【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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三章 町をつくる様です

187 西の森で待っていたお客さん

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ごはん屋に居たルシーの前には、皿に盛られたハンバーガーが山になっていました。
………オヤツとは?

「ん?どうしたの?
狩りか何かのお誘い?」
問いかけながらも、ハンバーガーを食べる手は止まりません。

私は西の森の王の国に、王様トカゲがブルースとルシーに会いに来ている事、ブルースは会うけどルシーはどうしたいかを聞きに来た事を告げました。

「んー別に会っても良いかな」

山盛りハンバーガーを食べ終わったルシーは、軽く了承したので、その場でヨルゼル氏に念話を送りました。

《そうですか、それでは三人でいらして下さい》

《いつお伺いしましょう?》

《そちらの都合が宜しければ、今からでも構いませんか?》

私は二人に確認して、今から伺う事にしました。

《三人で、ですか。
アインはお連れしなくて宜しいのですか?》

《今回の事は後ほど共有しますので、三人でどうぞ》

遠く離れた西の森ですけど、移転での移動ですから、一歩踏み出すだけですからね。
一応家族に念話で西の森へ出かけると知らせて【ワープ】しました。

移転が楽しくて、ちょくちょくワープしていたおかげで、五人くらいまでなら一緒に移動できます。
これって、最大何人くらいまで一緒に移動できるのでしょう?
気になるので、熟練度上げを頑張ってみちゃいましょうかね。


ワープした先は、神殿(?)の入り口です。
ここからブルースの背に乗り飛び立って、一年半程経つのですね。
家族も増えて、町もつくり、家も建てて……色々ありましたねぇ。

一人しみじみとしていると、ヨルゼル氏が迎えに出てきました。
相変わらずこの神殿(?)にお勤めの方々は、人族で有る私を警戒している様で、誰一人として顔を出しませんね。
そろそろ私に慣れて欲しいもんです。

「それで、我らに会いたいと言う奴はどこに居るのだ?」
入り口から入って、神殿(?)を突っ切り、そのまま裏口まで来てしまいました。

「そちらにいらっしゃいます」
ヨルゼル氏が向けた視線の先には、水色の王様トカゲと、ひと回り小さなオレンジ色の王様トカゲが座って(うずくまって?)いました。

「おお、水の坊じゃないか」
ブルースが水色の王様トカゲに話しかけました。

《………もしかして風の大ジジか?》

「らだからジジイと言うなと言うておろう」

《久しぶりだな、ジジこそいつまでも坊主扱いは止めろよ、もうじき二百歳になるんだぞ》

「坊主は坊主だ」

《しかし何故また人の姿になっているんだ?》

「我は我の好きにしておるだけだ」
話を変える様に、ブルースがオレンジ色の王様トカゲに視線を向けます。

「そちらはお前の番か?」
どうやらオレンジ色の方は雌……女性の様ですね。

《違う違う、仕事のパートナーの様なものだ》

「仕事?
今回我を呼んだのもそれに関するのか?」

《そうだが、先ずは自己紹介させてくれ》

水色の王様トカゲは立ち上がり、ルシーの前まで行くと、再びその場に座り、頭を下げて正面から顔を覗き込みました。

《まだまだ若そうだな、氷の王様トカゲか?
俺は水の王様トカゲだ》

よろしく、と鼻先をルシーの頭に付ける。

「ええ、私は氷の王様トカゲよ。
名前はルシーと言うの」
あなたは?とルシーが尋ねると、
「王様トカゲに個別の呼び名は無いな」
ブルースが答えました。

他の魔力持ちの生物と同じく、得意魔法の属性で色が違うそうです。
動物なら毛の色、王様トカゲですと鱗の色ですね。

個体数の少ない王様トカゲは、得意魔法が被ることが少なく、相手を呼ぶ時は「火の~」とか「土の~」と呼ぶそうです。
稀に同じ属性ですと、縄張りの地域…つまり「西の風の~」や「東の氷の~」となるそうです。
後はブルース達の様に、「ジジ」とか「坊主」とか「姐さん」などなど。


「連れのオレンジは珍しいな、回復か?」

《流石ジジ、よく分かったな》

「見た事は無かったが、噂に聞いた事がある」
自分の事を言われたからか、それまで大人しく話を聞いていたオレンジ色の王様トカゲは、ペコリとお辞儀をしてから、

《こんにちは、私はエイティンです、よろしく》

名乗りました⁉︎

「名前が有るとは、亜人化した事が有るのか?」

《いえ、違います。
でも…少し事情がありまして》

小首を傾げて(多分)曖昧に微笑みました。

王様トカゲには無い個人の名前を持ち、でも亜人では無い。
お辞儀をして名乗り、小首を傾げて(多分)曖昧な微笑みを浮かべる……これってもしかしなくても…。

「あのー、エイティンさんは元日本人なのですか?」

一歩離れた所から王様トカゲ方の会話を聞いていたのですけど、思わず前に出て口を挟んでしまいました。

《えっ⁈》

《なっ!!!》

驚いた様に私を見るお二方。
今まで私の存在に気付いていなかったようです。

《なぜ人族が居る!!》

立ち上がった水色の方がすごい形相で睨みつけて来ます。
迫力ありますねえ。

「この場まで転移で送り届けてくれた、我の家族だ」

《人族が家族だと?
以前も人と仲間になったと人の真似事で冒険者などをしてたが、縁を切って王様トカゲに戻ったと聞いてたぞ。
なのにまた亜人になっただけでなく、家族など……!》

とてもご立腹な水色の方を放置し、ブルースは私に簡単な説明をしてくれました。
人が王様トカゲを素材として見ていて、被害があると言うのは、以前からちょくちょく聞いていました。
この水色の方も危うく狩られそうになった事が有るそうで、人嫌いに拍車がかかっているそうです。

話を聞け!と怒鳴っている水色の方の横を通り、エイティンさんが近づいて来ます。

《あら、よく見ると日本人顔ね、小さいから離れてたらわからなかったわ。
顔が日本人のままって言う事は転移かしら、それとも召喚かしら?》

「その二つがどう言った感じのものかは分かりませんけど、私は一度死んで、第二の人生を送る様にとこの世界に送られて来ました」

《一度お亡くなりになったのなら転移とは言わないのかしら?
私はお察しの通り元日本人。
転生してドラゴンになったの》

転生ドラゴン女性は(多分)笑顔で嬉しそうに胸を張りました。






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