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第二章 旅は道連れ
110 プルプルするのはデフォルトの様です
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「人が天敵なのに、なぜこんな大陸に近い場所に居るのでしょう?」
「迷子なの?」
シナトラがツンツン突きながら声をかけていましたけど、プルプル震えていた灰色アザラシの赤ちゃんは気絶してしまいました…。
「さっき美味しそうとか言ってたから怖がられたんだよ」
ため息をつきながらチャックが言います。
「美味しそうって言ったの僕じゃ無いもん、僕は美味しいのって聞いただけだもん」
あまり変わらないと思います。
「それだけではなく、元々人が天敵なのですから、私達に囲まれているこの状況が怖かったのでしょうね」
アインのフォローは最適です。
険悪な雰囲気になりかけていた空気が霧散されました。
「迷い子なら群れに返してやらねばな」
「そんなこと言って独り占めして食べるんじゃないの?」
「そんな事するわけなかろう!」
「食べないの?」
「この状況でそれを言えるお前は凄いな」
「 ? 」
私とチャックとアインの視線を感じたブルースに対して、何も気にしないルシーはある意味凄いかも知れませんね。
「食べるとかナイワー」
「なんでもかんでも食べようとしないでください」
チャックと私の言葉に続き、アインも言います。
「食べるとしても幼体はだめですよ。
幼体を食べているとそのうちその種族が滅亡してしまいますからね」
チャックも大きく頷きます。
……いや、間違っていませんけど…間違ってはいませど、アインさん?チャックさん?
可愛いから食べない、なんてのはこの世界では無い感覚なのでしょうね。
頭でわかっていても、心が付いていきません。
「あ、気付いたようですよ」
ディビッドの言葉に皆の視線が集まります。
灰色アザラシの赤ちゃんは、プルプル震えながら後退りしています。
「皆で行くとまた気を失うかも知れません。
ここはジョニーに任せて、私達は離れましょう」
「その方が良いかと思います」
常識人二人に促され、ブルース達が距離を取ります。
私は驚かせないようにゆっくりと近寄りながら声をかけました。
「怖がらなくて良いですよ、あなたを傷つけませんから、お話を聞かせてください」
1メートル程距離を取り、立ったままだと威圧感があるかも知れませんので、膝をついて話しかけます。
「言葉はわかりますか?」
プルプルしながら小さく頷きます。
「念話はできますか?」
プルプルしながら小首を傾げます。
念話がわからないようですね。
「迷い子ですか?
もしそうならあなたの居た群れまで送り届けますけど」
プルプルしていた灰色アザラシの赤ちゃんの体がピタリ止まり、ガクガクと大きく震え出しました。
なぜ?
「えっと………群れには戻りたく無い…のですか?」
ガクガク震えながら何度も頷きます。
「わかりました、無理には戻しません」
ガクガクがプルプルに戻りました。
余程群れに戻りたく無いのでしょう。
「群れに戻りたく無いと言われましても、人に見つかると酷い目に遭うかも知れませんよ」
またガクガクしだしました。
「群れには戻りたく無い、人にも見つかりたく無い……そう言う事ですか?」
プルプルに戻って頷きます。
「私達に付いてきたいと言う事で宜しいですか?」
プルプルしながら頷きます。
「連れて行くだけで良いですか?
それとも皆の様に亜人になりますか?」
プルプルがピタリと止まりました。
つぶらな瞳でこちらを見つめたまま、大きく頷きます。
「そうですか……なら一つ提案なのですけど、亜人になるだけではなく、私の家族になりませんか?」
つぶらな瞳でこちらを見つめたまま、首を傾げます。
「家族になるのなら、真名を付けさせていただきます。
真名を付けると結び付きが強くなり……難しいことはいいですね。
家族になると全力で守らせていただきます。
私だけでなく、他の家族もあなたを守りすよ」
灰色アザラシの赤ちゃんは、おずおずと近づいてきて、私の足に頭を擦り付けました。
「真名を付けても良いのですね?」
「キュー」
頭を擦り付けながら、甲高い声で鳴きます。
あざといです、可愛いです、庇護欲そそります、撫で回したいです………、落ち着け俺。
さて、名前はどうしましょう。
アザラシですから、浮かんだのはごまちゃん、たまちゃんなどですが、ピンときません。
白くてもちもちしていて、丸みがあって、冷んやりしてて………あのアイスが浮かんできましたね。
「それではあなたの名前は【白雪(大福)】でどうでしょう」
頭を撫でながら名前を呼ぶと、いつものようにほんのり光り、そこには白い髪、黒い瞳の全裸の一歳くらいの幼児が現れました。
………うん、赤ちゃんみたいですので、全裸でも仕方ないですよね。
大きめの布をマジックバッグから取り出して包みました。
「迷子なの?」
シナトラがツンツン突きながら声をかけていましたけど、プルプル震えていた灰色アザラシの赤ちゃんは気絶してしまいました…。
「さっき美味しそうとか言ってたから怖がられたんだよ」
ため息をつきながらチャックが言います。
「美味しそうって言ったの僕じゃ無いもん、僕は美味しいのって聞いただけだもん」
あまり変わらないと思います。
「それだけではなく、元々人が天敵なのですから、私達に囲まれているこの状況が怖かったのでしょうね」
アインのフォローは最適です。
険悪な雰囲気になりかけていた空気が霧散されました。
「迷い子なら群れに返してやらねばな」
「そんなこと言って独り占めして食べるんじゃないの?」
「そんな事するわけなかろう!」
「食べないの?」
「この状況でそれを言えるお前は凄いな」
「 ? 」
私とチャックとアインの視線を感じたブルースに対して、何も気にしないルシーはある意味凄いかも知れませんね。
「食べるとかナイワー」
「なんでもかんでも食べようとしないでください」
チャックと私の言葉に続き、アインも言います。
「食べるとしても幼体はだめですよ。
幼体を食べているとそのうちその種族が滅亡してしまいますからね」
チャックも大きく頷きます。
……いや、間違っていませんけど…間違ってはいませど、アインさん?チャックさん?
可愛いから食べない、なんてのはこの世界では無い感覚なのでしょうね。
頭でわかっていても、心が付いていきません。
「あ、気付いたようですよ」
ディビッドの言葉に皆の視線が集まります。
灰色アザラシの赤ちゃんは、プルプル震えながら後退りしています。
「皆で行くとまた気を失うかも知れません。
ここはジョニーに任せて、私達は離れましょう」
「その方が良いかと思います」
常識人二人に促され、ブルース達が距離を取ります。
私は驚かせないようにゆっくりと近寄りながら声をかけました。
「怖がらなくて良いですよ、あなたを傷つけませんから、お話を聞かせてください」
1メートル程距離を取り、立ったままだと威圧感があるかも知れませんので、膝をついて話しかけます。
「言葉はわかりますか?」
プルプルしながら小さく頷きます。
「念話はできますか?」
プルプルしながら小首を傾げます。
念話がわからないようですね。
「迷い子ですか?
もしそうならあなたの居た群れまで送り届けますけど」
プルプルしていた灰色アザラシの赤ちゃんの体がピタリ止まり、ガクガクと大きく震え出しました。
なぜ?
「えっと………群れには戻りたく無い…のですか?」
ガクガク震えながら何度も頷きます。
「わかりました、無理には戻しません」
ガクガクがプルプルに戻りました。
余程群れに戻りたく無いのでしょう。
「群れに戻りたく無いと言われましても、人に見つかると酷い目に遭うかも知れませんよ」
またガクガクしだしました。
「群れには戻りたく無い、人にも見つかりたく無い……そう言う事ですか?」
プルプルに戻って頷きます。
「私達に付いてきたいと言う事で宜しいですか?」
プルプルしながら頷きます。
「連れて行くだけで良いですか?
それとも皆の様に亜人になりますか?」
プルプルがピタリと止まりました。
つぶらな瞳でこちらを見つめたまま、大きく頷きます。
「そうですか……なら一つ提案なのですけど、亜人になるだけではなく、私の家族になりませんか?」
つぶらな瞳でこちらを見つめたまま、首を傾げます。
「家族になるのなら、真名を付けさせていただきます。
真名を付けると結び付きが強くなり……難しいことはいいですね。
家族になると全力で守らせていただきます。
私だけでなく、他の家族もあなたを守りすよ」
灰色アザラシの赤ちゃんは、おずおずと近づいてきて、私の足に頭を擦り付けました。
「真名を付けても良いのですね?」
「キュー」
頭を擦り付けながら、甲高い声で鳴きます。
あざといです、可愛いです、庇護欲そそります、撫で回したいです………、落ち着け俺。
さて、名前はどうしましょう。
アザラシですから、浮かんだのはごまちゃん、たまちゃんなどですが、ピンときません。
白くてもちもちしていて、丸みがあって、冷んやりしてて………あのアイスが浮かんできましたね。
「それではあなたの名前は【白雪(大福)】でどうでしょう」
頭を撫でながら名前を呼ぶと、いつものようにほんのり光り、そこには白い髪、黒い瞳の全裸の一歳くらいの幼児が現れました。
………うん、赤ちゃんみたいですので、全裸でも仕方ないですよね。
大きめの布をマジックバッグから取り出して包みました。
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