められたんだぜ!
そのご褒美に、リーンカーネーションをもう一回サービスだ! 〉
どうしましょう、ティちゃんが壊れたみたいです。
と言いますか、誰に認められたのでしょう?
神様?
〈おおっと!但しこのサービス、本家のリーンカーネーションよりはワンランクダウンなのは了承してくれ!
一蓮托生の寿命を分けることは出来ないし、魔素の保有量や魔力もこの世界の一般人レベルだ!
別世界から引っ張ってくるから真名も付けられないし、この世界の理から外れると強制送還させられちまうぜ、あしからず! 〉
色々言っていますけど、ティちゃんの壊れ具合に話半分頭に入ってきません。
「えーと、認められたって神様からとかですか?」
〈おっと、気になるのがそこなのか!
チッチッチ!そこは聞かないのがお約束!
下手な好奇心は折角のチャンスを無にしちまうぜ!
覗かなければ鶴だって逃げなかったし、チシャの実を欲しがらなければラプンツェルだって親元で暮らせてた、浦島太郎だって玉手箱を開けなければジジイにならなかったんだからな! 〉
……ティちゃんは何を言っているのでしょう?
考えをまとめようにも、おかしなテンションに、思考回路が迷走してしまいいます。
〈さあさあ、早速奥さん喚んでみる?
それとも先ずは練習に誰が喚んでから、本命の奥さんを喚んじゃう? 〉
「いえ、妻以外に喚ぼうと思う方は思い浮かびません」
私は妻に会う為にこの世界で生きて、妻と幸せに暮らす為に、悪意の少ない、安全に暮らせる町を作ったのですから。
いきなり『もう一人喚べるよ』などと言われても、思いつく筈もありません。
〈なら早速喚んじゃう?喚んじゃう? 〉
「いえ、まず他の家族に報告してからにします」
ティちゃんのテンションに振り回されている心を、落ちつかせたいですし、皆にも妻を喚べる事になったと報告したいです。
すぐ生活できる様に、色々準備も要りますから、朝食を食べているであろう、家族の居る居間へ向かいました。
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