【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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三章 町をつくる様です

150 ギルドの方々と面談

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町に住民が移住を始めたのと同時期、冒険者ギルドと商業ギルドのギルド長と副ギルド長の面談をしました。

先に会ったのは冒険者ギルドの方。
先方の都合で、お会いしたのは日が暮れて、コニーの城の応接室でお話をする事になったのですけど、応接室に入って少し驚きました。
見た事のある顔がそこに居ましたから。

「こんにちは、お久しぶりです」
挨拶をしたのは良いのですが、顔は覚えていても名前が出てきません。

「あ、どうも、俺の事覚えてたん…いらしたのですね」
「ええ、私の冒険者登録をして下さった方ですから覚えていますよ……、ですがすみません、名前を忘れてしまいました」
適当な名前を言うわけにもいかず、正直に謝りました。

「仕方ないですよ、あれから4か月以上経ちますからね。
この度総本部からの辞令で、副ギルド長としレミントンから移動して来ました、ガルガスです。
改めましてよろしくお願いします」
腰掛けていたソファーから腰を上げ、握手を求めて手を差し出してこられます。

「こちらこそよろしくお願いします」
そうそう、確かそんな名前でした…かね。
人の名前、ましてやカタカナ名は覚えるのが苦手です。

握手を交わしながら、
「以前と同じ話し方で結構ですよ」
と告げます。
確かもっと砕けた口調でしたよね。

「いえ、俺も副ギルド長となるからには、話し方を改めないと示しがつきませんからね」
「では、仕事以外では普通の話し方でお願いしますね。
長い付き合いになるでしょうから、プライベートでは気を使わないでください」
私が言うと、ニコリと笑って頷いてくれます。

ガルガスさんとの会話が終わり、もうお一方は女性ですけど、ガルガスさんが副ギルド長なら、この女性の方がギルド長なのでしょう。
こちらの方は初対面ですので、良い印象を与える為にも笑顔で挨拶をしました。

「初めまして、リーガルリリーの町長を努めます、ジョニーです」
私が名乗ると女性は立ち上がりました………デカイ!
ブルースと同じくらいの身長にがっしりとした体付き、明るい栗色の髪は、昭和時代に流行った(?)前髪の一部を逆立てるような髪型ですので、更に背が高く見えます。

「こんにちは、ワタクシマリリンと言いますの。
総本部からこちらのギルド長を申しつかりましたの」
よろしくお願いしますの、と言いながら握手を求められましたけど……爪が長!
凶器の様な、肉が抉れそうな爪をしていて、刺さりそうで怖いです。
冷や汗をかきながら握手を交わします。

そして何より怖いのが、とても良い体付き、鋭い眼光、女性にしては低い声、それなのに話し方が……語尾が…………。

「マリリンさんはどちらのギルドからいらしたのですか?」
「ワタクシ前職は普通の冒険者でしたの」

一般の冒険者からいきなりギルド長とは、随分と出世したのですね。
などと思っていたら、次の言葉に驚かされました。

「その前は東の昼の王をしていましたの」
「え?ファナさんの前任の女王様ですか?」
「あら、ファナをご存知ですの?」
「ええ、町をつくる前にご挨拶に伺いました」
「あらあら、そうなの。
あの子が早めに引き継いでくれたから、気ままに冒険者を楽しめていたのよ」

それから少し、北の森の王の国の話を少しして、お開きとなりました。

口には出しませんでしたが、冒険者ギルドのトップが女性なのは大丈夫かと思いましたけど、元女王様ですし、とてもお強そうでしたし、どこに有るのか知りませんけど、総本部からギルド長が務まると判断されたのですから、問題はないのでしょう。

……しかし、見た目三十代の方でしたけど、元女王様で、ギルド長になれる程冒険者としても活動していたと言うマリリンさんはおいくつなのでしょう……。
尋ねる気は無いですけど、少々気になります。


翌日には商業ギルドからお二人お見えになりました。
チャックより少し大きいくらいの小柄な、私と同世代のグレーの髪に丸いミミの男性と、黒い髪に黒いミミ…多分猫のミミの妙齢の女性です。

「初めまして、この度こちらの町のギルド長を勤める事になりました、丸ネズミの ショタコフスキーです、よろしくお願いします」
「町長のジョニーです、よろしくお願いします」
丸ネズミは多分ハムスター、毛並み…髪の色から、ジャンガリアンハムスターだと思われます。

「こんにちは、私は副ギルドを申しつけられました、ダンゴです」
黒猫のタンゴ…ではなく、ダンゴさんですね。
三兄弟でも無いですね。
団子とは発音が違いますから、気をつけましょう。

などと考えていたら、ショタコフスキーさんが話し始めます。
「まだまだ若輩者ですけど、僕は南の港町のギルドで、ギルド長補佐をやっていました。
そして彼女はそこで副ギルド長をしていて、この度結婚と同時に、ギルド長からこちらへ向かう様に言われたのです。
僕は頼りないかもしれませんけど、彼女は有能ですよ」

成る程、新婚さんですか。
元々副ギルド長をされてたのなら、うちでも同じ副ギルド長をするのに問題はないでしょうね………ってそこではなく!
猫とネズミ(ハムスター)が夫婦?
捕食者と被食者ですよね?
大丈夫なの?
トムジェリみたいなモノ?

内心の動揺を察したのか、ダンゴさんが妖艶に笑いました。
「フフフフ、獣人とは言え、種族が種族ですからね、周りからもよく不思議がられますの。
でもご安心なさって。
獣では無いのですから、頭から食べたりはしませんわ。
食べるのは別の意・味。
ね、あなた?」

真っ赤な口紅を引いた口でニッと笑うと、ショタコフスキーさんはポッと顔を赤らめてモジモジし始めました。
「も、もう、人前でそんな事言わないで下さい、女お………あ、すみません」
「フフ…フフフフフフ」
笑うダンゴさんの横でとうとう両手で顔を覆ったショタコフスキーさん。

………ああ、こちらも【女王様】なのですね。
夫婦仲が良いのは良い事です……うん。







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