【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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三章 町をつくる様です

136 北の国の王様’s

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「改めまして、こちらはジョニー。
書簡に書いた様に、私たちの家族で、今回町をつくる予定です」
アインの紹介で私は頭を下げます。

「ジョニー、こちらはこの国の夜の王のマークスです」
北の王が胸を張り、頷きます。

「そしてあちらが昼の王、ファナです」
ヘビクイワシがこちらを見て目を伏せます。
あー、色っぺえ。

いや、ちょっと待て俺、アイン今何てった?

「夜の王と昼の王…ですか?」
たまに聞く『夜の帝王』とかそういった意味合いでは無いですよね?
私の疑問に答えてくれたのは、ファナさんです。

「ええ、この国は昼に活動する者と、夜に活動する者が居ます。
それに対応する様に、昼と夜分けて管理しているんですよ」
「寝てる時になんかあったら対応できないからな。
かと言ってずっと気を張ってなんてられないし。
なら昼と夜分ければ問題解決だろ?
で、昼間は主に鳥族、夜が俺らケモノ族が管理してるんだ」

成る程、無理なく国を運営するために、昼と夜を分けて統治しているんですね。
夜でも統治者がしっかり管理してくれていると、問題が起きた時にも早期対応が出来ます。

これはアレですね、コンビニが出来た時、夜でも買い物ができて重宝した感覚が思い浮かばれますね。
不意に何かあった時、時間外だからと朝まで待たなくても、一日中対応してくれるのは、助かるものなんですよ。
きっと住民にとって、24時間対応はありがたい事ですね。

内心納得している間に話は進みます。
町をつくる理由、予定地、住民を受けいる予定でいるなどなど、人族の国で話した事を色々とアインが告げてくれています。
本当に助かりますね。

「町をつくるとか楽しそうだな」
羨ましそうな声でマークスさんが言うと、ファナさんが呆れた様にため息をつきました。

「貴方馬鹿なの?
町づくりどころか、私達はより良い国を作っていかなければならないじゃない。
国づくりよ?
楽しそうだとか思うのなら、もっと楽しい国をつくっていけばいいじゃない」
ファナさんの言うことに、膝をポンと叩くマークスさん。

「そうか、俺は国づくりの最中なんだ、これからもっと楽しくてワクワクする国をつくっていけるんだ!
そりゃあ町より規模も大きくて楽しそうだな!
そうだ!楽しい国のためにも、口煩いジジイやババアどもを皆隠居させよう!」

マークスさんの『いいこと思いついた』と言わんばかりの言葉に、ファナさんは翼で頭を押さえ息をつきます。

「馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、救いようの無い馬鹿なのね。
師たちを追い出してどうするつもり?
先達方が居なくなったら誰が私たちを導いてくれるの?
私たちの手に負えないことが起こった時に、誰に相談するって言うの?」

そうですよね、どこにでも老害は居ますけど、全てが害と言うわけでは無いですからね。
経験者の意見や、経験談が必要な場合もあります。
目上の方は煩わしく感じることもありますけど、全てを排除するのは悪手だと思います。

「だってアイツら何かっちゃあ「あれはダメだ」とか「こうしろ」とか「もっとよく考えろ」とか煩いもん」
「その原因が自分に無いとでも言うのかしら」
「………………だって…」
「だってじゃありません、貴方ももう18歳なんだし、国王になったのだから、いつまでも甘えたことを言うんじゃありません!」

言動から若いだろうと思っていましたけど、18歳ですか………老けて見えますね、30歳近いと思っていました。

「………ファナ姉煩い」

マークスさんの言葉にファナさんは、ゲシゲシとマークスさんの足に蹴りを入れています。

「ファナ、落ち着きなさい。
貴女まで熱くなってどうするのですか」
「ヨルゼル兄様…すみません」

姉とかアインお兄様とか言っていますけど、これは家族やきょうだいではなく、ご近所のお兄さん、お姉さんの感覚なのでしょうね。

「そう言えば伝えていませんでしたね。
私は アイン です。
そして東の王は コニー です。
分裂して今は二人ともジョニーの家族なのですよ」

マークスさんは「そうなのか」と頷き、ファナさんは少し微妙な顔をしています。

「話を進めよう。
二人は町づくりに反対はないのだな?」
「ええ、コニーおじ様、…で良いのかしら、私は反対などしませんわ」

おじ様……アインより断然コニーの方が年下なのですけどね。
見た目の問題ですか。

「ああ、問題無いな。
強いて言えばつくるなら、このうちと東の間はどうだ?
そしたら俺が遊びに行きやすい」
え?王様が遊びに来るんですか?

「昼間は食ってるか寝てるか遊んでるかだからな、時間はいくらでもある」
食う寝る遊ぶですか、羨ましいですね…ではなく、誰か止めないんですか?

「そうですね、管理以外の時間は好きな事して気分転換をするのは良いことです。
周りの許可さえあればいつ来ても構いませんよ」
あ、アインが許可しちゃいました。
メリハリ付けるのはいい事ですけど、それに私の町(予定)を組み込むのは止めて欲しい気がします。

「で、どうするジョニー、うちとここの間に作るか?」
コニーも第二予定地の方が東の山に近いからこちらを推している様です。
でも……

「私はできるならもう一つの予定地が良いです」
「人の国と港の間か?」
「なぜだ?こっちの方が北にも東にも近くて遊びやすいぞ」
コニーとマークスさんに尋ねられましたので、私の気持ちを正直に伝えましょう。







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