【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

116 南の港街

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やっと港街へ到着しました。
港には、船を着ける桟橋以外にも、魚人が上陸するスロープの様なものがあるので、そこからの上陸です。

街はとても人が多く、賑やかです。
人族、亜人、獣人、魔族、魚人。

魚人は、下半身が魚の人魚は、陸に上がる時、尾びれが足になるそうです。
上半身が魚の魚人は、上半身を人の姿に変えたり変えなかったり、個人によるそうですけど、猫系の獣人の視線が怖くて、人の姿になる事が多いとか。

…あ、襲われるとかでは無いそうですよ、ただ『美味そう……』と言う視線が怖いそうです。


今期この街を管理しているのは、北の森の王の国の方だそうです。

管理していない期間でも、大使館の様なものがあり、他の国の代表もこの街に住んでいるとか。

国ごとに街を分割して、それぞれの国でまとまっていると言うわけでもなく、四つの国の人々は平和に暮らしているようです。

「他の国との諍いは起きないのですか?」
「どうして諍いが起きるのですか?」
私が問うと、逆にアインに聞かれてしまいました。

日本は平和な国と言われていましたけど、地球規模で見れば、至る所で争いが起こっていましたからね。
戦争、テロ、情報戦に経済戦略、宗教や人種による諍い、色々な差別やイジメ、イビリ…………。
日本だって平和とは言いかねないですよね。
物理的ではなく、心情的な意味で。

「国が違うと、それぞれの主張も有りますし、私の元いた世界では、人種による差別などもありましたから」
「何で?」
不思議そうなシナトラ。

「人は自分と違うとのは忌み嫌う…と言いますか、排除しようとすると言いますか………」
「随分と殺伐とした世界なんだな」
ブルースの言葉に言い返せません。

家族から弾かれ、結婚してからも、駆け落ち者だと陰で言われ、子供ができない事を同情されながら嗤われ……。

勿論良い方も居ましたよ。
それでも私はあの暮らしが幸せだったと言い切れるでしょうか…。

………いえ、幸せでしたね。
だって隣には妻がいてくれたのですから。

妻は私と一緒で幸せだったのでしょうか?

………少しでも幸せを感じてくれてたら良いのですが……。



「……ニー………、ジョニー!」
つい考え込んでしまっていた私を、焦り顔のチャックが呼んでいます。
「どうしかしたか?」
「父ちゃん何かあったの?」
皆が心配して寄って来ます。
「いえ、何も無いですよ」
もし、以前があまり幸せではなかったとしても、再開してから幸せにしてあげる事ができるはずです。
いえ、できるはずではなく、必ず幸せにします。

いくど目かの違いを心に刻み、まずは休息ですよね。
泳いでいたポニー達は疲れているでしょうし、飛んでいたディビッドも疲れたでしょう。
乗っていただけの私達でさえ疲労感が有りますから。

「なんか良い匂いがする!」
「ホントだ!」
魚や肉を焼く匂いに釣られて走り出すルシーとシナトラ。 

「おい、待てよ!」
二人のことは追いかけた常識人のディビッドに任せましょう。

「では私は宿を手配して来ます」
「なら我はドド達を乗り物屋に預けて来よう」
「ポニーはオレが付いて行くよ」
アインは宿探し、ブルースとチャックはポニー達を休ませる為に【乗り物屋】へと移動します。

【乗り物屋】はその名の通り、移動する乗り物を預かってくれるお店です。
馬車や馬、走りトカゲ(多分竜ですね)運び鳥(人が乗れる鳥が居るのですよ)、それとバスが一般的な乗り物で、それらを預かってくれるお店です。

因みに海の移動は、オオクロ(鯨ですね)と、跳ね魚(イルカ系統)を数頭繋いで、犬ゾリみたいな感じで船を引かすそうです。

つまり残ったのは私と、抱っこされている白雪だけです。

ルシー以外とは繋がっていますから、私はアインが呼びに来るまで、街を見て回りましょうかね。
私が移動すれば、皆もそちらに集まりますから、バラバラにはぐれる事が無いのですから。

実は少々方向音痴の気があるのですけど、家族のいる場所がわかるので、迷子になる事が無く安心して歩き回れます。


海域が違いますから、リアンスで見かけた魚介と種類が違いますね。
魚は大型でカラフルな物が多いですけど、それ以上にタコにやイカ、カニ、ハマグリ、エビ……魚介類が多いですね。

たこ焼き、焼きイカ、カニしゃぶ、蛤のお吸い物、エビはそのまま焼くだけでも良いですね。
お出汁と醤油が有ればどれもいけますかね。
あ、たこ焼き器が無いです。
どうにかできないですかねぇ。

などと考えながら街中を歩いていたので、前から歩いて来た方に思いっきりぶつかってしまいました。

「あ、すみませ……んーーーー⁈」

私がぶつかってしまったのは、髪の長い、痩せ細った中年男性です。
その男性は、歩いて来てぶつかり、そのまま後ろにひっくり返ってしまい、動かなくなりました!

なんだなんだと野次馬が集まって来ます。
野次馬の喧騒にも目を覚ましません。

「え?ちょっと待ってください。
歩いてぶつかっただけですよね?
ちょっと、あなた生きていますか?」
男性の横に跪き、白雪を抱いていない方の手を鼻先に持っていきます。

あ、息は有りますから、死んではいませんよね?
だいたい、ぶつかったと言っても、肩が触れたくらいなんですよ?

よく見てみると、痩せ細ったその男性は、何日も食べ物を食べていない様に痩せていて、手足はカサカサ、長い髪はボサボサでもつれています。
身につけているものは、服と小さなウエストポーチだけ。
服はゴワゴワですし、ポーチは中に何も入っていない様にぺしゃんこです。

ホームレスの方なのでしょうか?
きっと常時発動させている換気魔法を解くと、臭いも凄いのでしょうね。

現実逃避していないで、警備の方でも呼んできた方がいいですよね。
周りに居る野次馬の方々に頼もうにも、皆さん遠巻きで見ているだけで、誰も近づいて来ません。

厄介ごとに巻き込まれたく無いのはわかりますけど、声くらいかけてくれてもいいと思うんですけどね…。






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