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三章 町をつくる様です
140 どうしましょう
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「あなた人族よね?
なぜそんなに色々な魔法が使えるの⁈
しかもとてもスムーズじゃない⁉︎」
ファナさんの視線が痛いです。
そう言えば、人族の方々は、魔法が得意では無いんでしたっけ?
でも全く使えないと言うことも無かった筈ですよね?
「魔法の使える人族が珍しいですか?」
疑問には答えず、疑問で返してみましょう。
「魔族の方ほどでは無いですけど、多少は使えるのは私だけではないですよ」
この答えで合っていますよね?とアインを見ましたけど、渋い顔をしています。
……間違えましたか?
「魔法が使える事を言ってるんじゃないわ、土魔法に水魔法、光まではまだわかるけど、雷魔法なんて上級魔法を使える人族なんて居ないって言って良いほど少ないわ。
居たとしてもお抱え魔法師や、研究者くらいよ」
あ…そう言えば雷魔法って上級魔法でしたっけ?
え?もしかして一般の人族の方々は、上級魔法を使えないのでしょうか…。
「それにさっきサラッと流しちゃったけど、転送魔法も使えるのよね?
そんなに沢山の種類の魔法を使える人族なんて居ないわよ」
え…えーと……これはどうすれば良いのでしょうか…。
悩んでいる私に、マークスさんの追い討ちが…………
「ファナ姉、そいつ回復魔法も使えるぞ」
酷い、痛くしたから治してあげたのに、恩を仇で返されました。
「よくよく見てみると、風魔法を常時発動してるわよね?」
言われてみれば、匂い対策の換気は、起きている間中、無意識でオート発動していましたね。
忘れていました。
更にファナさんは畳み掛けて来ます。
「それに…………家族だと言っていましたよね。
家族になって魔王が二人も分裂って……あなた何者なの?」
これはどうすれば良いのでしょうか…。
どこまで話して良くて、どの部分を秘密にすれば良いのか、正直言ってわかりません。
話せないことの方が多いですし、十分墓穴を掘っていますから、何を言えば良いのか………。
「ファナ」
途方に暮れていた私を助ける様に、ファナさんに呼びかけたのは、やっぱり頼りになるアインです。
「ジョニーは私たちの家族です。
それ以話す事はありません」
アイン怖っ!
だから昨日から怖いって、アイン!
私を助けるためだと分かっていても、怖いですよ。
「す、すみません」
アインの威圧に、ブルブルと震えながらその場に座り込み、頭を下げるファナさん。
鳥の土下座?
誤魔化す為だとわかりますけど、女性(しかも昔からの知り合いですよね?)を脅すのはどうかと思いますよ。
かと言って、私の事を話すわけにはいかないので、助かったのには違いありませんけど。
そのうち彼女にも話せる時が来ればいいですね……その前にルシーとヨーコーに話すのが筋ですね。
……決して鳥が好きですから贔屓をしているわけではありませんよ、多分。
緊迫した空気が辺りを包みます。
こういう時シナトラが居れば、場の空気を壊してくれるんですけどね。
とりあえず私が原因ですから、どうにかしないといけませんよね。
私が口を開きかけた所、マークスさんの声が重なりました。
「ファナ姉、お二人が言えないって言うんだから、聞いちゃあダメなんじゃない?
ファナ姉の真面目なところには助けてもらってばかりだけど、あー……なんて言うんだっけ?
臭い桃には蓋をしろ、とか言う言葉があるじゃん、それだよ、それ」
………桃では無いですよ、マークスさん。
でもお陰で空気が軽くなりました。
私も先ほど口にしようとした事を告げます。
「ファナさん、すみません。
私、少しばかり人には言えない事情がありまして、詮索しないでいただけると有り難いのですが……」
「ファナ姉は真面目と言うか、少し頭が硬い所が有るんだけど、頭の良く無い俺に変わって色々この国について考えてくれてるんだ。
今回も得体の知れないアンタがこの国に悪いもんじゃ無いかって思っただけだから……」
「このお馬鹿!!!」
マークスさんのフォローを、ファナさんの蹴りと怒声が止めました。
「余分な一言が多いじゃない!
馬鹿なの?得体の知れないとか口にしちゃあフォローの意味ないでしょ!
本当に馬鹿なんだから!」
あー…うん、そうですね。
得体の知れないとか、国に悪いもんと言うセリフに、アインから冷たい空気が流れて来てますよ。
ファナさん、止めてくれて大正解。
「ごめんって、気をつけるから落ち着いて」
二人のやりとりに、アインもフッと息を吐き、冷たい空気は霧散しました。
「まあ、そのうち必要があれば詳しい事は話すかも知れません。
とりあえず今回は口を黙なさい」
アインの言葉に「わかりました」と返すファナさん。
そのファナさんを見て、微笑むマークスさん。
二人で国を治めているだけあって、口では色々言ってても、仲の良い二人なのでしょうね。
すっごくバカバカ言っていますけど。
「じゃあ話も終わった事だし、飲もうか!」
いきなりのマークスさんの宣言、なんの脈略も有りませんよね?
「そうね、難しい話は終わったし、飲みましょう」
ファナさんまで、この急展開に反論はないの?
思慮深い女性では無かったの?
「……こうなると思いましたよ」
「え?でも昼間だし、なんで急に酒?」
「この国は酒好きばかりだって言ったろ?」
「でもお城で王様で、政務は…」
ついていけない私の肩を、コニーがポンと叩きます。
「こんな国なんだよ」
なぜそんなに色々な魔法が使えるの⁈
しかもとてもスムーズじゃない⁉︎」
ファナさんの視線が痛いです。
そう言えば、人族の方々は、魔法が得意では無いんでしたっけ?
でも全く使えないと言うことも無かった筈ですよね?
「魔法の使える人族が珍しいですか?」
疑問には答えず、疑問で返してみましょう。
「魔族の方ほどでは無いですけど、多少は使えるのは私だけではないですよ」
この答えで合っていますよね?とアインを見ましたけど、渋い顔をしています。
……間違えましたか?
「魔法が使える事を言ってるんじゃないわ、土魔法に水魔法、光まではまだわかるけど、雷魔法なんて上級魔法を使える人族なんて居ないって言って良いほど少ないわ。
居たとしてもお抱え魔法師や、研究者くらいよ」
あ…そう言えば雷魔法って上級魔法でしたっけ?
え?もしかして一般の人族の方々は、上級魔法を使えないのでしょうか…。
「それにさっきサラッと流しちゃったけど、転送魔法も使えるのよね?
そんなに沢山の種類の魔法を使える人族なんて居ないわよ」
え…えーと……これはどうすれば良いのでしょうか…。
悩んでいる私に、マークスさんの追い討ちが…………
「ファナ姉、そいつ回復魔法も使えるぞ」
酷い、痛くしたから治してあげたのに、恩を仇で返されました。
「よくよく見てみると、風魔法を常時発動してるわよね?」
言われてみれば、匂い対策の換気は、起きている間中、無意識でオート発動していましたね。
忘れていました。
更にファナさんは畳み掛けて来ます。
「それに…………家族だと言っていましたよね。
家族になって魔王が二人も分裂って……あなた何者なの?」
これはどうすれば良いのでしょうか…。
どこまで話して良くて、どの部分を秘密にすれば良いのか、正直言ってわかりません。
話せないことの方が多いですし、十分墓穴を掘っていますから、何を言えば良いのか………。
「ファナ」
途方に暮れていた私を助ける様に、ファナさんに呼びかけたのは、やっぱり頼りになるアインです。
「ジョニーは私たちの家族です。
それ以話す事はありません」
アイン怖っ!
だから昨日から怖いって、アイン!
私を助けるためだと分かっていても、怖いですよ。
「す、すみません」
アインの威圧に、ブルブルと震えながらその場に座り込み、頭を下げるファナさん。
鳥の土下座?
誤魔化す為だとわかりますけど、女性(しかも昔からの知り合いですよね?)を脅すのはどうかと思いますよ。
かと言って、私の事を話すわけにはいかないので、助かったのには違いありませんけど。
そのうち彼女にも話せる時が来ればいいですね……その前にルシーとヨーコーに話すのが筋ですね。
……決して鳥が好きですから贔屓をしているわけではありませんよ、多分。
緊迫した空気が辺りを包みます。
こういう時シナトラが居れば、場の空気を壊してくれるんですけどね。
とりあえず私が原因ですから、どうにかしないといけませんよね。
私が口を開きかけた所、マークスさんの声が重なりました。
「ファナ姉、お二人が言えないって言うんだから、聞いちゃあダメなんじゃない?
ファナ姉の真面目なところには助けてもらってばかりだけど、あー……なんて言うんだっけ?
臭い桃には蓋をしろ、とか言う言葉があるじゃん、それだよ、それ」
………桃では無いですよ、マークスさん。
でもお陰で空気が軽くなりました。
私も先ほど口にしようとした事を告げます。
「ファナさん、すみません。
私、少しばかり人には言えない事情がありまして、詮索しないでいただけると有り難いのですが……」
「ファナ姉は真面目と言うか、少し頭が硬い所が有るんだけど、頭の良く無い俺に変わって色々この国について考えてくれてるんだ。
今回も得体の知れないアンタがこの国に悪いもんじゃ無いかって思っただけだから……」
「このお馬鹿!!!」
マークスさんのフォローを、ファナさんの蹴りと怒声が止めました。
「余分な一言が多いじゃない!
馬鹿なの?得体の知れないとか口にしちゃあフォローの意味ないでしょ!
本当に馬鹿なんだから!」
あー…うん、そうですね。
得体の知れないとか、国に悪いもんと言うセリフに、アインから冷たい空気が流れて来てますよ。
ファナさん、止めてくれて大正解。
「ごめんって、気をつけるから落ち着いて」
二人のやりとりに、アインもフッと息を吐き、冷たい空気は霧散しました。
「まあ、そのうち必要があれば詳しい事は話すかも知れません。
とりあえず今回は口を黙なさい」
アインの言葉に「わかりました」と返すファナさん。
そのファナさんを見て、微笑むマークスさん。
二人で国を治めているだけあって、口では色々言ってても、仲の良い二人なのでしょうね。
すっごくバカバカ言っていますけど。
「じゃあ話も終わった事だし、飲もうか!」
いきなりのマークスさんの宣言、なんの脈略も有りませんよね?
「そうね、難しい話は終わったし、飲みましょう」
ファナさんまで、この急展開に反論はないの?
思慮深い女性では無かったの?
「……こうなると思いましたよ」
「え?でも昼間だし、なんで急に酒?」
「この国は酒好きばかりだって言ったろ?」
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「こんな国なんだよ」
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