【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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三章 町をつくる様です

189 時間が経つのが早くって

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《そんなこんなでドラゴンに…王様トカゲになったの》

彼女のかいつまんだ一生の話を聞いたのですけど…ハッキリ言って胸糞悪いですねぇ。
私の妻も家族から虐げられていましたけど、ここまで酷くは無かったです。

「私がその場にいたら、周りの連中ぼてくりまわしてけたぐってやったのに」

《あははは、何それ、方言?
でも今が楽しいから、過去はもう良いの。
転生したばかりの頃は人族だけじゃなくて、亜人も怖かったけど、ほら、私王様トカゲでしょ?
人より全然大きいし、めちゃくちゃ強いのよ?
羽ばたいただけで人は転がって行くの》

まあ、そうでしょうねぇ。
基本的に大きさが違いますし。

《きっと転生した頃の私なら、貴方を見ただけで逃げ出していたかも。
でも今、とても幸せで楽しく暮らしているから、大丈夫なの。
そのいかにもな日本人顔も怖く無い理由の一つかな、とても懐かしく感じるわ》

「……お強い方なのですね」

《そうね、生まれ変わって120年も経つと、過去はずいぶん遠いわ。
仲間と時間が私を癒してくれたの》

「120年ですか……因みにお亡くなりになったのは何年くらいですか?」

《平成最後の年よ。
でもいつ死んだかなんて関係ないみたい。
飛ばされて来るこの世界の時間はランダムみたいだから》

そうなのですね、私てっきり明治時代生まれとか、その辺りの生まれの方かと思いましたよ。
その割には話の内容が明治生まれにはあり得ないなと。

《最初はこの身体をうまく動かせなくて、動きはおぼつかないし、王様トカゲなのにブレスも出せないしで、生まれ変わってもまた孤立するのかと思ったわ。
でもね、優しい悪魔さんの特典のおかげで歴代最年少の長(おさ)の補佐になれたの。
今の私は郷になくてはならない存在なのよ!
な~んてちょっとドヤってみる私》

「特典、ですか?」

《私ね、現存している王様トカゲで、唯一の回復魔法持ちなの》

胸を張って顎を上げるエイティンさん。

《そうだぞ、エイティンは凄いんだ。
怪我や病気だけじゃなくて疲れも取れるんだぞ》

水色の方も話に混ざって来ます。

「ほう、我の他にも回復を使える奴が居たのか」
ブルース迄も会話に加わって来ました。

《え⁉︎ ジジ回復魔法使えるの?》

「はははははは、我を誰だと思っておる、回復魔法くらい楽勝よ」

《やるな、ジジ》

「そう思うのなら我をジジイ扱いするのをやめろ」

《ジジはジジだろ》

また二人でじゃれあい……言い争いを始めましたので、放っておきましょう。


「私はこの世界に来てまだ2年にもならないのですけど、ようやくこの世界独特の呼び名に慣れてきました。
でもやはり違和感が有るんですよね。
エイティンさんも思いませんか?
ドラゴンなのに王様トカゲと呼ばれる違和感とか」

そうなんです、つい先日も家の近所でオコジョを見かけて、
「あ、オコジョが居ますよ、可愛いですね」
と言ったら、チャックから
「アレは長ネズミなんだけど」
と突っ込まれてしまいました。
確かに長いですけど、オコジョってネズミじゃ無かった気がするんですけど…。


《ほら、日本でも良くあるじゃない?
【蓮の花に似てるから蓮華】【金魚のようだから金魚草】【朝に咲くから朝顔】【猫の尾に見えるから猫柳】とか色々と。
多分そういった感覚だと思うの。
だからこの世界の大雑把な名付けが特別おかしいと、私は思わないかな。
学者も居ないし、遺伝子を調べたりなんて出来ないから、見た目でわかりやすく呼ぶしかないと思うわ》

成る程、そう言われてみればなんとなくですけど、納得できますね。
そのうち其々が違う生き物とわかって、個別の名前を付けられる時代も来るかも知れませんね。

オコジョはネズミじゃ無いと判明する時も来るでしょう。
……イタチでしたっけ? 


《ああ、もう!分かった、分かったよ!
ソイツは人族だけど良い奴で、人族だけどエイティンと同じ様な生き物で、無性人生じゃ無いのに名付け出来る上に、人族なのに魔族並みに魔力が有って、人族なのにジジ以上に規格外って事なんだな》

「そうだ、コイツは規格外過ぎて尻拭いが大変なのだぞ。
だが器は大きくて情に熱く、真面目で向上心が有り、一人で抱え込みがちで案外キレやすく、よく考えるが割と思いっきりが良く、そのくせにグジグジ悩む事も有る奴なのだ」

…………ブルースさん、後半それ、褒め言葉じゃ無いですよね?

《あ…ああ、分かった。
人族だが、人族から外れた規格外…で良いんだな》

うむ、と大きく頷くブルースさん……。

取り敢えず水色の方の、私への警戒心は無くなった様です。
ブルースとのミーティングは決定的ですね。
後で顔を貸してもらいましょうか。
じっとりとした視線をブルースにやると、いかにも「しまった」と言いたげな表情をして視線を逸らしました。

そんな私達に、案内の後仕事に戻っていたヨルゼル氏が、裏口から顔を覗かせ声をかけて来ました。

「そろそろ日が暮れますけど、話し合いは終わりましたか?」

「「 」」

辺りを見ると、沈みかけた夕焼けで、空の一部がオレンジ色に染まっています。
結構時間が経っているのに、話は何も進んでいません。

今日は一旦解散で、明日の昼過ぎにもう一度会う事となりました。


いつの間にか姿を消していたルシーは、応接室でお茶を飲みながらオヤツに山盛りソーセージを頂いていました。
………ソーセージってオヤツでしたっけ?
ちょっと前にハンバーガー食べてませんでしたっけ?

取り敢えず一旦帰ります。







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