【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

文字の大きさ
上 下
115 / 206
第二章 旅は道連れ

115 イメージとは

しおりを挟む

「最初はチャックに弓はどうかと思っていましたけど、矢の補充が難しいのでやめておきました。
でも、魔力と体を使えば矢の問題も解決するんですけど、聞きますか?」
「どうすれば良い?」
ディビッドは興味津々です。

私は右膝の上のチャック(因みに右にチャック、左手で抱っこした白雪は左足の上です)に、
「チャックには申し訳ないのですけど、魔力を必要として、魔力操作?も必要ですから、この方法はチャックには少し難しいと思います」

同じ鳥の亜人なのに、チャックには弓は無理だと言う様で申し訳なく思います。

「マシになったからって、オレは魔力を上手く使えなしい、量だって少ないのわかってるから、気にしない。
それにやっとクローに慣れてきたのに、今更武器を変えるなんてしたく無いよ」

じっとチャックの目を見ますけど、強がりでは無い様ですね。
右手で頭を撫でると、少し赤くなるのが可愛いです。

「ディビッド、近くに来てもらえますか?
イメージを送りますので、できるかどうか実際に試してみてください」

近づいて来たディビッドのおでこに手を当てて、私の中のイメージを複写して送ります。

送ったイメージは、羽根を一枚取る、その羽根に【矢生成】の魔法をかけて羽軸を伸ばしつつ、先を尖らせる。

【矢生成】の魔法?私が作りましたが何か?
時空魔法を羽軸のみにかけて、そこだけを一気に育てる……と言うイメージで何とかなるんじゃ無いの?と言うティちゃんのアイデアと言うかアドバイスと言うか。

「この【矢生成】とは?」
「そんな魔法が有るんですよ(私の頭の中に)。
ですから難しく考えず、そんな魔法が有るのだと意識して、後は出来上がりをしっかりイメージしてみてください」

キッパリと言い切りました。
魔法とはイメージ、イメージとは思い込み…だと思いますから、こちらが自信を持って「有る」と言えば「有る」んです!

ディビッドが羽根を一枚抜き、目の前にかざし、魔法を唱えます。

「…………【矢生成】…」

…………出来ましたね。
正直言うと出来るとは思わなかったのですけど、出来ましたね。

「これで矢の心配は無くなりました」
「いや、でも待ってくれ、俺の羽根が禿げないか?」
「……………生えて来ますよね?」
「生えてくるけど、すぐには生え揃わないだろ!」
「……………回復魔法で戻るのでは?」
「そんな都合のいい魔法があるか!」

ティちゃん、どうなんでしょう?

〈普通の回復魔法で羽根なんて元に戻らないよね 〉

そりゃあそうですよね~…。
回復魔法でそんな事ができるのなら、髪の毛の寂しい方には朗報ですよね。
って、この案を出したのティちゃんでしょ?

〈だから普通の回復魔法では戻んないけど、ジョニーの回復魔法なら元に戻るよ 〉

え?そうなんですか? 

〈ほら、植物魔法でシナトラが一気に植物育てるでしょ?
あんな感じで元さえあれば羽根なんていくらでもニョッキニョキだよ。
毛根が死んでなければ、ハゲの人でもフッサフサに出来るしね。
ジョニーは回復魔法も規格外だから 〉

最後の一言は要らないと思う。
そして私は寂しい方の救世主にもなれる様ですね。

「ディビッド、私の回復魔法なら、羽根もすぐさま元通りになるから、心配御無用ですよ」
「ホントか?」
うんうんと頷く私に、胡乱な目を向けていましたけど、最終的に信じてもらえました。

「それでその矢なんですけど、貴方の体の一部ですから、貴方の魔法と相性が良いと言いますか、火と雷の魔法を纏わせる事が(多分)出来ます」
「そうなのか?」
「ええ(多分)そうです。
なので火の魔法を纏わせても(多分)燃え尽きることはないですよ」
言い切りが肝心。

「………炎…」
ディビッドが魔法を唱えると、矢の先に火が着きます。
そのまま見ていましたけど、羽軸が燃え尽きることなく、いつまでも火は灯っています。

「これは良いな。
町に着いたら弓を手に入れて、練習することにしよう」
「凄いねそれ」
嬉しそうなディビッドと、感心しているチャック。
「弓を引く為には腕立て伏せが良いそうですよ」
「そのウデタテフセも教えてくれ」
「宿に着いたら教えます」

火の着いた矢を海へ投げ捨てたディビッドに、チャックが尋ねました。
「そう言えばディビッド、言葉遣いが変わったね」
言われてみれば。

「ああ~、緊張してたのと、丁寧に話さなければと思ってたのとで、なるべく気をつけて話してたけど、こっちの方が素だな。
こんな喋り方でも気を悪くしないだろ?」
言葉は軽いですけど、瞳は『大丈夫だよね?』と心配気です。

「勿論家族なんですから、楽に話してくれた方が嬉しいですよ」
「ならなんでジョニーは丁寧に話すんだ?」
「私は長年この話し方ですから、慣れているんです。
これでも崩れているんですけどね」

長年の社会人生活と、家族のいない私たち夫婦の生活を守るために、言葉遣いに気をつける様にしたんです。
でも本当に気軽に話しているのですよ。
今の話し方を取引先や顧客の前でしていたら、会社にクレームが入りますからね。

……それに我を忘れると、つい若かりし頃の言葉遣いが出てくる事もありますけどね。

「でも怒ったらめちゃくちゃ怖い話し方になるよ」
チャックが揶揄うように言うと、
「ああ、さっきの……」
と、直ぐに納得されてしまいました。
それこそ社会人として、いい年した大人としては使ってはならない言葉遣いですよね。






しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鋼なるドラーガ・ノート ~S級パーティーから超絶無能の烙印を押されて追放される賢者、今更やめてくれと言われてももう遅い~

月江堂
ファンタジー
― 後から俺の実力に気付いたところでもう遅い。絶対に辞めないからな ―  “賢者”ドラーガ・ノート。鋼の二つ名で知られる彼がSランク冒険者パーティー、メッツァトルに加入した時、誰もが彼の活躍を期待していた。  だが蓋を開けてみれば彼は無能の極致。強い魔法は使えず、運動神経は鈍くて小動物にすら勝てない。無能なだけならばまだしも味方の足を引っ張って仲間を危機に陥れる始末。  当然パーティーのリーダー“勇者”アルグスは彼に「無能」の烙印を押し、パーティーから追放する非情な決断をするのだが、しかしそこには彼を追い出すことのできない如何ともしがたい事情が存在するのだった。  ドラーガを追放できない理由とは一体何なのか!?  そしてこの賢者はなぜこんなにも無能なのに常に偉そうなのか!?  彼の秘められた実力とは一体何なのか? そもそもそんなもの実在するのか!?  力こそが全てであり、鋼の教えと闇を司る魔が支配する世界。ムカフ島と呼ばれる火山のダンジョンの攻略を通して彼らはやがて大きな陰謀に巻き込まれてゆく。

元勇者、魔王の娘を育てる~血の繋がらない父と娘が過ごす日々~

雪野湯
ファンタジー
勇者ジルドランは少年勇者に称号を奪われ、一介の戦士となり辺境へと飛ばされた。 新たな勤務地へ向かう途中、赤子を守り戦う女性と遭遇。 助けに入るのだが、女性は命を落としてしまう。 彼女の死の間際に、彼は赤子を託されて事情を知る。 『魔王は殺され、新たな魔王となった者が魔王の血筋を粛清している』と。 女性が守ろうとしていた赤子は魔王の血筋――魔王の娘。 この赤子に頼れるものはなく、守ってやれるのは元勇者のジルドランのみ。 だから彼は、赤子を守ると決めて娘として迎え入れた。 ジルドランは赤子を守るために、人間と魔族が共存する村があるという噂を頼ってそこへ向かう。 噂は本当であり両種族が共存する村はあったのだが――その村は村でありながら軍事力は一国家並みと異様。 その資金源も目的もわからない。 不審に思いつつも、頼る場所のない彼はこの村の一員となった。 その村で彼は子育てに苦労しながらも、それに楽しさを重ねて毎日を過ごす。 だが、ジルドランは人間。娘は魔族。 血が繋がっていないことは明白。 いずれ真実を娘に伝えなければならない、王族の血を引く魔王の娘であることを。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...