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三章 町をつくる様です
179 祭りは楽しかったですよ
しおりを挟む広場が出来上がり、遊具も設置され、噴水も無事稼働。
シナトラが魔法で育てた緑も目に優しく、木陰のベンチは住民の憩いの場になってくれそうです。
広場の北と南にお手洗い、東と西にジューススタンドと小腹満たしの揚げパン屋の屋台を設置しました。
お手洗いはね、自然現象ですし、家に戻るまで間に合わないといけませんしね。
ジューススタンドは、自販機代わりの水分補給の場です。
好きな果物をその場で生搾りし、水で割った物で、お好みで蜂蜜で甘くもしますよ。
飲み終わった後コップを戻すとコップ代が返金されるシステムにしました。
紙コップなど有りませんから、昔の酒屋がビール瓶を持って行くと瓶代くれた様な感覚ですね。
揚げパン屋は子供がお小遣いで買える様な物を販売します。
ベビーカステラの様な物と、お婆ちゃんの手作りドーナツみたいな、本当に簡素な物ですが、遊んでお腹が空いた時に気軽に食べられるものを準備しました。
ドーナツショップみたいなオシャレな物は無いですけど、そのうちクリーム入りくらい販売できる様にするつもりです。
お祭りの5日程前から、会場の設置です。
出店や屋台の準備がぼちぼちと始まりました。
2日前には楽団(ここでは音楽家団と呼ぶ様です)が曲のリハーサルを始めました。
音の響き方や広がり方を検証する為に、実際に踊る場所に楽器を持ち込んでのリハーサルです。
リハーサルの音に合わせて、踊りの練習をしている姿もチラホラ見えました。
因みにですが、楽器は笛と打楽器のみです。
弦楽器や管楽器はありません。
イメージ的に昔のアフリカの方々の音楽と言う感じですかね。
曲は楽譜などないので、音楽家団ごとのオリジナル曲を代々弟子に継いでいるのだとか。
概ねリズムを刻みやすい明るい曲が多いので、マイムマイムはすんなり受け入れてもらえました。
炭坑節は少し苦労されていましたね。
音頭と言う概念が無いですから、初めて聞いた曲調ですものね。
でも、笛と打楽器だけでキチンと再現してくださいました。
流石プロ。
そして月末、お祭りは大盛況で幕を閉じました。
………え?詳細ですか?
大きく育った立派な野菜やセクシー野菜は、見てて楽しかったですし、野菜料理コンテストは美味しく、子供の野菜嫌いをなくしてくれそうでした。
伝言ゲームは大笑いさせていただきましたし、大声選手権は鳥の亜人の方が優勝されました。
狩り勝負は………来年からはブルースとシナトラを出場させてはいけませんね……。
ルシーもいけません、身内でワンツーフィニッシュは、出来レースと言われても仕方ないですよ。
そして一番盛り上がったのはマイムマイムでした。
皆さんアハハと笑いながら踊っていて、大きな声で全員で掛け声を叫ぶ…少し怖かったです。
泣き出す赤子もいましたよ……トラウマにならなければ良いのですけど………。
何はともあれ(狩り勝負以外は)住民の方々も喜んでいただけて、反省点も踏まえて秋の祭り、そして来年へと続きそうです。
祭りも終わり、雨季となりました。
町にカカルから新たな住民が加わりました。
毛織職人の アイライラさんと リアリアルさんの姉妹とあと二名、それと織り機職人でアイライラさんの旦那さんの ライアルゴさんの五名が今回来てくださった方々です。
私の家の近く作業場を建て、住居は住み慣れたテントを張るスペースを作りました。
前もって家を準備するかと尋ねた所、テントの方が良いとおっしゃられたので、スペースを確保して、テントを建てるのはお手伝いさせていただきました。
皆さんが落ち着いてから、新しい仕事の依頼です。
「これが【光布】です」
シルクの様な光布を、アイライラさんに手渡します。
「スベスベですね。
私達とは違う織り方なのですね。
……少しばかりこの布を解いて良いですか?」
「まだ何枚か有りますから、お好きに使って下さい。
それとその織り方が解明したら、この繭から作れる糸で織って欲しいのです」
村を巡っている時に、蚕の様な虫を見つけていたのです。
それを町で育てた結果、予想通りに繭を作ってくれました。
これで糸を作ると、シルクが出来上がる……と思うのですけど。
「糸を紡ぐなら、ミルミンが得意ですね」
アイライラさんが年嵩の女性に視線を向けます。
「どれどれ、ちょっと見せてごらん」
出された手に繭を乗せると、表面を撫でたり、光にすかしてみたりして、頷きました。
「大丈夫だと思うよ。
これ以外でも、ふわふわ草が有ればそれも糸にしたいねえ」
ふわふわ草?
〈綿花の事だね 〉
ティちゃんがフォローを入れてくれます。
綿花か…探せば有るんだろうけど、今のところ無いので、見つけたら確保する事にしました。
それまでは、カカルから持ってきたふわふわ草を使われるそうです。
もう一方のヤナカさんは、機織りよりも裁縫の方が得意だそうで、オファド商会から見本として頂いた服を渡して、ボタンホール付きの服の試作をお願いしました。
その内住民の方でお針子さんを募集して、色々な服を作りたいですね。
……いえ、全てを紐を結ぶ服って、結構面倒なんですよ。
そのうちベルトも作りたいですねえ。
着やすい服が目標です。
因みに、カカルの民の五人の年齢は、男性のライアルゴさんが38歳、奥さんのアイライラさんが21歳、妹のリアリアルさんが19歳、糸紡ぎの得意なミルミンさんは……触れてはいけないと思います。
ヤナカさんの年齢も触れてはいけない感じですけど、ミルミンさんよりは年下の様です。
……いや、ライアルゴさん達の歳の差!
しかも結婚して五年目って、彼はロリk………触れてはいけないんでしょうね。
触れてはいけない事の多いカカルの民ですけど、人柄には問題ないので、仲良くやっていけそうです。
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