【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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三章 町をつくる様です

138 茫然自失

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「買うだけなら転送魔法で送って貰えば良いのではないのですか?」
「!!!!!」

そうだった!
別に海の近くに住まなくても、ネット通販の様に【転送魔法で産地から直接お届け】をすればいいんじゃないですか!
しかも通販よりもっと新鮮。
なんなら船の上からそのままお渡しも可能じゃないですか。

忘れていた便利魔法に打ちひしがれている私の耳元で、周りに聞こえない様に、アインが囁きます。

「それにそろそろ転移魔法も使える様になるのではないですか?」

そうです!転送魔法を極めていくと、転移魔法が使える様になって、【自宅からドアを開ければそこは望みの場所】なんて事もできる様になるではないですか!
あの有名なドアの様に。

「候補地は二つありますけど、私は東北の方を選ぶと思っていましたよ」

候補地その1は、私が海が近いからこの辺と、軽く選んだ場所です。
候補地その2は、アイン達が勧めた場所なのです。

東の山脈から流れる川による肥沃な大地は、農作物を育てるに向いていますし、山脈も大森林も近いので、獲物には事欠かない場所。
山や森はロスフォータの彼方此方に有りますけど、山脈や大森林の動物は、他所と違う進化をしていて美味しいとブルースが言っていました。

それと候補地から南西へ進むと、廃坑があるそうです。
以前は鉄が採れていたそうなのですけど、数年前に廃坑になったとか。

今はその廃坑で、陽の光に弱い作物を育てているそうです。
鉄が出て来ていた地層で、農産物が育つのか疑問ですけど、きっとこの世界独自の作物なのでしょうね。

どんな物を育てているのか、少し気になりますから、町づくりが終わったら、足を伸ばしてみるのも楽しいかもしれません。

後、鉱山では無いのですけど、予定地の辺りは、地面を掘ると宝石が出てくる事があるのだとか……。
勿論貨幣に使われている様なきちんとした物ではなく、いわゆるクズ石という物らしいのですけど、宝石は宝石なんですって。

地面を掘っていて、
「ん?なんか大きな石が有るなぁ」
と掘り出してみると、小さなルビーがチラリと見えているとか。
見逃すレベルの小さい物で、研磨技術があまり発展していないこの世界では、【キラリとした物がちょっとだけ入っている石】にしかならないとか。
勿体無いですよねぇ。

それと、この地では冬は寒くなり、雪が降ることもあるそうです。
夜に降ってうっすら積もり、昼には溶けてしまう程しか積もらないそうですけど、冷えるのは冷えるそうです。
季節感を味わえると思えば苦にはなりませんけど、私は寒いより暑い方が好きなんですよね。

自分の中の考えとして『老後は南で』と言うのが有りましたけど、妻は暑がりですから、こちらの方が良いかもしれません。
うっすら積もる雪が降るくらいの寒さなら、我慢しましょう。

農業に向いてて狩り場も豊富、コニーの城や北の国にも程近い。
南ですと塩害が少々気がかりだったのですけど、東北ならその心配もない。
海産物は転送で新鮮なものが手に入る………。

迷う必要なくなりましたね。

「それでは、町は東北の…この場所に作りたいと思います」
地図を指して言うと、アインとコニーは頷きました。
マークスさんとファナさんも頷き、そして……

「よーし、決まったな。
じゃあどっちにする?」



「あら、マークス、何言ってるの?
今は昼なんだから、ここは私でしょう」



「いや、相手があの二人のどちらかだぞ?
ここは俺だろ」



「そりゃあ…どちらが相手でもキツイけど、私なら飛んで避けれるし、私の方が強力な魔法を使えるわ」



「あ、その事なのですけど、私達は手を出しませんよ。
お相手はジョニーです」

???

「えー?
そいつは無謀なんじゃないのか?」
「確かに、町をつくる首謀者は彼かもしれないけど……無茶じゃない?」
「そうだぞ、俺は悪人でもない奴を殺したく無いからな」

!!???!!!?

「ジョニー、大丈夫ですか?」
「混乱しておるな。
つまり何か意見を通したいなら、力を示せと言うのが北の決まりなのだ」

………………

「そうよ、何かを成したいのなら、力を示して貰わないとね」
「勝つ必要はありませんよ。
意見を通すのに、ある程度の力を持っていないと、成し遂げられませんからね。
なので、王のどちらかと勝負をしてもらう事となっているのですよ」

あー……話の流れからそんなもんじゃないかって思ったよ!






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