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第二章 旅は道連れ
119 東の山へ向かいます
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驚いたことに、ヨーコーの年齢は16歳でした!
痩せて水分を失ったカサカサの肌、クリーンで汚れは落ちたけれどボサボサの髪、精気のない目付きなどから、三十代だと思っていました。
それだけ過酷な環境だったと言うことですね……。
何があったのか、いつか話してくれる事があれば、話してもらいたいです。
さて、これからなの予定なのですけど、とりあえず東の山、コニーの城へ向かいます。
クルトゥスさんと会った時に言った様に、心を通わす家族は増えています。
チャック、シナトラ、ブルース、アイン、コニー、ディビッド、白雪。
家族ではないけれど一緒に居るルシー、チャックのリン、共に居てくれると言うポニーとドド。
いつまでもフラフラしていられません、終(つい)の住処を探さなければいけませんよね。
アイン…ヨルゼル氏の西の森にするか、コニーの東の山にするか。
でもその前に、保護したヨーコーの身柄の安全を確保しないといけません。
「人族ですから、平原の王の国はどうでしょう」
アインの言葉にブルースが頷きます。
「人を隠すなら人の中だな。
追っ手があったとしても、あの地は人族のみ、隠れるにはもってこいかもな」
人族のみが住む、あの整然とした街並みを思い出します。
人族しか居ない国に、人族が一人紛れ込む。
隠れ住むには丁度いいでしょうね。
しかも、アインに伝手があるそうで、住む場所と働く場所は問題ない様です。
「立居振る舞いも最低ラインはクリアしていますから、王宮で働けると思いますよ。
敷地内に使用人用の宿舎がありますから、住む場所も問題ないですし」
成る程、同じロスフォータの王として、平原の王に話を通してくれるのですね。
ニッコリと笑って告げるアインに、ヨーコーさんは青い青をして震え出しました。
「あ……あの………、王宮での仕事は遠慮したいのですけど……」
怯えた様な瞳、尋常じゃない体の震え。
もしかして、どこぞの王宮……例えばですけど、ホルノーンの王宮で奴隷として働いていたとか?
そしてそこから逃げ出した、なんて事なのかもしれないですね。
「なら私達はと一緒に東の山へ行きますか?」
コニーの住む東の城ではなくとも、近辺の町や村なら、城も視界に入らないでしょうから。
「すみませんが、それでお願い……して宜しいですか?」
「東の方々が山脈を越えることは無いですし、海からも随分と離れますから、東の王の国へ一緒に行きましょう」
あの山脈を越えることは、ブルースの様に一っ飛びできないとなかなか難しいでしょうし、まずはカカルの民が通り抜ける事を許さないでしょう。
万が一山脈を超えても、コニーがそこから先へは通さないですし。
態々奴隷(?)をそこまで苦労して追ってこないでしょう。
と言うことで、翌日街を出るのですけど、困ったのが移動方法です。
体の弱ったヨーコーをドドに乗せるとして、定員オーバーなんですよね。
………って、アインが馬に乗る事で簡単に解決しました。
ブルースが馬に乗ると言ったのですけど、馬が怯えてしまい、アインが乗る事に。
「カカルの民の所ではこんな事なかったですよね」
ブルースは馬で移動していましたけど、普通に騎乗していましたよ。
「あれはあの民族の育てておる馬が剛気なのだ。
普通の馬なら我を乗せる事は出来ぬ」
確かに、カカルの民の体に合わせて、馬もとても大きく頑丈でしたから、普通の馬より強者からのプレッシャーに強かったのでしょうね。
ふむ……成る程。
野宿の途中いつものように、ブルースとシナトラは狩りに、チャックがディビッドを連れて木の実などを採りに、アインは白雪をあやしていて、私は夕食の準備、その近くで火に当たりウトウトとしているヨーコーと、紐を結ぶ練習をしているルシー。
ボタンの代わりに紐が使われているこの世界の衣服なので、紐が上手く結べないルシーの着付けは、私かアインがやっています。
早く一人で着れる様に、暇な時間に紐を結ぶ練習をさせているんです。
だって…ねえ……、頭から被った服の、鎖骨から胸元へかけての紐とか、ウエスト部分の紐とか……。
下心はなくてもドキドキしますよ。
ウエスト部分はなんとか結べる様になっていますけど、胸元の紐が結べなく、イライラしていますねぇ。
そんなルシーのイライラが伝わったのか、ウトウトとしていたヨーコーは、オドオドしています。
ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー
ヨーコーの追っ手の補足
ジョニーが「ホルノーンの王宮で……」と予想していますけど、それはジョニーの予想であって、真実だとは限りません。
東で聞いたホルノーンの評判で、そう思い付いただけです。
ルシーの補足
ルシーはまだ指を使うことに慣れていないので、細かい作業が苦手です。
素人にいきなりドラムの演奏をしろと言っても慣れるまで無理な様に、人になって間もないルシーは色々な経験不足なだけで、不器用ではありません。
慣れの問題です。
痩せて水分を失ったカサカサの肌、クリーンで汚れは落ちたけれどボサボサの髪、精気のない目付きなどから、三十代だと思っていました。
それだけ過酷な環境だったと言うことですね……。
何があったのか、いつか話してくれる事があれば、話してもらいたいです。
さて、これからなの予定なのですけど、とりあえず東の山、コニーの城へ向かいます。
クルトゥスさんと会った時に言った様に、心を通わす家族は増えています。
チャック、シナトラ、ブルース、アイン、コニー、ディビッド、白雪。
家族ではないけれど一緒に居るルシー、チャックのリン、共に居てくれると言うポニーとドド。
いつまでもフラフラしていられません、終(つい)の住処を探さなければいけませんよね。
アイン…ヨルゼル氏の西の森にするか、コニーの東の山にするか。
でもその前に、保護したヨーコーの身柄の安全を確保しないといけません。
「人族ですから、平原の王の国はどうでしょう」
アインの言葉にブルースが頷きます。
「人を隠すなら人の中だな。
追っ手があったとしても、あの地は人族のみ、隠れるにはもってこいかもな」
人族のみが住む、あの整然とした街並みを思い出します。
人族しか居ない国に、人族が一人紛れ込む。
隠れ住むには丁度いいでしょうね。
しかも、アインに伝手があるそうで、住む場所と働く場所は問題ない様です。
「立居振る舞いも最低ラインはクリアしていますから、王宮で働けると思いますよ。
敷地内に使用人用の宿舎がありますから、住む場所も問題ないですし」
成る程、同じロスフォータの王として、平原の王に話を通してくれるのですね。
ニッコリと笑って告げるアインに、ヨーコーさんは青い青をして震え出しました。
「あ……あの………、王宮での仕事は遠慮したいのですけど……」
怯えた様な瞳、尋常じゃない体の震え。
もしかして、どこぞの王宮……例えばですけど、ホルノーンの王宮で奴隷として働いていたとか?
そしてそこから逃げ出した、なんて事なのかもしれないですね。
「なら私達はと一緒に東の山へ行きますか?」
コニーの住む東の城ではなくとも、近辺の町や村なら、城も視界に入らないでしょうから。
「すみませんが、それでお願い……して宜しいですか?」
「東の方々が山脈を越えることは無いですし、海からも随分と離れますから、東の王の国へ一緒に行きましょう」
あの山脈を越えることは、ブルースの様に一っ飛びできないとなかなか難しいでしょうし、まずはカカルの民が通り抜ける事を許さないでしょう。
万が一山脈を超えても、コニーがそこから先へは通さないですし。
態々奴隷(?)をそこまで苦労して追ってこないでしょう。
と言うことで、翌日街を出るのですけど、困ったのが移動方法です。
体の弱ったヨーコーをドドに乗せるとして、定員オーバーなんですよね。
………って、アインが馬に乗る事で簡単に解決しました。
ブルースが馬に乗ると言ったのですけど、馬が怯えてしまい、アインが乗る事に。
「カカルの民の所ではこんな事なかったですよね」
ブルースは馬で移動していましたけど、普通に騎乗していましたよ。
「あれはあの民族の育てておる馬が剛気なのだ。
普通の馬なら我を乗せる事は出来ぬ」
確かに、カカルの民の体に合わせて、馬もとても大きく頑丈でしたから、普通の馬より強者からのプレッシャーに強かったのでしょうね。
ふむ……成る程。
野宿の途中いつものように、ブルースとシナトラは狩りに、チャックがディビッドを連れて木の実などを採りに、アインは白雪をあやしていて、私は夕食の準備、その近くで火に当たりウトウトとしているヨーコーと、紐を結ぶ練習をしているルシー。
ボタンの代わりに紐が使われているこの世界の衣服なので、紐が上手く結べないルシーの着付けは、私かアインがやっています。
早く一人で着れる様に、暇な時間に紐を結ぶ練習をさせているんです。
だって…ねえ……、頭から被った服の、鎖骨から胸元へかけての紐とか、ウエスト部分の紐とか……。
下心はなくてもドキドキしますよ。
ウエスト部分はなんとか結べる様になっていますけど、胸元の紐が結べなく、イライラしていますねぇ。
そんなルシーのイライラが伝わったのか、ウトウトとしていたヨーコーは、オドオドしています。
ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー
ヨーコーの追っ手の補足
ジョニーが「ホルノーンの王宮で……」と予想していますけど、それはジョニーの予想であって、真実だとは限りません。
東で聞いたホルノーンの評判で、そう思い付いただけです。
ルシーの補足
ルシーはまだ指を使うことに慣れていないので、細かい作業が苦手です。
素人にいきなりドラムの演奏をしろと言っても慣れるまで無理な様に、人になって間もないルシーは色々な経験不足なだけで、不器用ではありません。
慣れの問題です。
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