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第二章 旅は道連れ
105 ルシーさん…………
しおりを挟むこの国は海沿いの国のようで、海岸線に沿って人は住んでいるようで、その海岸線の中央部が王都なのですが、他大陸から来た船が直接王都の港へ着く事はないそうです。
外航船は沖に停泊し、先ずは先触れとでも言うのですか?小舟で王都の税関で積荷を申告し、積み荷に応じて他領の港に振り分けられるそうなのだとか。
例えば積荷が衣料品や装飾品なら王都から二つ南の領、宝飾品や希少価値な物なら王都のすぐ北の領、食料品関係なら南隣の領、そのまた南の領には……という感じのようです。
そうして各領で取り扱う品を変えて、領地毎に特徴をつけることによって、上手いこと国を運営しているのだとか。
勿論漁業を専門にしている領地も有ります。
漁業を専門にしている領地は、観光業に力を入れて、観光と美食の街として発展しているようです。
海に面していない領地は、ベルージュとの交易の窓口で、農作物を仕入れ各領地へ配布し、逆に海産物を輸出して収入を得ているそうです。
つまり完全分業で、それぞれのプロフェッショナルな人材が領地毎に居て、采配を奮っているのだとか。
宝飾品の目利き、絵画の目利き、織物に対する目利き、凄腕の鍛治師など。
他大陸から来た輸入品の情報は王都で管理され、この大陸の各国へ販売されていくのだとか。
地理的なイメージとして、この大陸は地球で言う南アメリカのような位置どりで、リアンスから東や北には多大陸がいくつか有るのですけど、クルトゥスさんのルーライオ海から南には人の住む大陸は、殆ど無いそうです。
なので、このリアンスがこの大陸の東の窓口となっているのですね。
西や、渓谷の北の大地では、またそれぞれに交易をしている国が有るのでしょうけど、この国ほど徹底して分業している所はないと思おます。
家は煉瓦造りの建物が殆どです。
今まで、で一番地球に近い見た目の街並みですけど、やはり窓にガラスはありませんね。
道ゆく人々は多種族ですし、着ている服も多様です。
私達が向かったのは、漁業を生業にしている領、リアンスの王都から3つ南の領、ファッションと美食の街、ハテカームナです。
ハテカームナの北、王都から二つ南の領、テルシュは衣料品や装飾品の交易地で、他大陸から輸入された衣類や装飾品は、そのまま各地へ販売されるだけで無く、この国の技術と融合させ、独自のファッションを作り上げているそうです。
そこで新たに作られたオリジナルな衣服や装飾品は、ハテカームナへ安く提供されていて、ハテカームナの住人が着ている事で、美食を求めて訪れた旅人に宣伝していると。
そしてハテカームナからテルシュへ人が流れる。
テルシュへ衣料品や装飾品を仕入れに来た商人達は、この国へ来たついでにと、ハテカームナで美食を堪能していく。
つまり持ちつ持たれつな関係の領地です。
この国ではそう言った領地同士の繋がりに国が力を入れているので、とても潤滑に国の運営が成り立っているのだとか。
争いのない事は良い事ですね。
そういえば今まで気にもしていなかったのですけど、この街ではボタンの付いている服を着ている人が居ますね。
こちらの服は、ゴムもボタンも無く、基本的にストンとした上衣と紐で縛るズボンです。
もちろんファスナーやマジックテープなども無く、紐や帯みたいな物で、キュッと縛ります。
元々この大陸では紐で縛るのが一般的で、ボタンは他国から伝わって来た物なのでしょうね。
パッとみて分かりませんけど、ウェストがゴムのズボンを履いている方も居るかもしれませんね。
いずれ別の大陸にも行ってみたいです。
ハテカームナの入り口近くに宿があると街の門番に聞いたので、そちらへ向かっている途中で、シナトラが首を傾げて聞いて来ます。
「身体の色が違う人がいるの?」
「あれは陽に焼けて肌の色が変わっているのですよ。
人でも亜人でも、強い太陽の光を浴び続けると、肌の色が変わるのです」
アインが説明をしていると、
「え?身体の色が変わるの?
体が焦げてるの?
なら髪もこげるの?」
ルシーのなぜ何攻撃が発動されました。
「……………人体の不思議ですよ」
あ、アイン、面倒だからと説明を投げましたね。
〈違うと思うよ、だってこの世界にメラニン色素なんて解明されてないから、説明のしようが無いんだよ 〉
ああ、そうですね。
動物さえ大雑把な区別をしている世界にメラニンやらなんやらは、未知の事柄でしょうね。
私はちょっとしょっぱい気持ちにたりました。
「えー、じゃあ私も茶色に焦げちゃうの?」
ルシーが面白い事を言い出しました。
「旅で立ち寄ったくらいでは変わりませんよ」
「下(体)が茶色で上(髪)が色んな色ってキノコみたいだね」
シナトラも変な事を言っています。
「陽に焼けると言っても、服に隠れている所までは、色は変わらぬぞ」
ブルースがフォローなのか、おもしろがっているのか、会話に加わります。
「えー、体が二色なの?
それって見てみたい!
ちょっとそこの若いオス、服脱いで私に体の全てを見せて」
「ルシーーーーー!!」
ルシーを街に連れてくるのは早かったようです。
私がセクハラを受けた青年に謝っている間、アインとディビットの2人がかりでルシーを調……躾………説明をしています。
ルシーの事はあの二人に任せましょう。
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