【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

102 新たな出会い

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〈【複合魔法】解放したけど良かったの?
今まで殆ど相談してから魔法とか手に入れてたのに 〉

〈はっ!アイン達に相談していませんでしたね 〉

ティちゃんに言われて気が付きました。

〈まぁぶっちゃけ、ジョニーの事なんだから、ジョニーが勝手に決めてもいいと思うんだけどね 〉

〈でもアインには色々教えてもらったり、フォローして貰ったりで、この世界で私が無事に生きていく先生の様な物ですからね。
先に一言相談するべきでした。
後で謝っておきましょう 〉

小高い山を越えて荒野に立ち入る前に、昼食を取ることに。
ルシーが【お花摘み】に行っている間に、皆に報告しました。

この【お花摘み】も大変でした………。
その場で用を達しようとしましてね……。
「だっておしっこってトイレでするって言ったじゃない。
ここにはトイレ無いわよね?
ならどこでも一緒でしょ」
って……王様トカゲの思考を閉じ込めて、人としての常識と言うか、女性としての恥じらいを学んでほしいです。

あ、話が逸れましたね、兎に角居ないうちに報告です。

「………と言うわけで、相談もせずにすみません」
「え?でも念話の時も相談してないよね?」
チャックのツッコミが鋭く突き刺さります。
そう言えばそうでした。

「あれはティちゃんと話すためにも早急に必要ない物でしたから」
しどろもどろと言う私に、アインは微笑みかけます。

「別にジョニーの事なのですから、好きに決めて良いんですよ。
分からないことを相談された時にアドバイスはしますけど、事後報告で十分ですよ」

良かった、蔑ろにされたと思われていない様ですね。
安心している私にアインが
「ジョニーの中では私はどんな存在なのでしょうね」
と、ため息混じりの呟きます。
「そりゃあ『怖い奴』だろう」
私が答える前に、迂闊なブルースの発言が……。  

「…ふふふふふ、ブルース、後で少し話し合いましょうね」
「いや、ほら、個人のスキルや魔法は、別に‭詳(つまび‬)
らかさなくても良いのだぞ。
逆にお前の様に大っぴらにする方が稀なのだからな」
「個人情報ですからそうなのでしょうけど、分からないことばかりですから、分からないまま間違えるより、開示して適切なアドバイスを貰う方がいいと思いますので」

ブルースの話題逸らしに乗っておきましょう。
空気が冷たいですからね。

「正直なところ、ジョニーは色々と規格外ですので、現状を把握させていただきたいとは思います。
けれど言いたくない事は言わなくて構いませんし、自分で判断できる事は、自身で決めていいと思いますよ」

普段通りに戻ったアインがそう言います。
規格外は私ではなく、アインとブルースですよね?とは言いませんよ。
空気は読めますから、危険回避です。


昼食の準備を済ませ、ルシーを待ちます。 
目の前には荒野……古い西部劇に出てきそうな場所ですね。
遠くに断崖などが見えますし、空には大型の鳥が…。
おお、あれは白頭鷲ですね。
翼を大きく広げて悠々と空を舞う姿は、とてもカッコいいです。

空を見上げていると、一羽のオレンジ色をした白頭鷲が降りてきました。
体の色から察するに、魔法が使えて意思の疎通もできる個体なのでしょう。

低木に止まり視線をこちらに向けてきます。
まさか捕食対象になったわけではないですよね?
人に興味が有るのか、それともバスが珍しいのかでしょうか。

舞い上がると私達の側にある低木に飛び移り、またこちらを凝視してきます。
これはもしかして?と、念話で話しかけてみました。

《私達に興味が有るのですか?》

「ピュイ」

《もしかして皆の本来の姿がわかるのですか?》

「ピュイ」

《貴方も亜人化したいのですか?》

「ピュイ」

《………ただ鳴いてるだけ?》


「ピューーーイピッピ」

翼を広げ威嚇されました。
念話は通じている様です。

《亜人化したいだけですか?
それとも私の家族として一緒に生きていきますか?》

ルシーの様なパターンも有りますし、ただ単に人になりたいだけなのかもしれません。
個人的には白頭鷲は憧れの鳥ですから、是非とも家族になってもらいたいのですけど。

気がつけば、他の皆の視線が私と白頭鷲に集まっていました。

「その大狩り鳥を家族にするのですか?」
アインに聞かれましたので、相談してみます。

「念話は通じていますけど、相手が念話スキルを持っていない様で、言葉は分かりません。
でも人にはなりたい様なのですが、どうすればいいでしょう」
そうですね、と少し考え込んだ後、アインは白頭鷲に向かって声をかけました。

「念話が通じると言う事は、私の言葉もわかりますね?」
「ピュイ」
「それなら、人になりたいだけならそのままそこに留まって下さい。
もっと深く私達と付き合う…家族として共に在りたいのなら、彼の肩に止まって下さい」

アインが彼と指差したのはブルースです。
いくらブルースが王様トカゲで頑丈だからと言って、大型の猛禽類が止まったら、肩が抉れませんか?
見たくないのですけど……。

白頭鷲は飛び上がり、ブルースの肩に止まりました。

……………大丈夫そうですね、出血していませんから。







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