【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

115 イメージとは

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「最初はチャックに弓はどうかと思っていましたけど、矢の補充が難しいのでやめておきました。
でも、魔力と体を使えば矢の問題も解決するんですけど、聞きますか?」
「どうすれば良い?」
ディビッドは興味津々です。

私は右膝の上のチャック(因みに右にチャック、左手で抱っこした白雪は左足の上です)に、
「チャックには申し訳ないのですけど、魔力を必要として、魔力操作?も必要ですから、この方法はチャックには少し難しいと思います」

同じ鳥の亜人なのに、チャックには弓は無理だと言う様で申し訳なく思います。

「マシになったからって、オレは魔力を上手く使えなしい、量だって少ないのわかってるから、気にしない。
それにやっとクローに慣れてきたのに、今更武器を変えるなんてしたく無いよ」

じっとチャックの目を見ますけど、強がりでは無い様ですね。
右手で頭を撫でると、少し赤くなるのが可愛いです。

「ディビッド、近くに来てもらえますか?
イメージを送りますので、できるかどうか実際に試してみてください」

近づいて来たディビッドのおでこに手を当てて、私の中のイメージを複写して送ります。

送ったイメージは、羽根を一枚取る、その羽根に【矢生成】の魔法をかけて羽軸を伸ばしつつ、先を尖らせる。

【矢生成】の魔法?私が作りましたが何か?
時空魔法を羽軸のみにかけて、そこだけを一気に育てる……と言うイメージで何とかなるんじゃ無いの?と言うティちゃんのアイデアと言うかアドバイスと言うか。

「この【矢生成】とは?」
「そんな魔法が有るんですよ(私の頭の中に)。
ですから難しく考えず、そんな魔法が有るのだと意識して、後は出来上がりをしっかりイメージしてみてください」

キッパリと言い切りました。
魔法とはイメージ、イメージとは思い込み…だと思いますから、こちらが自信を持って「有る」と言えば「有る」んです!

ディビッドが羽根を一枚抜き、目の前にかざし、魔法を唱えます。

「…………【矢生成】…」

…………出来ましたね。
正直言うと出来るとは思わなかったのですけど、出来ましたね。

「これで矢の心配は無くなりました」
「いや、でも待ってくれ、俺の羽根が禿げないか?」
「……………生えて来ますよね?」
「生えてくるけど、すぐには生え揃わないだろ!」
「……………回復魔法で戻るのでは?」
「そんな都合のいい魔法があるか!」

ティちゃん、どうなんでしょう?

〈普通の回復魔法で羽根なんて元に戻らないよね 〉

そりゃあそうですよね~…。
回復魔法でそんな事ができるのなら、髪の毛の寂しい方には朗報ですよね。
って、この案を出したのティちゃんでしょ?

〈だから普通の回復魔法では戻んないけど、ジョニーの回復魔法なら元に戻るよ 〉

え?そうなんですか? 

〈ほら、植物魔法でシナトラが一気に植物育てるでしょ?
あんな感じで元さえあれば羽根なんていくらでもニョッキニョキだよ。
毛根が死んでなければ、ハゲの人でもフッサフサに出来るしね。
ジョニーは回復魔法も規格外だから 〉

最後の一言は要らないと思う。
そして私は寂しい方の救世主にもなれる様ですね。

「ディビッド、私の回復魔法なら、羽根もすぐさま元通りになるから、心配御無用ですよ」
「ホントか?」
うんうんと頷く私に、胡乱な目を向けていましたけど、最終的に信じてもらえました。

「それでその矢なんですけど、貴方の体の一部ですから、貴方の魔法と相性が良いと言いますか、火と雷の魔法を纏わせる事が(多分)出来ます」
「そうなのか?」
「ええ(多分)そうです。
なので火の魔法を纏わせても(多分)燃え尽きることはないですよ」
言い切りが肝心。

「………炎…」
ディビッドが魔法を唱えると、矢の先に火が着きます。
そのまま見ていましたけど、羽軸が燃え尽きることなく、いつまでも火は灯っています。

「これは良いな。
町に着いたら弓を手に入れて、練習することにしよう」
「凄いねそれ」
嬉しそうなディビッドと、感心しているチャック。
「弓を引く為には腕立て伏せが良いそうですよ」
「そのウデタテフセも教えてくれ」
「宿に着いたら教えます」

火の着いた矢を海へ投げ捨てたディビッドに、チャックが尋ねました。
「そう言えばディビッド、言葉遣いが変わったね」
言われてみれば。

「ああ~、緊張してたのと、丁寧に話さなければと思ってたのとで、なるべく気をつけて話してたけど、こっちの方が素だな。
こんな喋り方でも気を悪くしないだろ?」
言葉は軽いですけど、瞳は『大丈夫だよね?』と心配気です。

「勿論家族なんですから、楽に話してくれた方が嬉しいですよ」
「ならなんでジョニーは丁寧に話すんだ?」
「私は長年この話し方ですから、慣れているんです。
これでも崩れているんですけどね」

長年の社会人生活と、家族のいない私たち夫婦の生活を守るために、言葉遣いに気をつける様にしたんです。
でも本当に気軽に話しているのですよ。
今の話し方を取引先や顧客の前でしていたら、会社にクレームが入りますからね。

……それに我を忘れると、つい若かりし頃の言葉遣いが出てくる事もありますけどね。

「でも怒ったらめちゃくちゃ怖い話し方になるよ」
チャックが揶揄うように言うと、
「ああ、さっきの……」
と、直ぐに納得されてしまいました。
それこそ社会人として、いい年した大人としては使ってはならない言葉遣いですよね。






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