【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

121 再会

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甘酸っぱいヨーコーと、全く気づかないルシー。
生温かく見守る私達でしたけど、旅はずっとは続きません。
東の山脈、コニーの治める領地に到着しました。

「それではここで一旦別れる事になりますけど、私達は城に居ますから、何かありましたら伝言を託けて下さい」

ここは山脈の裾野の村です。
ヨーコーとはここで一旦お別れです。

城は少し登ったところになりますので、伝言を託けてもすぐに伝わるでしょう。
ここで別れて、私達はコニーの待つ城へ。

「他所へ移動する時には声をかけますので、そのままここで暮らすか、私達と共に行くかゆっくりと考えて下さいね」

突き放すわけではありませんが、名付けで繋がった家族と違い、ヨーコーは自分の行方を自由に決めてもらいます。
追っ手があったとしても、コニー統治下の村ですから、敵意や悪意を持った人は近づけないそうです。

安心は保証されていますので、この地で根を下ろすか、まだ本拠地も定まらない私達と共に来るかは、本人次第です。

「まあ、ゆっくりと言えど、二、三日の事だと思うがな」
「そうですね、ジョニーは一ヶ所に長くいた試しがありませんからね」
ブルースとアインが苦笑いしています。

「ジョニーって、ちょっとせっかちだよね」
「ええ⁈そうですか⁉︎」
そんな事初めて言われ………いえ、以前にも言われてましたね。
自分ではせっかちだとは思わないのですが…。

「理由もなく他所様のお宅に長居するのはどうかと思います…から?」
そうですよね、どんなに親しくしていても、長居されると迷惑ですよね。

「父ちゃん宿屋でもすぐ出てくじゃん」
「そうなんだ?
言われてみれば、俺が家族になってからも、ひと所に長居した事ないな」
「そ、それは目的が有りましたから、ダラダラと過ごすより、サクッと済ませた方が合理的でしょう?」
シナトラとディビッドの言葉に反論しますけど、周りは納得してくれません。

「いや、せっかちだ」
「せっかちだと思いますね」
「せっかちだよ」
「だよねー」
「そうかもしれないね」
「ふーん、そうなのね」

ああ…味方が居ません。
皆の中で私はせっかちだと認定されてしまいました。
違うと思いますけどね。
ちょっとやさぐれた気分になりました。

そんなやりとりのおかげか、にこやかにヨーコーと別れてコニーの待つ城へ。
湿っぽくならずに良かった……と言うことにしておきましょう。




「あれ?あんたらどうしてここに居るんだ?」

コニーの城は山の中へ入った所にあります。
城の周りには都…と言う規模ではありませんが、城で働く方々や、生活に必要な物資を取り扱う店などが有りますから、城下町程度に拓けています。

ポニー達から降りて、城を目指し町中を歩いていると、不意に声をかけられました。
振り返ってみると………誰でしょう?
二十代後半の男性がそこに立っていました。

「………お久しぶりです、お元気でしたか?」
日本人スキル【覚えがなくとも曖昧に話を合わせてその間に情報を得て思い出す】発動です。

「おお、俺は元気だぜ。
あんたら随分と同行人が増えたな」
「おかげさまで」
「だが子連れの夫婦まで仲間ってのは危なくないか?」
「ふ、夫婦!」

たまたまヨーコーに白雪を抱っこしてもらっていて、たまたまそのすぐ後ろにルシーが居たのを見て、三人が家族だと思ったのでしょう。
夫婦と間違えられたヨーコーは、真っ赤になってアタフタしています。

「あの子供は故あって私が引き取った子なのです」
「あの二人だけじゃなくてその子までって、あんた独り身なのに子供増やして大丈夫なのか?」
「ええ、頼りになる家族も増えましたしね」

言いながら考える。
チャックとシナトラが子供だと知っている人でロスフォータの人…。

「ああ、あの人達も家族になったのか……って家族多過ぎやしないか?」
ブルース達が家族だと知らない?
そう言えばブルースとアインは最初の頃は、大切な仲間で、二人の同意を得て、途中から家族になったのでしたっけ?
それにこの見た目……あ、そう言えばギルドに登録した街で一緒に飲んだ様な記憶が。
確かお名前は……

「家族が増えるのは嬉しいものですよ、サルーセンさん」
そうそう、確かパーティを解散してソロで活躍している方、でしたよね。
思い出せてよかったです。

「……………猿っぽいとは言われたことは有るけどさ……有るけどさー……」
サルーセンさんはその場にしゃがみ込み、何かブツブツと呟いています。
何故(なにゆえ)?

首を傾げていると、つつっと寄って来たチャックに耳を引っ張られ、小声で怒られました。
「サルーセンじゃなくて、ラルーセン!
人の名前を間違えるのって失礼だよ!」

あ、本当にすみません…。


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