【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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三章 町をつくる様です

173 進めダンジョン 3

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人喰い花を仕舞い込み、探索を続けます。

薬草だらけのフロアを巡り、案内された先に有ったのは縦穴です。
穴にはロープが垂れ下がっています。

「えっと……もしかして、このロープで下に降りるのですか?」
えー、消防隊員では無いのですから、ロープを使って上り降りなんて、結構無茶振りだと思うのですけど。

「ギルドで梯子を準備中なんだけど、今日はこれで移動してくれ。
なんだったら飛び降りても大丈夫な高さだぞ」
言われて穴を覗きますけど、結構な高さがあると思いますよ。

ラルーセンさんはスルスルとロープで下に降ります。
チャックとデイビッドは飛んで行けるから良いですよね。
ブルースとシナトラもあっさりと飛び降りました。
残された私は、飛び降りる勇気はなく、ロープで降りようとしたのですけど、揺れるロープに途中で動けなくなってしまい、結果的にデイビッドに抱えられて降りる事になりました。

「ありがとうございます、デイビッド」
お礼を言い上を見上げると、4メートル近い高さが…。
この高さを飛び降りても大丈夫だと言うラルーセンさん!
普通怪我しますよ?
下手したら打ちどころ悪くて死ぬ高さですよ?

え、ちょっと待って?
あと2回コレが有るの?
戻る時とかどうするの?
梯子を用意するって言ってたけど、4メートルの梯子って、それはそれで怖くて私には無理ですよ?
階層のあるダンジョンは私には無理ですね。

頭の中でグルグル考えながら進みます。
この階層は普通に魔獣が出て、嬉々としてシナトラが向かっていきます。
ここにも勿論薬草は有りますけど、上の階よりサイズが一回り程大きいです。
魔獣が走り回るから踏み潰されている物は有りますけど、少々踏み潰されても問題ない程生えていますね。

すり鉢状と聞いていた様に、上より狭く、目の前にはまた縦穴が……。
デイビッドにお願いして抱えて飛んでもらおうと思っていたら、ブルースにヒョイと担ぎ上げられて…。

「うわぁぁぁぁ!!」

飛び降りられましたよ、強制的に!

「ブ、ブルース!いきなりなんて怖いですから!危ないですから!」
心の準備もなく飛び降りなんて、驚くなと言う方が無理です。
ヒモなしバンジージャンプなんて、それはただの飛び降りです。
自殺志願者以外には無茶振りです。
地面に降ろされた私はへたり込んでしまいました。

「大丈夫、父ちゃん」
「せめて先に言ったほうが良かったんじゃないの?」
チャックがブルースに意見してくれます。
「背中に乗せるか抱えて飛ぶかの差であろう。
問題あるまい」
王様トカゲの背中と、人型の腕の中は全然違うと思いますけど?
それに空を飛ぶのと飛び降りるのは全然違いますけど?

ブルースに悪気はなく、一人で降りれない私に気を遣ってくれたのはわかりますので、「ありがとうと」だけは言っておきました。

なんとか立ち上がれる様になったら、3階を回ります。
ここは上の階とは違う種類の薬草が目立ちます。
花が多いですね。

「そう言えば地下なのに明るいのは何故ですか?」
今更?と言いながらラルーセンが答えてくれたのは、このダンジョンは植物特化で、光る苔や草(しかも薬草)が、至る所に生えているからだそうです。

普通のダンジョンだと、光魔法を使うか、光源を持ち込まないといけないそうです。
そうですよね、ゴキ…が居たダンジョンでは、ランタンを使いましたもんね。

会話をしながら(シナトラ達は魔獣を狩りながら)サクサクと歩みを進めます。
この階層は一階の半分くらいの面積で、あっという間に回り終えました。

最深階へ降りる前に、ラルーセンさんから丸薬を手渡されました。

「下は核が有って魔素が濃いから、体に影響がない様にそれを飲んでくれ」

濃い魔素は体に良くないと言いますか、魔人化してしまう恐れが有るので、一時的に魔素の吸収を抑える薬を飲むのだそうです。

今度もブルースに抱えられて降ります……落ちますの方が正しい気が…。

4階はサッカーコート位の広さです。
ここの薬草は魔素の濃度の高い場所にしか生えない珍しい物ばかりの様です。
見てもどれが何なのかわかりませんけどね。

魔素が濃すぎて魔獣も住めないほどなので、ここは穴に扉を付けて、許可なく降りられない様に管理するそうです。
薬草が貴重と言うことも有りますけど、薬を飲まずにこの階に来ると人として終わってしまいますから、徹底管理をするそうです。

中央にダンジョンの核が有りましたけど、大きはメロンくらいですかね。
濃い緑と薄い緑のマダラで、薄らと光っている様な?

この核を壊せばダンジョンは機能を停止するそうです。
また、この核を別の場所に移せば、そこが新たな薬草ダンジョンになるそうです。

珍しいダンジョンの核は、奪われる事が多々有るそうですけど、このロスフォータに関しては、そんな事件は一度も起こらないと聞きました。

「そうであろうな、奴等が治める地に不穏要素は無いであろう」
アインやコニー達の治めるロスフォータですからね。
他の国では、利権が絡むと色々問題が発生するそうです。

良い地に住めて良かったですよ。
核のチェックも済ませ、いくつか薬草を採取し、地上へ戻る事に。
さて、どうしましょう。
デイビッドに抱えて飛んでもらうのもいいんですけど……。

「ラルーセンさん、秘密は守れますか?」
「え?いきなりなんだ?」
「そのうちバレるでしょうけど、一応今のところ秘密なのです。
だから言いふらさないでくださいね……ワープ」

はい、帰りは移転で戻りました。
ラルーセンさんを最初に、次に説明をお願いしてブルース、デイビッド、シナトラ、チャックと順番に飛ばして私も移動。

地上に戻ったら、皆から説明を受けたラルーセンさんに言われました。

「ああ…なんだ、その……ブルース達があんたの事、非常識だと言う言葉に納得だな」

酷いです。






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