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三章 町をつくる様です
132 閑話 人族の王の国の国王・前編
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私は人族の国を治めている、トマフ・マンティールです。
先代の王、私の父母は、私が幼い頃、魔獣が国に侵入した時に亡くなり、継ぐ者が私しか居なかった為、6歳で王位継承しました。
勿論子供ですので、実権は先先代で有る祖父が後継人となり、その補佐として、結界を保っている家系、魔位の筆頭の当主が、国の運営を行なっていました。
この国の始まりは、東の山の王が、弱い人族の為に、
『同種族が集まる国が有れば、心穏やかに過ごせるだろう。
魔獣が出没する森や、侵略を狙う北では気苦労するだろうから、我らの守る地の中央、平原に国をつくろう。
そこを人族の国として、寄り添って過ごす国を作れば良い。
お前はその地の王となり、弱い人族の助けになる事を任命する』
と、東の王の元で働いていた私の先祖が、主君の命を受け、初代の王となったのが始まりです。
それから何代も代替わりして、今では国民も増え、規模の大きな国となりましたけど、人が増えると魔獣も増えます。
人族というものは、魔法に関しては、魔族の方々に遠く及びません。
力に関しては、獣人の子供にも劣ります。
建国当初は、魔獣による被害が酷かったそうです。
人族では敵わない為、魔族や亜人の冒険者を招き入れ、周辺の魔獣を討伐して頂き、何とか落ち着くことができたそうです。
しかし、いくら討伐しても、魔獣の被害が無くなることは有りませんでした。
そんな状況を見た西の森の王、ヨルゼル様が、数代前に結界を張る魔道具と、それを起動させる魔法を伝授して下さったのです。
その当時の王族では、魔力が足りず、魔力の高い者を集め部署を作り、その中で1番優れた魔力を持つ家系に魔位の位を与え、結界を任せる事となったと聞きます。
その魔位を賜った家系が、他の位より重要視されるようになりました。
なにせ国防を一手に担うのですから。
殆どの位が次代になると、より優れた家系に変わりますが、魔位の家系は、魔力の高い伴侶を得る事で、一族が独占する事になりました。
陰で不満の声も上がった様ですが、国の守りの要に、誰も何も言えません。
私が王位を継いで10年目の暮れに祖父が亡くなりました。
今際の際に遺言として『魔位の娘を王妃として迎える様に』と言われました。
遺言通り、喪が明けると同時に、魔位筆頭家系の娘が、第一王妃として嫁いできました。
当時の私はまだ若く、祖父の遺言と、国を支えて来た家系との婚姻に、何の疑問も抱きませんでした。
王妃はこの国の民とは系統の違う美しい容姿ですが、とても気位が高く、気が合いません。
数年後跡取りである第一王子が生まれた後は、跡取り教育を施す為にと、王子共々別邸へ移り住み、年に数度顔を合わせるだけとなりました。
そんな折、私は二人の女性と出会いました。
一人は文位の副長の娘、もう一人は交位長官の娘です。
いくら魔位筆頭と言えど、国事をいつまでも任せるわけにはいきません。
私は改めて国の歴史や、他国との付き合いを学び直す事にしました。
……王妃達には隠して。
そこで出会った二人の女性。
博識で有るにもかかわらず、謙虚で心安らぐ娘。
他国との外交を任せている交位へ話を聞く為に出向いた先で出会った、明るく絶えない笑顔の陰で、物事の核心をついてくる娘。
丁度その頃、後継が一人では何かあった時不安だと、子供を作ることを勧められていたので、彼女達を第二王妃、第三王妃として迎えることにしました。
勿論第一王妃の陣営からは反対の声が上がりましたけど、他の位の者達も後押ししてくれて、二人を迎えることができました。
同じ年の二人は元から仲の良い友だったようで、二人で私を支えてくれました。
先代の王、私の父母は、私が幼い頃、魔獣が国に侵入した時に亡くなり、継ぐ者が私しか居なかった為、6歳で王位継承しました。
勿論子供ですので、実権は先先代で有る祖父が後継人となり、その補佐として、結界を保っている家系、魔位の筆頭の当主が、国の運営を行なっていました。
この国の始まりは、東の山の王が、弱い人族の為に、
『同種族が集まる国が有れば、心穏やかに過ごせるだろう。
魔獣が出没する森や、侵略を狙う北では気苦労するだろうから、我らの守る地の中央、平原に国をつくろう。
そこを人族の国として、寄り添って過ごす国を作れば良い。
お前はその地の王となり、弱い人族の助けになる事を任命する』
と、東の王の元で働いていた私の先祖が、主君の命を受け、初代の王となったのが始まりです。
それから何代も代替わりして、今では国民も増え、規模の大きな国となりましたけど、人が増えると魔獣も増えます。
人族というものは、魔法に関しては、魔族の方々に遠く及びません。
力に関しては、獣人の子供にも劣ります。
建国当初は、魔獣による被害が酷かったそうです。
人族では敵わない為、魔族や亜人の冒険者を招き入れ、周辺の魔獣を討伐して頂き、何とか落ち着くことができたそうです。
しかし、いくら討伐しても、魔獣の被害が無くなることは有りませんでした。
そんな状況を見た西の森の王、ヨルゼル様が、数代前に結界を張る魔道具と、それを起動させる魔法を伝授して下さったのです。
その当時の王族では、魔力が足りず、魔力の高い者を集め部署を作り、その中で1番優れた魔力を持つ家系に魔位の位を与え、結界を任せる事となったと聞きます。
その魔位を賜った家系が、他の位より重要視されるようになりました。
なにせ国防を一手に担うのですから。
殆どの位が次代になると、より優れた家系に変わりますが、魔位の家系は、魔力の高い伴侶を得る事で、一族が独占する事になりました。
陰で不満の声も上がった様ですが、国の守りの要に、誰も何も言えません。
私が王位を継いで10年目の暮れに祖父が亡くなりました。
今際の際に遺言として『魔位の娘を王妃として迎える様に』と言われました。
遺言通り、喪が明けると同時に、魔位筆頭家系の娘が、第一王妃として嫁いできました。
当時の私はまだ若く、祖父の遺言と、国を支えて来た家系との婚姻に、何の疑問も抱きませんでした。
王妃はこの国の民とは系統の違う美しい容姿ですが、とても気位が高く、気が合いません。
数年後跡取りである第一王子が生まれた後は、跡取り教育を施す為にと、王子共々別邸へ移り住み、年に数度顔を合わせるだけとなりました。
そんな折、私は二人の女性と出会いました。
一人は文位の副長の娘、もう一人は交位長官の娘です。
いくら魔位筆頭と言えど、国事をいつまでも任せるわけにはいきません。
私は改めて国の歴史や、他国との付き合いを学び直す事にしました。
……王妃達には隠して。
そこで出会った二人の女性。
博識で有るにもかかわらず、謙虚で心安らぐ娘。
他国との外交を任せている交位へ話を聞く為に出向いた先で出会った、明るく絶えない笑顔の陰で、物事の核心をついてくる娘。
丁度その頃、後継が一人では何かあった時不安だと、子供を作ることを勧められていたので、彼女達を第二王妃、第三王妃として迎えることにしました。
勿論第一王妃の陣営からは反対の声が上がりましたけど、他の位の者達も後押ししてくれて、二人を迎えることができました。
同じ年の二人は元から仲の良い友だったようで、二人で私を支えてくれました。
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