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第二章 旅は道連れ
100 出発です
しおりを挟む次の日、アインとランさんが商業ギルドへと行っている間に、私は部屋にこもってお出汁を使ったレシピを、ティちゃん監修の元、色々書き出しました。
今回アインがギルドへ登録したのは、【調理方法】で、ランさんが商標登録とでも言うのでしょうか?ダイズスキー特産品として登録するのは【メニュー】なのだそうです。
例えば、【照り焼きの作り方】をアインが登録する。
誰でもそのレシピを購入すれば照り焼きを作れる。
ランさんはその場でレシピを購入して、【チキンの照り焼き(私の作った)隠し味入りバージョン】を専売品として登録する、と言う感じでしたか、詳しく教えていただきましたけど、右から左でした。
分からない事は分かる人に任せるのが一番です。
なのでこのレシピの取り扱いも、アインに一任します。
その翌日はベジュールの城下町を散策して過ごしました。
農作物が豊富で、色々買い物をしました。
珍しい果物などは、いつもお世話になっているババ様へ、送りもしました。
そして今日、お出汁が色々出来上がったので、レシピを元に色々作り、皆で試食会です。
調理スキルは本当に凄いですね。
スルスルと野菜の皮を剥き、千切りやみじん切りもあっさりと出来ましたよ。
味付けも完璧で、とても生前?台所に立ったことが無いとは思えない出来栄えでした。
ただ……
「美味しい!
めちゃ美味しいけど、味が違う」
とのポチさんの言葉から、住む地域の味の差を、再確認しました。
それに私の作る料理は、妻の味に仕上がる様です。
当たり前ですかね、だって私の記憶を元に、ティちゃんが再現したレシピなのですから、私好みの味になっているみたいですよ。
私の記憶が元なのなら、私がカレーを作ったら、ジャ○カレー味、ソーセージを作ったらシャウ○ッセン味になるのでしょうか?
材料が揃えば、色々作ってみるのも面白そうですね。
そうこうしているうちに、ダイズスキーへ来て5日目、今日は次の場所へ出発の日です。
なんだかんだと言って、5日も居たのですね。
「色々助かりました。
ありがとうございます」
見送りに来てくださったランさん。
「お兄ちゃん達美味しいご飯教えてくれてありがとう」
ランさんの長女さんのミキちゃん。
「また来てね」
次女のスーちゃん……名前を初めて聞いた時に、ポチさんにツッコミましたよ。
若いのによく知ってたと思ったのですが、どうやら生前のご両親が私と同年代で、よく昭和歌謡を聞いていだそうで、その辺りに関しては、少し盛り上がってしまいました。
これからも、お付き合い自体は細々と続けていくでしょうけど、密な付き合いは……どうなるかはこれから次第ですかね。
「いやー、本当に色々助かった。
これからも頑張って飯テロするから、また遊びに来てな」
「住む場所が落ち着きましたら連絡します」
それまで全く連絡しないと言うわけではないですよ?
「乳製品が欲しい時は宜しく」
「手紙を受け取ったらなるべく早くギルドへ向かう様にしますね」
ポチさんの内輪で転送魔法の使える方はいらっしゃらなかったので、カカルの民特製乳製品が欲しい場合、商業ギルド経由で販売することとなったのです。
勿論乳製品はこのダイズスキーにもありますよ。
でも、放牧でのびのびと育った家畜の乳から作られるカカルの民の乳製品は、味が違うのです。
なので、欲しい時はギルドへ手紙を預け、ギルドの転送魔法の魔道具で私へ手紙を転送する。
(因みにギルドに有る転送魔法の魔道具は、ノート一冊くらいの質量しか転送できないそうです)
その手紙…発注書を元に、私がカカルの民へ注文をする。
カカルの民から品を受け取る。
それを私の転送魔法で、ベジュールの城下町の商業ギルドへ転送する。
(私の転送魔法は、小窓程の大きさまでなら、私から送る事は簡単ですからね)
それをダイズスキーから取りに向かう………手間がかかりますね。
転送魔法の便利さを再確認しました。
一通り挨拶を済ませて、私達はバスへ乗り込みます。
「………ぷぷぷ…」
「こら、ポチ!」
「うわぁ~良いな~、可愛いな~」
「お姉ちゃん、お姫様みたいだよね、あのお兄ちゃん」
………………うん、褒め言葉ですからね、うん。
どう見られても良いんです、ポニーの乗り心地は最高なのですから。
生暖かい目で見送られながら、次に向かうのは外交の国、リアンスです。
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