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三章 町をつくる様です
124 トラウマは持ちたくないものですね
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少しばかり微妙な空気で晩餐を終え、詳しい話はまた明日として、疲れを癒すために休む事となりました。
ゲストルームへ案内された私達は、各々部屋で寛寛ぐ事に。
それぞれ1人部屋なのですが、私は2人部屋で、チャックとシナトラと白雪と一緒です。
白雪を一人寝させられませんし、チャックは私と一緒なのは鉄板です。
なのでシナトラがベッドを一つ、もう一方のベッドで残りの3人で寝るのです。
「ねえ父ちゃん、明日はギルドに行くんだよね?」
ベッドに仰向けに寝転がったシナトラが尋ねて来ます。
「そうですね、私も戦い方を教わりたいですし」
タイマンや抗争はたっぷり経験していますけど、魔法ありきの戦いなんて、この世界に来るまで経験ありません。
それに獣や魔獣などと戦ったのも、この世界に来てからしか無いです。
「シナトラとブルースが居れば、獣に襲われても大丈夫でしょうけど、この前みたいに二人のいない時に襲われる事も有るでしょう。
或いは大きな群れに遭遇する事も無いとは言えません。
そんな時に動けなかったら…。
皆を巻き込むような事、巻き込まれるような事が有るといけませんからね。
そう、巻き込むのも怖いけど、巻き込まれるのも困ります。
怪我や命の危険だけではなく、万が一ブルースが、シナトラが私を巻き込んだとして、体が傷つくのは私でしょうけど、心が傷つくのは、巻き込んだ方だと思うのです。
若い頃、総長の彼女が敵対しているチームに攫われて、痕の残る怪我をしたことが有りました。
その時怪我をした彼女より、巻き込んでしまった総長の方が落ち込んでしまい、ずっとトラウマを抱えていましたから。
当時は正直なところ、「助かったんだから気にしなくていいじゃん」などと思っていました。
けれど妻と出会って、大切な存在ができた時、その相手を巻き込んで、自分のせいで傷つけた時、果たして自分を許せるのかと考えたら…。
総長の心の傷が理解できました。
そんな気持ちをシナトラに味わわせ無いためにも、戦い方を教わるのは大切だと思います。
「………でも僕…剣を持つの怖いな」
そんなシナトラの小さな呟きに答えたのはチャックです。
「狩りをするのが嫌なんじゃ無いんでしょ?
それともこれからは皆が狩りをしている間じっと待ってる?」
シナトラは少し考えて、首を横に振りました。
「それは嫌だ、獲物を追って仕留めるのは楽しいから」
………………うん、まあ、肉食獣ですからね、そこは否定してはいけませんね。
「モリオオネコの時は爪と牙を使ってたし、一人で狩りをしてたから、周りを巻き込むとか考えたこと無かった。
ブルースのおっちゃんと狩りをする時も、うっかり斬りつけてもおっちゃん丈夫だし、問題なかったけど、おっちゃん以外斬っちゃうと、血が出て怪我するでしょ?」
「そうですね、怪我しますね」
怪我の前に、シナトラは何度うっかりでブルースを斬りつけたのでしょう……、突っ込みませんけどね。
「そうならないように教えてもらうんだよ。
オレだってもっと魔法の練習して、間違ってシナトラ達を痺れさしたりしないようにしなきゃね」
それも怖いですね。
狩りの最中に、間違って麻痺の魔法をかけられたら………怖!
「私も少し魔法の練習をしないといけませんね。
鉄パイプは使い慣れてますけど、【この世界の戦い方】をしっかり把握したいです」
まだまだ初心者の私達なのに、一緒にいるのが最強生物の王様トカゲな上に、冒険者としてなかなかのランクだった事、その冒険者として活躍していた時のメンバーが実力者だった事。
色んな条件が重なっているので、ブルースが【普通の冒険初心者】の指南ができていなかったんですね。
彼は少し大雑把なところもありますし、ブルースですし。
アインも戦う事は有るでしょうけど、どちらかと言うと一人で群れを殲滅タイプでしょう。
………混戦になっても、ピンポイントで魔法を使えそうですしね。
「武器でも魔法でも使い方次第なんじゃない?
万が一の確率を下げるためにも、練習したり、使い方を考えたりすればいいと思う」
「そうですよ、鉄パイプだって本来なら水やガスを流す物なんですけど、私が使うと武器になるんですから、なんでも使い方次第ですよ」
チャックと私の言葉にシナトラは頷きました。
普段なら、狩りはシナトラとブルースに任せて、チャックとディビッドは木の実や薪を集めてもらい、私は料理の準備、アインは情報収集やスケジュール組み、ルシーは……見学?
と言った感じの役割分担になっていますけど、人生何が有るかわからない物です。
皆が色んなことをやれた方が良いはずです。
ですから、私も狩りに行ったり、ブルースが料理の準備をしたり、シナトラが情報収集……は無理として、色んなパターンを試した方が良いのではないでしょうか。
その辺りは明日アインに相談してみましょう。
いつの間にか白雪が眠っていましたので、起こさないためにも私達は寝ることにしました。
ゲストルームへ案内された私達は、各々部屋で寛寛ぐ事に。
それぞれ1人部屋なのですが、私は2人部屋で、チャックとシナトラと白雪と一緒です。
白雪を一人寝させられませんし、チャックは私と一緒なのは鉄板です。
なのでシナトラがベッドを一つ、もう一方のベッドで残りの3人で寝るのです。
「ねえ父ちゃん、明日はギルドに行くんだよね?」
ベッドに仰向けに寝転がったシナトラが尋ねて来ます。
「そうですね、私も戦い方を教わりたいですし」
タイマンや抗争はたっぷり経験していますけど、魔法ありきの戦いなんて、この世界に来るまで経験ありません。
それに獣や魔獣などと戦ったのも、この世界に来てからしか無いです。
「シナトラとブルースが居れば、獣に襲われても大丈夫でしょうけど、この前みたいに二人のいない時に襲われる事も有るでしょう。
或いは大きな群れに遭遇する事も無いとは言えません。
そんな時に動けなかったら…。
皆を巻き込むような事、巻き込まれるような事が有るといけませんからね。
そう、巻き込むのも怖いけど、巻き込まれるのも困ります。
怪我や命の危険だけではなく、万が一ブルースが、シナトラが私を巻き込んだとして、体が傷つくのは私でしょうけど、心が傷つくのは、巻き込んだ方だと思うのです。
若い頃、総長の彼女が敵対しているチームに攫われて、痕の残る怪我をしたことが有りました。
その時怪我をした彼女より、巻き込んでしまった総長の方が落ち込んでしまい、ずっとトラウマを抱えていましたから。
当時は正直なところ、「助かったんだから気にしなくていいじゃん」などと思っていました。
けれど妻と出会って、大切な存在ができた時、その相手を巻き込んで、自分のせいで傷つけた時、果たして自分を許せるのかと考えたら…。
総長の心の傷が理解できました。
そんな気持ちをシナトラに味わわせ無いためにも、戦い方を教わるのは大切だと思います。
「………でも僕…剣を持つの怖いな」
そんなシナトラの小さな呟きに答えたのはチャックです。
「狩りをするのが嫌なんじゃ無いんでしょ?
それともこれからは皆が狩りをしている間じっと待ってる?」
シナトラは少し考えて、首を横に振りました。
「それは嫌だ、獲物を追って仕留めるのは楽しいから」
………………うん、まあ、肉食獣ですからね、そこは否定してはいけませんね。
「モリオオネコの時は爪と牙を使ってたし、一人で狩りをしてたから、周りを巻き込むとか考えたこと無かった。
ブルースのおっちゃんと狩りをする時も、うっかり斬りつけてもおっちゃん丈夫だし、問題なかったけど、おっちゃん以外斬っちゃうと、血が出て怪我するでしょ?」
「そうですね、怪我しますね」
怪我の前に、シナトラは何度うっかりでブルースを斬りつけたのでしょう……、突っ込みませんけどね。
「そうならないように教えてもらうんだよ。
オレだってもっと魔法の練習して、間違ってシナトラ達を痺れさしたりしないようにしなきゃね」
それも怖いですね。
狩りの最中に、間違って麻痺の魔法をかけられたら………怖!
「私も少し魔法の練習をしないといけませんね。
鉄パイプは使い慣れてますけど、【この世界の戦い方】をしっかり把握したいです」
まだまだ初心者の私達なのに、一緒にいるのが最強生物の王様トカゲな上に、冒険者としてなかなかのランクだった事、その冒険者として活躍していた時のメンバーが実力者だった事。
色んな条件が重なっているので、ブルースが【普通の冒険初心者】の指南ができていなかったんですね。
彼は少し大雑把なところもありますし、ブルースですし。
アインも戦う事は有るでしょうけど、どちらかと言うと一人で群れを殲滅タイプでしょう。
………混戦になっても、ピンポイントで魔法を使えそうですしね。
「武器でも魔法でも使い方次第なんじゃない?
万が一の確率を下げるためにも、練習したり、使い方を考えたりすればいいと思う」
「そうですよ、鉄パイプだって本来なら水やガスを流す物なんですけど、私が使うと武器になるんですから、なんでも使い方次第ですよ」
チャックと私の言葉にシナトラは頷きました。
普段なら、狩りはシナトラとブルースに任せて、チャックとディビッドは木の実や薪を集めてもらい、私は料理の準備、アインは情報収集やスケジュール組み、ルシーは……見学?
と言った感じの役割分担になっていますけど、人生何が有るかわからない物です。
皆が色んなことをやれた方が良いはずです。
ですから、私も狩りに行ったり、ブルースが料理の準備をしたり、シナトラが情報収集……は無理として、色んなパターンを試した方が良いのではないでしょうか。
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