【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

111 もしかして、私は単純なのかもしれません

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困りました、可愛すぎます……ではなくて、幼すぎて会話が成り立ちません。
伝えた事がある様ですけど、言葉にできない様です。

「しゃーき、かーたん、とーたん、いやなーって。
ろーろーでててー、んなでててーて」

ど…どうしましょう、一生懸命話しているのが可愛くて……いやいや、一生懸命伝えようとしてくれていますけど、何を言っているのかわかりません。

「とーくけー、ろーろーゆーらら、おろいれらら、おーきのた。
あたたたいあった。
あたたたい、ひとちゃーうひと、ひといっぱい、ひとちゃーうひとよっとあたたたい、ひとおっきあたたたたった」

これは世紀末の方の話でしょうか?

〈ティちゃん、翻訳できないですか? 〉

〈無理だね。
でもこちらの言ってる事って言うか、思っている事は通じているみたいだし、【複写スキルで】記憶を読むと良いんじゃない?
あれは心の声を聞く事もできるし。
【複写】獲得したらなんとかなるかもよ 〉

複写スキルとは、記憶やスキル、魔法を複写して自分のものにしたり、自分のものを相手に与えたりする、反則的なスキルです。

〈子供好き、可愛い物好きのジョニーの性癖で、ゲージが随分溜まったから、後ちょっと何かあったら獲得できるよ 〉

〈性癖って……えー、そんなにゲージ上がったんですか? 〉

〈この前の出汁布教の件でも上がってたからね。
もう少しでアレも出来るし 〉

〈え⁈ついに出来るんですか、アレが⁉︎ 〉

〈あ……ゲージがまた上がった………って単純過ぎるだろ! 〉

実は前回訪れたハテカームナで、手に入れてたんですよ、鰹節の素を!

いえ、正確に言うと、鰹っぽい魚を切って形を整えて、煮て、燻してまでをやってもらい、後はアイテムボックスの時間の経過のある黄色い扉の中で、時間を早送りしながら干していたんです。
それの乾燥が完了間近だと。

鰹節…お出汁を取るのも良し、そのまま食べても良し、ご飯に乗せても良し、おひたしに乗せても良し、おかかにしておにぎりや、ふりかけを作るのも良いですね。
妻の作ったちくわのカツオブシ揚げや、じゃがいもの煮物にまぶしたのも美味しかったです。

お出汁としてはいりこが好きですけど、鰹節は味のちょい足しとして好きです。


…それはひとまず置いといて、私のテンションは子供と食べ物で上がるのですね……。

〈テンション上がるっていうか、上がり過ぎだと思う。
単純すぎるだろ 〉

ティちゃんが冷たいです。

〈とにかくその【複写スキル】の件を、先ずはアインに伝えてきます 〉

「キュー……」
白雪が黙り込んだ私を見上げています。
「貴方の言いたい事が分からないのですけど、スキルで貴方の心の声を聞くことができるそうなんです。
なので少しだけ心の中を覗いて良いですか?」
なんだか言葉にすると少し怖いですよね。

白雪が頷きましたので、スキルを獲得しましょうか。
人の心の声を聞くことができるようになるとは一般的では無いでしょうし、これは絶対に先に報告した方がいいですよね。

「私はアイン…あちらにいる白い男性に話があるのですけど、ついてきますか、ここで待っていますか?」
人を警戒しているようなので尋ねたのですが、少し考え込んだ後、プルプル震えながらも、私の服をキュッと握りました。

あーーー!可愛い!!こっちがプルプル悶えるわ!!

〈…………ジョニー、今のでゲージ貯まったよ……………… 〉

〈………そうですか………… 〉

うん、確かに私は単純過ぎるようですね…………。


皆の元へ行き、その場で話そうとしたら、何かを察したアインに場所を変えられました。
ブルースもついて来ます。

「魔法か何かを手に入れる話ですよね?」
「スキルですけど、よくわかりましたね」
「タイミングと言いますか、何かある時に貴方が黙り込んでいると言うことは、ティさんと会話をしていると言うことですから、新しい物を手に入れるのだな、と予想がつきます」
アインの観察眼は凄いですね。

「家族だけなら良いですけど、ルシーを家族に迎えるかは決めていないのでしょう?
なら貴方の規格外なところは、できる限り伏せた方が良いですからね」
そう言えばそうでした。
あの場にはルシーが居ましたね。

それより……
「私は規格外ではありませんよ?
規格外なのはブルースとアインですよね」
「お前程規格外な奴はおらぬわ。
魔法やスキルを次々と覚える奴を規格外と呼ばずにどうする」
「ブルースの言う通りです」
二人が酷いです。
…話が逸れていますね。



「そんなスキルが有るんですか。
初めて聞きました。
ブルースはご存知ですか?」
「我も知らぬ」
話を戻し、アインに白雪と話すために【複写】スキルを入手すると告げると、首をかしげられました。
物知りなアインも、長生きなブルースも知らないスキルですか…大丈夫なのでしょうか?

〈うーん、この世界の人は誰も知らないと思うよ 〉

どう言うことでしょう?

〈これは管理局が作ったスキルのうちでも、かなり上位のスキルで、獲得出来るのも神様クラスだけだからね。

相手の記憶を見るだけなら【夢渡り】とか、心の中を知るなら【読心】とかかな。
スキルなどをコピーするスキルとかもあるちゃああるけど、それらの一段階上になるから。

【複写】だと記憶の追体験も出来るし、本人の忘れている事まで知れるし、スキルや魔法も、渡すのはコピーして、多少劣化するけど、相手から複写するのは、能力100%だし。
熟練度上がると奪い取ることもできるしね。

それに普通なら相手の同意もいるけど、ジョニーなら、無許可で相手の心の中を覗いたり、思考を読んだり、魔法やスキルをコピーする事ができるよ 〉

怖!!怖過ぎですよ!!
ツッコミどころも多過ぎです!
追体験?忘れた記憶まで?スキルを奪い取る?
私なら無許可で人の内面を除き見れる?
と言うか、神様の使うスキルって何⁈⁈⁈

管理局ってあの黒服の男性達の元締……勤務先……所属している団体?なのでしょうけど、神様の使うスキルを作る所って一体何⁈⁈

…………………あまりその辺を考えるのはやめておきましょう。

「ティちゃんが言うには、この世界には無い特殊なスキルで、【読心】……とかの上位に当たるそうです」
ぼかした私の言い方に、アインとブルースは小声で言い合います。
「『……とか』には触れないでおきましょう」
「その方が良いと思うぞ」
うん、そうしてくれる方が私も助かります。

そして二人に
『ただの規格外ではなく、非常識な規格外だ』
と言われてしまいました。

二人が酷いです。

とにかく、その危険なスキルを入手することにしました。







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